今月の話題6月|視力不良、難聴が1次判定に反映されるかを検証する

1-12視力・1-13聴力の選択肢によって、1次判定の要介護認定等基準時間はどの位変わるのか

視力不良や難聴が強いと介護負担が大きい。

対象者が視力不良の場合は声掛けや誘導の介助が必要で、また、難聴の場合は繰り返しや大きな声での声掛けが必要で、介護者は直接介助と同様に精神的にも身体的にも負担になります。
さらに、難聴の場合は聴き取れないことによって状況にそぐわない行動をとることもあり、認知症と間違われる場合もあります。
視力、聴力共に基本調査項目では能力で判断する群に属していますが、介護の方法に関わる項目でもあります。

視力・聴力が「普通」を選択した方の1次判定を使って、視力不良、難聴がある場合をシミュレーションしてみました。

では、実際に認定調査が行われ、視力・聴力の項目においていずれも「1.普通」が選択されて1次判定結果が出ているケースで
A:視力「1.普通」の選択肢を ⇒「3.目の前に置いた視力確認表の図が見える」または「 4.ほとんど見えない」に変えた場合
B:聴力「1.普通」の選択肢を ⇒「3.かなり大きな声なら何とか聞き取れる」または「4.ほとんど聞こえない」に選択肢を変えた場合
A,Bで要介護度の判定基準となる「要介護認定等基準時間」はどのように変わるのかをシミュレーションしてみました。

シミュレーションは非該当~要介護3までの5段階で、各3ケース(非該当のみ2ケース)計14ケースを使って行い、基となるケースは全ケース1-12視力、1-13聴力が「1.普通」で1次判定されたものを使用しました。
ケースは出来るだけチェック項目が重複せず、同じ要介護度でもそれぞれ要介護等基準時間が離れたケースを用いました。

なお、ここでは視力の「2.約1m離れた視力確認表の図が見える」、聴力の「2.普通の声がやっと聴きとれる」でのシミュレーションをしていませんが、これは樹形モデルで計算される段階ではどちらも「1.普通」とほぼ同じ分類になっていることからシュミレーションから外しています。

注)要介護認定等基準時間は下表では「基準時間」となっています。そして、選択肢を変更したことで要介護認定等基準時間が変化した部分を赤字にしています。

非該当~要介護3までの14ケースをシミュレーションした1次判定の要介護認定等基準時間

シミュレーションの結果

Ⅰ.傾向
1.一次判定の要介護度が軽度である場合には、視力、聴力のいずれも選択肢によっては要介護認定等基準時間に影響し、要介護度が変わる可能性がある。
2.要介護度2以上では視力、聴力共に選択肢による影響はほとんどない。
3.視力と聴力を比較すると、視力不良の方が難聴の場合よりも要介護認定等基準時間への影響がより大きい。

Ⅱ.結論
1.難聴があり「大きな声がようやく聞こえる」状態で、難聴が日頃何らかの介護の手間となっているような方の場合でも、聴力による要介護認定等基準時間への影響はほとんどない。
2.視力については、「約1m離れた視力確認表が見える」と「目の前(約40㎝以内)に置いた視力確認表の図が見える」状態とでは要介護認定等基準時間に違いがでて1次判定の要介護度が変わる可能性がある。
視力不良が疑われる場合、日頃眼鏡を使っているのであればその眼鏡を使って、十分な明るさの下で視力確認表を用いて確認すべきである。

参考:日頃使用している眼鏡について(調査項目を読み解く10月視力・ポイント参照)
7月は、他の項目に比べると介護量が少ない「1-11つめ切り」「2-9整髪」の2つの項目が、1次判定結果に関わる度合いを検証します。