認定調査項目を読み解く|毎日の日課を理解・生年月日や年齢を言う

3-2 毎日の日課を理解

1.項目の定義

「毎日の日課を理解する」能力を評価する項目です。
ここでいう「毎日の日課を理解」とは、起床、就寝、食事等のおおまかな内容について理解していることです。 厳密な時間、 曜日ごとのスケジュール等の複雑な内容まで理解している必要はありません。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・対象者から直接聞き取りしますが、「何もしていない」などと答える場合があるため介助者からも日頃の状況を聞き取りします。
・調査日の状況と介護者から聞き取り した日頃の状況が異なる場合は、 一定期間 (調査日より概ね過去1週間) の状況においてより頻回な状況に基づいて選択します。 その場合は選択した根拠等について、 具体的な内容を特記事項に記載します。
・日課を覚えられないためにメモしたものを見て行動している場合は「できる」と評価します。

 

4.ポイント

・1日の過ごし方について、時間の認識と記憶力を評価するものです。
1日の過ごし方について、内容、時間、場所などを具体的に認識しているかで評価します。
①内容:日中何をしているか、訪問や通所利用はあるか
②時間:している時間帯は、時間の感覚はあるか、朝昼夜の区別はついているか
③場所:どこでしているか、入院や施設入所していることを認識しているか

対象者や介護者からの聞き取りで判断できない場合でも、自発的に決まった時間に、起きたり食事をしたり就寝する、などが出来ていれば「できる」と評価してよいでしょう。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース 選択肢/選択理由
1日の過ごし方を聞くと、時間と内容を答えることができた。家族の話では答えた時間と実際の時間は1時間程違うとのこと できる
厳密な時間まで理解をしている必要はない
週4回デイサービス利用している。本人はデイサービス
に行くことを 「仕事に行っている」と言うが、朝迎えに来ることや夕方自宅に戻って来ることなどは答えられる
できる
目的を理解できていない場合でも、1日の過ごし方の内容が概ね理解できていれば「できる」と判断する
現在入院中で毎日リハビリしているが、 質問すると何もしていないと答える。しかし食事時間や1日の過ごし方等は概ね答えることができる できる
1 日の過ごし方を概ね理解できている場合は「できる」を選択する
若年性アルツハイマー病で、 調査時の質問には大まかに答えられたが、日頃自立的な生活ができずその都度家族に声かけされて生活している状況。 何かやってもすぐ忘れてしまい、食事したかどうかも曖昧である できない
大まかには答えてはいるが全体像から理解しているとは言い難く、 認知機能の調査項目であることから選択する
現在入院中で、自分がいる場所を聞くと「ここは病院だ」と答え、 日中の過ごし方も概ね正答する。しかし入院している認識はなく、毎日夕方には自宅に帰っていると言う できない
部分的に正答できても、入院していることを理解できていない状況は、日課の内容を理解しているとは言えない
1年以上前から週3回デイサービスを利用している。起床、食事時間等は無難に返答したが、デイサービスに行っていることは理解しておらず、毎日どこにも行かずに家にいると言う できない
生活の一部となっているデイサービス利用を理解していない状況は、日課の内容を大まかにも理解しているとは言えない

 

 

3-3 生年月日や年齢を言う

1.項目の定義

「生年月 日や年齢を言う」 能力を評価する項目です。
ここでいう 「生年月日や年齢を言う」 とは、生年月日か年齢かのいずれか一方を答えることができることです。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・生年月日は実際と数日のずれは 「できる」 とします。
なお 「数日」 の具体的な定めはありませんが、生年月日は計算などの必要のない「意味記憶」ですから間違えること自体「ほぼできない」状態であると言えます。
・年齢は2歳までの違いは「できる」とします。これは数え年で答える方がいるためです。
・調査日の状況と介護者から聞き取りした日頃の状況が異なる場合は、 一定期間 (調査日より概ね過去1週間) の状況においてより頻回な状況に基づいて選択します。 その場合は選択した根拠等について、 具体的な内容を特記事項に記載します。
・失語などで言葉での回答ができない場合は年齢ではなく生年月日を聞くようにします。この場合はあえて違った月日を言って正答できるか確認します。

4.ポイント

生年月日は長期記憶の意味記憶に分類されるものです。一方年齢は毎年加算されていきますから記憶力の他に理解力と計算力が必要になります。実際の訪問調査でも「年齢は答えられないが生年月日は正答する」という方が多くいます。
もし調査の際に「年齢は正答するが生年月日を間違える」という方がいたら、少し間をおいてもう一度年齢を確認することをお勧めします。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース 選択肢/選択理由
生年月日は2日違っており、 年齢は5~6歳違って答える できる
生年月日について、数日間のずれのため正答できたと判断する
質問した時は生年月日を答えられず、年齢も10歳違って答えたが、調査終了ごろに生年月日を思い出して正答できた できる
調査は非日常的な出来事であり、 即答できない場合があるため調査時間内に正答できた場合は「できる」を選択する
生年月日は答えられない。年齢は88歳だが「80代後半」と答えた できない
具体的な年齢が言えなければ「できない」と判断する
失語があり自分からは答えられないが質問には頷く反応がある。調査員が生年月日をわざと間違えて言っても実際の日にちを言ってもどちらも頷く できない
回答の正誤が確認できない場合は「できない」と評価する

 

次回の読み解く項目は 3-4短期記憶、3-5自分の名前を言う です。