話題|介護抵抗は‟抵抗行為”がある場合しか該当しないのか?

精神・行動障害の「介護抵抗」は、手を振り払うなどの‟抵抗行為”がないと該当しないのか?

調査項目4群の「介護抵抗」の定義は「介護に抵抗する行動」となっており、調査員テキストに記載された例では「手を振り払う」行動が紹介されています。

介護抵抗に該当する一般的な認識は介助行為に対する「抵抗」であり、声がけや促しを「拒否する」「従わない」場合などは含まれないとされています。

介護抵抗に関して照会を受けた経験

私は以前、特記事項に「薬の内服や食事を拒否し、促しても頑として言うことを聞かない」と記載して選択肢を「ある」で提出したところ、審査会事務局から「拒否しているだけなら介護抵抗には該当しない」と照会を受けたことがあります。そして選択肢を「ない」に変更する了解を求められました。

これに対して、
①対象者は日頃食事や内服に際して身体介助を受けていないので、介護者が無理やり口に入れようとでもしない限り手を振り払うなどの行為は発生しないこと
②介護者は対象者との関係を悪化させたくないとの考えから、いくら促しても拒否する場合はそれ以上無理に勧めることはしていないこと

以上の2点を説明して、選択肢を「ある」で了解してもらった経験があります。

介護現場での介護抵抗

介護の現場では、入浴、更衣、リハビリテーションなどを拒否する場面が良く見られます。
介護拒否の原因や背景についてはここでは述べませんが、介護拒否の心理状態は
拒否 → 拒絶 → 反抗・暴言 → 暴力 と拒否から抵抗へエスカレートしていくようです。

1.拒否:声がけや促しに同意しない、促されたことに対して行動を起こさない、断る
2.拒絶:頑として拒否する、大きな声を出して拒否する、介助行為に対して抵抗する
3.反抗・暴言:介助行為に対して抵抗し攻撃的になる
4.暴力:相手を攻撃する

介護抵抗は介護者にとってはストレスであり、暴言や暴力に至っては施設などでは介護離職につながることも指摘されています。

調査項目での「介護抵抗」は何が該当するのか?

必要な介護を拒否する場合は「同意しない、断る、言っても従わない状態」という意味合いが強く、介護抵抗の定義には該当しないと考えるのが妥当です。

一方、拒絶は「強い拒否」であり、度々の声がけや促しに対しても頑として受け入れない状態です。
この状態は介護の手間がかかっている状態と言えますから、介護の手間で評価判定される要介護認定ではこの”拒絶”を介護抵抗と捉えることは問題ないと思います。

拒絶から更にエスカレートした「反抗」「暴言」「暴力」は言うまでもなく介護抵抗に該当します。手を振り払う行為はこの中の反抗に該当すると考えられます。

特記事項を記載する際は

特記事項に「拒否する」とだけ記載したのでは該当しないと照会が来る可能性が高いですから、強く拒否しており、且つ介護の手間になっていることを記載するようにしましょう。

具体的には、

①「拒否する」ではなく「拒絶する」と表現する
②何度も説得や声がけをしたり、介護者を代えるなどの対応をしても頑として拒否している
③対象者の性格や以前の経験から、さらに勧めると暴言や暴力に発展する可能性が高い
④強く勧めることで対象者との信頼関係が崩れてしまう

などを記載して、拒否している状態であっても介護抵抗と判断する理由を述べるようにしましょう。

まとめ

必要な介護に対して”手を振り払う” ”暴言を吐く” ”暴力をふるう” などの行為は介護抵抗として判りやすいですが、直接介助が行われていない場合や見守りなどの場合はそのような抵抗行為までには至らず、”拒否” するケースが多く見られます。

拒否は対象者の意思表示であり、それ以上勧めることは相手を怒らせて暴言暴力に発展したり、関係を悪化させてしまうので無理強いは出来ません。

単に拒否することは「言っても従わない状態」であることから項目の定義には該当しないと考えますが、強い拒否である拒絶は実際に介護の手間となるもので介護抵抗と言えるものです。

特記事項には「拒否」ではなく「拒絶」と表現し、それに伴う手間やそれ以上強く勧められない具体的な状況などを記載しましょう。