話題|要介護認定制度の見直し

要介護認定制度の部分的な見直しが行われました。

以前から要介護認定者数の増加に伴う事務負担軽減が言われてきましたが、今回認定事務の簡素化や効率化の観点から要介護認定の見直しが行われることになりました。見直しとなったのは以下の2点です。

・介護認定審査会における審査の簡素化
・更新認定の有効期間のさらなる延長

2018年4月1日申請分からこの見直しの対象となります。
また、認定調査員テキストの一部も改訂されましたので遅ればせながら報告したいと思います。

要介護認定審査会の簡素化

 


認定審査会の簡素化とは?

認定審査会の簡素化とは、「状態の安定している対象者は、調査結果から要介護度が変わっていない可能性が高いので、認定審査会の2次判定の手続きを簡素化」するというものです。

具体的には、簡素化対象となる要件に合致した認定申請について、コンピューターの1次判定の要介護度を審査会での審査なしに2次判定結果とするものです。

1.簡素化対象となる6つの要件

(1)第1号被保険者であること

(2)更新申請であること

(3)一次判定における要介護度が前回認定結果の要介護度と同一であること

(4)現在の認定有効期間が12ヶ月以上であること

(5)一次判定における要介護度が「要支援2」または「要介護1」である場合、状態の安定性判定が「不安定」でないこと

(6)一次判定における要介護認定等基準時間が、一段高い要介護度から3分以内でないこと

簡素化対象者の判定の流れ

簡素化対象の要件を満たしているものであるかを1次判定ソフトが判断し、満たしている場合に簡素化の対象者であることが1次判定結果に表示されます。

認定審査会の場で、審査会事務局から簡素化対象者のリストが提示され、審査会委員から異議がなければ1次判定を確定させ、審査を行わずに最終的な判定結果とします。

簡素化対象者であっても、審査会委員から異議や申し出のあったケースはついては従来通り1次判定の修正や介護の手間に係わる審査が行われ、この結果を最終的な審査判定とします。

また、認定審査会を簡素化して判定された場合であっても、審査会を介していることから認定審査会を実施した扱いになります。

なお、簡素化の実施の有無にかかわらず、保険者が認定結果に責任を持つことに変わりがないことから、保険者が更新申請者に対して簡素化についての特段の説明をする事は義務付けられていません。

また、介護認定調査員に対しても簡素化実施の説明については特に言及がありません。

審査会の簡素化は平成30年4月1日以降すべての市町村が実施しているのではなく、検討中としている市町村も多いようです。

厚労省の認定審査簡素化のフロー図

更新申請の要介護認定有効期間の延長

更新申請における認定有効期間の上限延長が可能となりました。

具体的にはこれまで更新申請の認定有効期間の範囲が3ヶ月~24ヶ月であったものが、最長36ヶ月まで延長可能となりました(図1赤字部分)。

なお、新規申請、区分変更申請については従来通り3ヶ月~12ヶ月です。前述の簡素化対象者は原則36ヶ月になるようです。

<図1>


認定調査員テキストの改訂

要介護認定調査員テキスト2009の一部が平成30年4月に改訂されました。改訂はテキスト158頁のみで、認定調査票(概況調査)が以下のようになりました。赤字部分が改定箇所です。(掲載に伴い一部文字化けしています)

H30年11月5日 投稿内容一部訂正