今月の話題9月|最新の介護認定に関する苦情Vol.1

全国の国保連から公表されている認定調査に関する苦情・不満

当サイトのH30年4月の記事で、東京都国保連が公表したH28年度の介護サービスに関する苦情のうち、認定調査に関する苦情を取り上げました。
今回は、東京都国保連から昨年出された最新の苦情相談白書をはじめ、全国の国保連から公表された介護保険に関する苦情のうち、要介護認定に関する苦情を取り上げます。

介護保険の苦情は市区町村の行政窓口で受け付けるケースが圧倒的の多く、次に都道府県の国保連、次に都道府県の順となっています。国保連は行政と情報を共有しており、国保連から公表されている苦情は行政窓口に出されたものも含まれています。

ちなみに、東京都国保連は毎年介護保険に関する苦情などをまとめた「東京都における介護サービスの苦情相談白書」を公表しています。その内容は苦情事例や苦情に対する対応、裁判の事例、サービス提供上の留意点など多岐にわたっており、ページ数は227にも及びます。下の表2と図6は白書内の苦情分類項目別の状況と推移です。

今回はこの東京都の苦情相談白書の最新版(平成30年版‐平成29年度実績-)はじめ、全国の国保連から公表された要介護認定に関する苦情をまとめてみました。

なお、要介護認定に関する苦情でも内容に幅があるためカテゴリー別に分け、1回目のVol.1では「制度に関する苦情」「行政窓口に対する苦情」「認定結果に関する不満」を取り上げます。

制度に関する苦情

申立人     内容     対応
息子(鹿児島県)父は若年性認知症。家族の介護負担軽減のために要介護認定申請を行い、結果は要介護1だった。
不服はないが、認定調査票や介護認定審査会の結果はどのように記載されているのか見たいと思い、市の介護保険課に情報開示を求めた。
市の回答は、ケアプラン作成の目的や認定結果に不服申し立てがある場合に情報開示は行うと条例で取り決めているとのこと。
厚労省にも確認したが、情報開示については、市町村に任せていると回答。自分自身ケアマネジャーの仕事をしており、概ね理解はしているが、家族の立場になると、父のことがどのように記載されているか知りたいと思った。本人や家族が見られないのは残念だが、ケアプランの自己作成であれば見せてもらえるか。
相談者の思いは理解できるが、認定調査に関する情報の開示については市町村の対応になり、本会は判断できない旨を説明。
相談者は利用者の認定調査に立ち会われたのか確認すると、立ち会い、利用者の前で話せないことは調査員に伝えたとのことだった。
調査員は利用者の状況と聞き取りをしたことは特記事項に記載するため、自己作成であれば市の条例により開示されるのではないかと思うと伝え、市に確認するよう勧めた。
家族(宮城県)母が胸椎圧迫骨折により身体が不自由になったので、地域包括のケアマネに相談して、介護認定の変更申請、ベッドやポータブルトイレのレンタルの契約を進めている。
しかし、担当の整形外科医からは、1カ月程度で治るので主治医意見書は書かない、何でも要介護認定申請する人がいるから介護保険料が高くなっていくんだと言われた。医師の発言を黙って聞いて、変更申請を取り下げなければならないか。
市町村に相談し、意見書を書いてくれる医師を紹介してもらうよう勧めた。
利用者(宮城県)H19に介護認定申請したが、内科、皮膚科、眼科、ペインクリニック等9か所に受診し症状もあるのに認定されなかった。そのため、認定調査票、医師意見書等の審議資料を公開してもらったところ、内科医が記載した医師意見書が総合的な身体状況を表したものではなかった。その後、内科医に総合的な内容の記載をお願いしたが、自分が治療している内容しか記載できないという。法的に主治医意見書は総合的な内容を記載することになっているのだから行政から指導できないのか。市にもお願いしたが、理由もなくできない、書いてくれる医師に変えてはどうかと言う。
しかし、5~6年前から通院している医療機関であり、主となる医師であるのでそう簡単にはいかない。何か良い方法はないか。
医師意見書の記載については、主となる内科医に何回かお願いしてみることを勧めたところ、相談者から、医師は忙しいので手紙にして渡してはどうかとの提案があった。まずは、手紙でお願いするとともにその写しを市役所担当者にもみせて機会を見つけて後押しをしてくれるようお願いしてみてはどうかと勧めた。
家族(岐阜県)
今回母親の介護認定の結果が届き、前回の「要支援2」と同じ結果になった。この結果に不服があるために不服申し立ての手続きを行うべく県に電話したが、「まずは市と相談するように」と言われた。書いてあることと言われることに食い違いがあり、どこに文句を言えばいいのかはっきりして欲しい。
また、認定審査会の判定に見不信感がある。決定した委員に対し、責任追及できるか。
不服申し立てはあくまで県であることを説明。県担当者は、まずは市に相談してみてはいかがという意味合いのことを言ったのではないかと伝える。また、不服申し立ては、市の審査過程に誤りがないかが判断されるものであり、介護度が妥当か否かの判断が行われるものではないことを説明。認定審査会に諮問しているのは市であるため、最終的な責任は市が負うものであり、委員個人が負うものではないことを説明した。
子(岩手県)私の父は、区分変更申請し、要介護度が3から4に変更になった。認定日は25日だが、申請日が1日なので、デイサービスの利用料が今月から高くなった。要介護度は、認定されてから効力を有するのではないか。町に相談したが、申請日に遡ると言われた。認定される前に、要介護度が変わるのは納得できない。介護保険法により、初回認定と同様に認定の効力は申請日に遡り、申請月から認定の有効期間となることを説明したが、それが納得出来ないとのことだったので、利用者の身体状況に変化が生じ区分変更申請したのか質問したところ、状態は悪くなっていたとのことだった。申請日から状態に合った必要なサービスが受けられるような制度であることを説明し、了解を得た。
配偶者(岩手県) 地域包括支援センターから夫の要介護認定を勧められたが、母の時の認定に不満があり、介護保険制度を信用していないため、申請したくない。 母は要介護5だったが、施設に入所し介護度が下がり、最終的には車いすなのに要介護2になり亡くなった。しかし、A市の友人の母は、杖歩行なのに要介護3だった。A市では要介護3が、B市では要介護2が多く、市町村で認定のばらつきがあることに納得できない。 要介護認定に関して市町村が所管しているため、保険者に情報提供すると伝えたところ、了解された。 なお、保険者に連絡したところ、1カ月前に同様の苦情が寄せられていたとのことだった。
施設職員(岐阜県)私は、特別養護老人ホームに勤めている。先日、利用者の認定審査があった。ほとんど自立しており介護度が3以上出るか微妙だった方が、介護認定4と決定した。不思議に思い、そのフロアーの職員の方に確認すると、利用者におむつを穿かせ演技したと聞いた。上に立つ方々は了解している話だという。施設がしていることに不信感を抱いた。まじめに認定調査を受けても介護認定が出ず、利用したいサービスを受けられない方がたくさんいる。介護を受ける方が平等であること、施設が間違いを正し良くなることを願い、相談させていただいた。通報情報とするか介護サービス苦情対応専門委員会にて諮る。通報情報として保険者と県へ報告をすることとなり、相談者にその旨を伝えた。

窓口対応に対する苦情

申立人     内容     対応
家族(岩手県)父に介護予防サービスを利用させたいため、市役所に要介護認定の申請に行ったが、窓口の職員の対応が悪く、二度と行きたくないと思った。その職員に、介護予防サービスを利用したいと相談したところ、「元気ならジムに通ったり、ルームランナーで走ったりすればいい。」と言われた。市の職員の非常識な発言に大変腹が立ち、声を荒げたが、他の職員は見てみぬふりをして、間に入って仲裁しようとはしなかった。その後、市に電話し、窓口の職員の教育不足を訴えたところ、今後は他の職員が担当することになったが、今後、市民のためにも、そうした対応も悪く、勉強不足の職員を窓口に立たせないでほしい。本会では、介護サービスに係る相談苦情を受付けており、保険者の苦情については対応していない旨説明した。なお、こうした苦情について市と県に情報提供すると伝えたところ、了解された。
家族(兵庫県)家族の介護認定を申請したいと市の窓口に行ったところ、「どんなサービスが必要か、お身体の状態はどうですか。」と聞かれた。「週に1回ヘルパーを利用したい。」と伝えると、「後の5回はどうするのか、介護認定を受けなくてもいいのではないか。」と言われ、最終的には、「介護認定申請を受理するかは考えてから決めます。」と言われた。
 介護認定を受けなくてもいいと言われるのはおかしいのではないか。
当該市では総合事業が始まっており、介護認定を受けなくてもチェックリスト等で該当すれば、介護予防・生活支援サービスを利用できるようになっていることから、市はそのように言われたのではないかと伝えると、「今後、訪問看護や福祉用具を利用したくなるかもしれないのに、初めから介護認定を受けさせないのはおかしい。当該市は総合事業を実施しているというが、他の市は違うのか。日本全国どこでも同じサービスを受けられるというのが介護保険ではなかったのか。」と主張された。
 平成27年4月に制度改正があり、各市町において、要支援者等の訪問介護等が「総合事業」という制度に移行していく。各市町が地域の実情に応じて実施することになっていると説明すると、「この市に住んだことが運のつきということか。市の対応を連合会に言っても仕方がないが、福祉の切り捨てを実感していることを知ってほしい。」と言われ電話を終えられた。
家族(岩手県)同居家族の認定更新手続きを「地域包括支援センター」に代行してもらい申請した。その際、調査日や連絡対応時間帯等の希望時間を記入して提出していたが、希望が反映されておらず、また、対応する職員の対応に怒りを感じた。申請書に記入しても希望は通らないものか、あのような対応をする方には、家族の調査をしてもらいたくない。認定調査を希望する日時で進められなかったことをお詫びした。認定調査にかかわる部署を問われたため、保険者の連絡先を伝えた。

認定結果に関する不満

申立人
     内容    対応結果
利用者本人(東京都)状態が悪化しているのに、要支援2から要支援1になったのは納得できない。地域包括支援センターに確認したところ、利用当事者へは介護の手間が軽減したことや、国で定めた基準を基に認定調査を行っていること等説明を行ったとのことだった。日常生活について尋ねるも、ほぼ全てのことを自分自身でできるよう努力しており、介護の手間が見られなかった。利用当事者の頑張りが要介護度を下げることにつながっているのではと伝え、今後、体力面で不安なこと等があれば介護支援専門員に相談するように伝えた。
家族(東京都)更新申請の結果、要介護5から4に変更になった。状態が変わっていないのにおかしい。審査資料を確認し、前回調査との変化を伝えた。現状と違うようであれば、区分変更申請を勧め、その際、当初の調査時に伝え切れなかった部分を細かく伝えていただくよう依頼をした。
家族(東京都)要介護2から要介護5となり、事業所に支払う料金が増えた。知人に聞くと要介護5は「寝たきり状態」と言われたが、利用当事者はそれほどの状態ではない。主治医から介護老人福祉施設に入りやすいように要介護5にしてあげると言われ、深く考えなかったが、医師と事業所の管理者が儲けを増やすため、グルになっているように思われる。要介護度の判定は、主治医が単独で行っているという誤解があったため、認定審査は審査会委員の判定によること、軽度判定を求めるなら区分変更が可能であることを説明した。判定内容に関しては、保険者の担当部署に確認してもらうように伝えた。
家族(鹿児島県)介護給付費のお知らせのハガキに要介護度毎に状態のめやすが記載されていた。それに照らし合わせると、母は認知症状があるので要介護2ではなく3から4が妥当ではないかと思った。認定のしくみがおかしいのではないか。認定結果に不満等がある場合は、区分変更申請があることを説明した。
ハガキに記載されている状態のめやすは、要介護4と5以外に認知症の状態について記載がないが、要介護1、2、3だから認知症はないということではないと説明し理解を求める。
利用者本人(宮城県)86歳で介護認定を受けるために書類提出したが非該当となった。7つの病名がついているのに医者が意見書に1つきり書いてくれなかったためと考える。いろいろな機関に相談したが、現在の制度では無理と言われた。同様な回答であれば結構であるとのことで終了した。
利用者本人(岩手県)要介護度が下がったのは主治医意見書の内容記載に不備、記載もれがあったのではないか。複数の医療機関を受診している場合、申請の際に、複数の医療機関での受診情報を集約して主治医に伝達する、またはそうするように本人や家族にアドバイスをするのが行政やケアマネジャーの責任ではないのか。窓口では申請時に主治医の確認をするため、申請者に受診状況確認は行っている。窓口の申請の他に介護サービス事業所が申請代行する場合もあるので、代行申請の際は本人家族より受診状況をよく聴きとってもらうように担当課より改めて周知し、注意を促すこととした。併せて傷病の有無が要介護度の判定に直結するものではない意見書の記載内容は医師の判断によるものである事も本人家族に説明した。
家族(東京都)認定結果が非該当であった。地域包括支援センターで申請をした際に、末期がんなら必ず介護サービスを利用できると聞き、手すりの住宅改修やリクライニングベッドを契約してしまった。利用できない可能性があるなら申請の際に説明すべきである。代行申請を行った地域包括支援センターの職員に確認したところ、説明は行っているとのことだった。今回電話をかけてきた家族と申請をした家族は別の方であり、地域包括支援センターの職員から改めて説明するように伝えた。また、非該当である理由を問われたので、介護保険サービスの量は介護の手間の量に比例すると伝え、今回の認定調査では利用当事者にできることが多かったのではないかと説明し、納得いただいた。

紹介したものは公表されているものの一部です。
苦情や不満全体の中で多いのは「認定結果に関する不満」と次回紹介する「認定調査員に対する苦情・不満」でした。
この中の「認定結果に関する不満」については、そのほとんどが「想定していた介護度と違う結果だった」というものです。
具体的には「非該当は納得できない」「同じような状態の人と介護度が違う」「状態が変わっていないのに介護度が軽くなった」「明らかに状態が悪化しているのに介護度が変わらなかった」など。
不満を表明する方々は要介護度の判定基準が「疾患」や「状態」と考えており、実際の判定では「介護の手間」が評価されていることが理解できていないように思われます。
しかし、中には認定調査員から介護度を示唆する発言があり、そのつもりでいたのに結果は違っていたというケースも見受けられます。

調査後の本人や家族との会話の中で要介護度の話になり、話の流れで一般論として要介護度について話をしてしまう場合もあります。しかし相手は一般論とは考えずに自分のこととしてとらえ、のちにそれが原因で苦情や不満になる場合がありますので対応は慎重にしたいものです。

 

次回はVol.2「認定調査員に対する苦情・不満」を紹介します。