今月の話題1月|主治医意見書は要介護認定の一次判定に どのように関わっているのか

1月の話題:主治医意見書は要介護認定の一次判定に
どのように関わっているのか

要介護認定の一次判定で出た介護度が、そのまま変わらずに最終的な要介護度になる確率は全国平均で80%以上であることは、当サイトの”今月の話題9月”に掲載しました。このことは、言い換えれば申請者の多くは一次判定の段階で要介護度が決定すると言う事になります。

ところで、介護保険制度における要介護認定の仕組みについては「一次判定は、認定調査による基本調査69項目と主治医意見書の5項目の合計74項目の情報をコンピュータソフトで計算し、介護の手間である要介護認定等基準時間を算出して要介護度の判定をおこなう」としていることは周知のことです。
しかし、実際には一次判定ソフトに認定調査員による基本調査項目の選択肢を入力すれば、主治医意見書の5項目の入力がなくても一次判定は算出されます。
とすれば、一次判定に主治医意見書の5項目は本当に必要なのかという疑問がわいてきます。

そこで今回は、要介護認定の一次判定に必要とされる「主治医意見書の5項目」が一次判定ロジックにどのような関わり方をしているのかを調べましたので報告します。

    一次判定ロジックの流れ

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は 1次判定ロジック再々修正.png です

一次判定は、一次判定ロジックにあるように以下の6つの要素で構成・決定されています。
①中間評価項目得点
② 樹形モデル
③要介護認定等基準時間
④特別な医療
⑤ 認知症加算
⑥状態の維持・改善可能性にかかる審査判定

      各要素の概略

①中間評価項目得点

調査項目の1群~5群それぞれで、各基本調査項目の選択肢ごとにあらかじめ付与されているポイントのことです。このポイントは樹形モデルの分枝で使われます。このポイントは自立度が高い程高く、介助が必要なほど低くなっており、調査項目それぞれで最高が100点、最低が0となっています。
そして分枝の際に、設定されたポイントより高い場合は要介護等基準時間がより少ない方向に進み、設定されたポイントより低い場合はその逆になります。


②樹形モデル

一次判定の基となる”要介護認定等基準時間”を推計するための8つの樹形モデルがあり、それぞれの樹形モデルで要介護等基準時間が推計されます。この8つの樹形モデルで算出された要介護等基準時間の合計が一次判定の基礎となります。


 樹形モデルの例(食事) 

                    

③要介護認定等基準時間

8つの樹形モデルから算出される「介護の手間」の推計時間です。(図表35)

 

④特別な医療

調査項目「その他・過去14日間に受けた特別な医療」に該当する医療行為が行われている場合は、樹形モデルを通さずに医療行為ごとに決められた分数がそのまま要介護認定等基準時間に加算されます

⑤認知症加算

運動機能の低下していない認知症高齢者に対して、適用要件に該当している場合に 要介護認定等基準時間 を積み足します。(今月の話題12月参照)

⑥状態の維持・改善可能性にかかる審査判定

要介護認定等基準時間 が32分以上50分未満の場合に、「状態の安定性に関する評価」と「認知機能低下の評価」の結果に基づき、要支援2と要介護1のいずれかに判定されます。(当サイト今月の話題11月参照)

   一次判定に関わる主治医意見書の5項目

主治医が主治医意見書内で評価した下記の5項目が、介護認定審査会事務局によって一次判定ソフトに入力されます。
①認知症高齢者の日常生活自立度
②短期記憶
③日常の意思決定を行うための認知能力
④自分の意思の伝達能力
⑤食事行為

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は 主治医意見書項目最新.png です


①②③⇒この3項目は、要介護認定等基準時間32分以上50分未満の際の、要支援2または介護1かを振り分ける「認知症自立度Ⅱ以上の蓋然性の」の判定に使われます。
②③④⑤⇒この4項目は、認知症加算に該当する場合の加算分数の算出に使われます。

なお、主治医意見書にも「特記すべき事項」欄がありますが、ここには具体的な介護の手間などではなく、主治医として要介護認定やケアプランなどに対する医学的な意見を記載することとなっています。

主治医意見書の一次判定への関わりは限定的である

このように、一次判定への主治医意見書の5項目の関わりは、(1)認知症加算に該当している場合(2)要介護認定等基準時間が32分以上50分未満で要支援2か要介護1かの判定を行う必要がある場合、の2つのケースのみで、これに該当しない申請者の一次判定には関わっていません。
したがって主治医意見書の一次判定への関りは限定的であるといえます。

主治医意見書は、一次判定への関わりよりも認定調査員による特記事項の記載が少ない時に状態像を補足する役割と、介護認定審査会に医療面に関する意見を述べる役割が大きいと言えます。

主治医意見書は、認定審査会での二次判定に反映されている

主治医意見書は、一次判定への関与よりも意見書内にある「心身の状態に関する意見」「生活機能とサービスに関する意見」「特記すべき事項」を通して認定審査会での二次判定に反映されていると思われます。
この他に、認定有効期間の設定と要介護状態の軽減又は悪化防止のための必要な療養とサービスについて、介護認定審査会にアドバイスする役割が大きいと思われます。

 

新年あけましておめでとうございます。

今年も“要介護認定調査員の部屋”をよろしくお願いいたします。