認定調査項目を読み解くPart2|麻痺等の有無

”認定調査項目を読み解く”も認定調査員テキストを一巡しましたので、今回からは2週目∼Part2∼としてリスタートします。

1.調査項目の定義

ここでいう「麻痺等」とは、神経または筋肉組織の損傷、疾病により、筋肉の随意的な運動機能が低下または消失した状況を言う。
脳梗塞後遺症等による四肢の動かしにくさ(筋力低下や麻痺等の有無)を確認する項目である。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

 

3.選択の際の留意点

・装具や介護用品、器具類を使用している場合は、使用している状態で選択します。

・上肢は肘関節を伸ばした状態で確認動作ができるかを評価します。

・下肢は、麻痺や筋力低下で確認動作が出来ない場合と、膝関節に可動域制限があって確認動作が出来な場合があります。後者の場合、その可動域制限が軽度か或いは著しいかで評価の仕方が変わります。

①軽度の場合:可動域制限が軽度であると判断する角度の記載は調査員テキストにはありませんが、いろいろな文献から「30度未満の屈曲状態での可動域制限」を軽度とするのが妥当と考えます。
この場合は、「他動的に最大限動かせる高さまで自力で挙上することが出来、静止した状態を保持できれば『なし』と判断する」に該当します。

②著しい場合:可動域制限が軽度と判断する30度以上の可動域制限がある場合を「著しい」と判断するのが妥当と考えます。
この場合は、「他動的に最大限動かせる高さまで自力で挙上することが出来る」か否かに関わらず、該当する下肢を選択します。

・欠損によって目的とする確認動作が行えない場合は、欠損している部位の選択肢も選択します。

・手指、足趾はそれぞれ上肢、下肢に含みます。※1

※1 保険者によっては手指、足趾に麻痺等がある場合は「その他」を選択することとしている場合があります。この場合、「その他」を選択してもしなくても1次判定結果は変わりません。(5月の「調査項目を読み解く」参照)

4.ポイント

・下肢の確認動作と歩行状態は必ずしも一致しませんので、それぞれを切り離して評価します。

・下肢の確認動作は対象者の姿勢に影響されるので、上体が後方に倒れずにキチンと座位になれる椅子を使用するか、仰向けで確認する場合は膝の下に固い枕を使用するなどして評価します。

・下肢の確認動作を椅子で行う場合は、大腿部が座面から離れないようにします。

・「その他」は特記記載のための選択肢です。「その他」を選択しても一次判定の「要介護認定等基準時間」には反映されません。

5.特記事項記載の留意点

・日常生活の支障に関する記載は不要です。(麻痺の項目以外に関連する項目がない場合はこの限りではない)

・選択の根拠となる可動域制限については、その角度などを分かる範囲で記載します。

・その他を選択した場合は、その部位と具体的な状況を記載します。

6.選択に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース選択肢選択理由
調査の際、対象者が拒否して確認動作が行えなかったが、家族の話では日頃、身体機能 に問題はなく、上肢下肢ともに確認動作と類似の動作はできているとのことない確認動作が行えなかった場合は、概ね過去1 週間において頻回に見られる状況や日頃の状況で選択します。
確認動作はできるが、手指 振戦があり書字や裁縫等の巧緻作業ができないない実際に行った確認動作で選択する。日常生活の支障をもって判断するものではない
両上肢ともに片方ずつでの確認動作はできるが、 腹背筋の筋力低下で両側を同時に上げることができないない片方ずつ確認動作を行い評価する
ベッド上生活で、調査の際は指示が通じず確認動作は行えなかった。家族の話では日頃も腕を肩の高さまで上げる動作はないとのこと。上肢実際に確認動作をやってもらえない場合は、日頃確認動作と同様の動きができているかを聞き取り判断する。なお、特記にはやってもらえなかったこと、選択した理由を記載する。
上肢は肩から肘にかけて痛みがあり、肘を深く曲げた状態なら肩の高さまで上げられるが、肘を伸ばした状態では痛くて上げられない上肢肘関節を伸ばして確認動作を行うのが原則であり、痛みによって確認動作ができない場合は該当する上肢を選択する。
筋力低下で膝から先を水平に上げられない下肢医学的な意味での麻痺でなくても 、筋力低下で確認動作ができない場合は該当する下肢を選択する
膝に可動域制限があり約30度曲げた状態から伸ばせない。下肢30度以上の可動域制限がある場合は、他動的に伸ばせる最大限まで自力で伸ばすことができても、可動域制限が著しいと考え、麻痺と評価するのが妥当です。
足関節からの欠損があるが下肢の確認動作はできるその他欠損があっても確認動作ができている場合は欠損による「その他」のみ選択する。
腰曲りが強く、腰を伸ばすことができないその他一次判定には反映されませんが、特記を記載することで対象者の状態像の理解にはつながります。