認定審査会に伝わる特記を書く|日常の意思決定

ポイント

実際の特記記載例を見てみると選択基準を理解していないと思われる特記と記載内容が多く見られます。

1.「2.特別な場合を除いてできる」を選択して、特記にはなにも記載がないケースが多い。

この場合は、
①3群・4群・5群の特記を観れば選択理由が判るので特記記載は不要。
②日常的に行われる場面では決定できているので特記記載は不要。
のいずれかの理由と思われます。

特記記載を省略できるのは「1.特別な場合でもできる」を選択した時であり、「2.特別な場合を除いてできる」を選択した場合は具体的な選択理由の記載が必要です。

2.「3.日常的に困難」を選択した場合の特記には「日常的に意思決定は行っていない」の記載が多い。

この場合は、意思決定は行っていないが「4.できない」には該当しないと考えているものと思われます。

日常の意思決定ができないと判断するのは、①意思疎通ができない②聞かれても答えられない(相手の話していることが理解できない)③意思決定できるかわからない場合であり、3-1意思の伝達が「ほとんど伝達できない」あるいは「できない」状態の方が該当すると解釈しているものと思われます。

そのため、ある程度意思疎通ができる方であれば、日頃意思決定を行っていない場合でも「4.できない」を選択せず、「3.日常的に困難」を選択しているものと思われます。

特記に「意思決定は行っていない」と記載した場合は選択肢は「できない」を選択するべきですが、自発的に意思決定していない場合でも、介護者に意向を聞かれそれに対して何らかの形で返答している場合があるものです。このような場合は「日常的に困難」に該当しますからその状況を記載するべきです。

3-1意思の伝達との関連

3-1意思の伝達と5-3日常の意思決定に関連はありますが、日常の意思決定の場合は「理解して妥当な決定が出来ているか」が判断基準ですから、もし日常的に意思決定を行っていない場合は「4.できない」を選択することになります。

・選択肢の選択基準や留意事項はこちらをご覧ください。

記載例選択肢ポイント
診療方針の合意には妻が支援している。特別な場合以外可介助の方法ではなく、能力項目ですから「できる」「できない」の表現の方がいいと思います。
複雑な事は指示や支援を要する。特別な場合以外可「複雑な事」の表現ではなく、具体的な状況の記載をすべきです。
日常的に娘が声がけ、促しをしている。自分で何かを選択することはなくなっている。日常的に困難具体的にどのような事に対して声がけが行われているか、何かを選択することは全くないのかを記載をするべきです。
認知症の進行で、自分で判断したり決定したりできない。日常的に困難ポイントに記載したように、日常的に困難ケースの特記にはこのような記載が多くみられます。飲食やどこで過ごすなど限定したことについて意向を聞いても決定できなければ「できない」を選択するべきでしょう。
治療方針の決定や合意は家族がしているが、自分で新聞を取り、TV番組も自分で選んでいている。必要な物は自分で決定して娘に購入を頼んでいる。特別な場合以外可分かりやすい特記です。
非日常的なこと以外は自分で意思決定している。特別な場合以外可この特記も特別な場合以外可の特記でよくみられるものです。特別な場合を非日常的と表現していると思われますが、具体的な状況を記載するべきです。
日常の意思決定は行っていない。(3-1意思の伝達:ときどき伝達できる)日常的に困難特記の状況であれば「できない」を選択するべきです。日常的に決定はしていないが決定できる時がある、或いは限定したことであれば決定できる場合はその状況を記載するべきです。
認知症の進行により日常的に困難日常的に困難具体的な状況を記載するのが特記ですから、具体的な状況を記載をするべきです。
理解力が低下しており、重要事項は夫の支援が必要。日常的に困難重要事項のみ支援が必要な状態ならば特別な場合以外可を選択するべきです。
限られたことのみ、頷くなどして選択することができる。日常的に困難「限られたことのみ」の記載があるので日常的に困難であることが理解できます
職員が指示・声がけを行い日常生活を送っている。日常的に困難この特記は介助の方法の記載になっているので「○○できる」「○○が出来ない」など、能力の記載にすべきです。
現在施設入居中。TV番組を選ぶことはなく、献立を選択する場合でも「好き嫌いがないので何でもいい」と自分で意思決定することはない。できない「できない」を選択するのは意思決定が全くできない場合であり、この場合は「何でもいい」と意思決定している状況ですから「できない」には該当しないと思います。
全て依存しており、職員の声がけや指示が必要日常的に困難能力項目ですから特記は「できる」「できない」の表現が望ましいです。
通院や担当者会議には家族などの参加が必要できないこの特記は「特別な場合以外可」を選択する内容です。自分の身の周りについての決定状況を記載すべきと考えます。