認定調査項目を読み解く Part2|片足での立位・洗身

片足での立位

1.調査項目の定義

片足での立位の能力を評価する項目です。

ここでいう「片足での立位」とは、立ち上がるまでに介助が必要か否かに関わりなく、平らな床の上で、自分の左右いずれかの片足を上げた状態のまま立位を保持する(平衡を保てる)ことができるかの能力です。

平らな床の上で、自分で左右いずれかの片足を上げた状態のまま1秒間程度立位を保てるかどうかで選択します。

調査対象者に実際に行ってもらう、あるいは調査対象者や介護者からの日頃の状況に関する聞き取り内容で選択します。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

 

3.選択の際の留意点

・「何か支えがあればできる」は自分で何かにつかまる場合であり、介助者の支えは含まれません。介助者の支えが必要な場合は「できない」を選択します。

・片方の下肢に麻痺などがあり、麻痺側の下肢が完全に上げられずに床に着いている場合であっても、麻痺側の足が立位保持に関与していない状況であれば、健側の足のみで1秒間程度平衡を保てるかで選択します

・福祉用具や器具類などを使用している場合は、使用した状況で選択します。

・実際に行った確認動作の状況と日頃の状況が異なる場合は、一定期間(調査日より概ね過去1週間)の状況においてより頻回な状況で選択します。その場合、実際に行ってもらった状況と日頃の状況、選択した根拠等を特記事項に記載します。

4.ポイント

・左右どちらか片方の足で平衡を保つ(フラフラせずに安定を保って立っていられる)ことが出来るかで判断します。

・両足立位保持が比較的安定している場合は、両足立位の動作確認に続いて、その場でゆっくり足踏みをして貰いその状態で評価するのも良いでしょう。

5.調査にあたっての注意点

転倒防止のために、安全を確保した状態で実際に行ってもらうようにします。

.判断に迷うケースと間違いやすい特記記載例

ケース・特記記載例選択肢選択理由・ポイント
片足立ちはふらつきが強いが支えて貰いながら何とかできた。ふらつきがあるので職員の介助なしでは転倒する危険がある。支えがあればできる選択の際の留意点にあるように“支える”は対象者が何かを支えにする、または何かに掴まって保持できる場合を言います。この場合は「できない」を選択します。
(1-6~9について共通の特記)普段実施しておらず、車椅子を使用している。1-6~9全て「できない」を選択選択肢自体は間違っていないですが、この項目は能力項目ですから“普段実施しておらず”の記載ではなく“支えがあっても掴まってもできない”としたほうが良いでしょう。
両下肢筋力低下にて歩行も行っていない状況のため片足立位保持は出来ない。できない下肢筋力低下や歩行ができない方が片足立位が出来ないとは限りません。基本的には動作確認を行うべきで、確認動作が出来なかった場合に「支えがあっても掴まってもできない」と記載するべきです。
右片麻痺があり右足はわずかしか上げられない。右足が軽く床に付いているが左足にのみ荷重して何にも掴まらずに1秒程度は安定して立っていられる。支えなしで出来る選択の留意点にあるように、麻痺等があって片足がきちんと上げられない場合でも、上げた足が立位保持に関与していない場合は「できる」を選択します。
両腕で手すりを掴み、手すりに体重をかけた状態なら何とか片足を上げられる。できない片足に荷重している状態なら「支えがあればできる」、足に荷重していない状態ならば「できない」と評価するのが妥当です。

前回の片足立位の記事

 

洗身

1.調査項目の定義

「洗身」の介助が行われているかどうかを評価する項目です。

ここでいう洗身とは、浴室内(洗い場や浴槽内)で、スポンジや手拭いなどに石鹸やボディシャンプーなどを付けて全身を洗うことをいいます。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・入浴環境は問いません。

・入浴行為および洗髪行為は含みません。

・習慣的にまたは医学的理由から、入浴しても石鹸などを使用せず、タオル等で擦り洗いしている場合はその行為を洗身として評価します。

・複数の入浴形態があり、介助の方法がそれぞれで違う場合は、一定期間(過去概ね1週間)での頻度で選択します。もし状態の悪化などで一定期間内でも介助の方法が変わっている場合は、今後も継続して行われる状況を想定して選択し、具体的な状況と選択理由を特記事項に記載します。

・身体を洗う行為に対して介助が行われているかを評価するもので、タオルや石鹼の準備行為などは含まれません。

・一部介助に含まれる「見守り」は、洗身行為あるいは洗身行為を含めた入浴全般に常時の付き添いが行われている場合が該当します。

・介助されていない状態や実際に行われている介助の方法が不適切と判断した場合は、適切な介助の方法を選択し、不適切とした理由と適切な介助の方法の選択根拠を特記事項に記載します。

4.ポイント

・入浴形態や洗身介助の方法が複数ある場合は頻度で選択しますが、実際の介護の状況が分かるように「週〇回ディサービスでのみ入浴している」「通所サービスで週2回、自宅で週3回入浴しており、頻度から選択する」などと状況を記載し、そのうえで介助の方法を記載しましょう。

・一部介助に含まれる「見守り」は、常時の付き添いがされ、洗身行為あるいは転倒防止目的もかねた洗身を含めた入浴行為全体に対して指示・声掛け・確認が行われている場合が該当します。浴槽の出入りだけが見守りされているような場合は該当しません。

5.判断に迷うケースと間違いやすい特記記載例

ケース・特記記載例選択肢選択理由・ポイント
見守りのもと自分で洗身している。介助されていない洗身を含めた入浴行為に対して見守りされているのであれば「一部介助」に該当します。見守りの目的が安否確認や転倒防止など、洗身に関わるものでないと判断した場合は「介助されていない」は誤った選択ではありません。このケースの場合選択肢と特記内容が一致していないと考えます。
施設入居中。自分で入浴洗身可能。常時の見守りはないが、職員が何度か出向き様子を見ている。介助されていない常時の付き添いがない場合は見守りには該当しません。
入浴拒否があり何とか週1回入浴している状態。浴室に介助者が入るのも拒否しており、職員は脱衣所で様子をうかがっている。自分で届く所のみを洗っている様子との職員談。介助されていない脱衣所で様子をうかがう場合は見守りには該当しません。現在の状態が不適切でないのであれば「介助されていない」が妥当な選択と言えます。
ショートステイ利用中で、職員が見守りしていれば洗身も整髪も自分で出来る。一部介助洗身は介助の方法の項目なので「できる」という表現は適切ではありません。一部介助を選択するのであれば、見守りが必要であることと常時の見守りがされていることを記載するべきです。
グループホーム入居中で、洗身は自分で行うが、どこを洗ったか忘れてしまい同じ所を何度も洗う。確認や指示が必要である。一部介助介助の方法を評価する項目なので「必要である」の表現は適切ではありません。現在の状況は不適切と考え、適切な介助として「確認や指示が必要と考え」一部介助を選択したと記載するべきです。
施設入居中で入浴は一人でしており、洗身しているか不明との職員談。能力的に介助が必要と判断した。一部介助実際に介助が行われていない場合に「一部介助」を選択するのは、現在の状況が不適切と判断した場合です。一部介助を選択するのであれば“能力的に介助が必要”ではなく、現在の状況が不適切であると判断する記載をすべきです。
有料老人ホーム入居中。脳梗塞後遺症による片麻痺がある。入浴の際はスタッフ立会しているが洗身は自立している。一部介助ポイントにあるように「見守り」に該当するのは常時の付き添いがあり、洗身あるいは洗身を含めた入浴行為に対して声掛けや確認が行われている場合です。一部介助を選択するのであれば「洗身は自立している」ではなく、「自分で洗身しているが洗身を含めた入浴全般に見守りが行われている」とするべきです。

 前回の洗身の記事