話題|4群”自分勝手に行動する”はどんな行動が該当するのか?

「4-14 自分勝手に行動する」の判断をどうすべきか迷う方も多いのではないでしょうか?

今回は判断に悩む方が多い“自分勝手に行動する”の判断と考え方について述べてみたいと思います。

1.テキストにある調査項目の定義

「自分勝手に行動する」頻度を評価する項目。
ここでいう「自分勝手に行動する」とは、明らかに周囲の状況に合致しない自分勝手な行動をすることである。

2.テキストにある調査上の留意点

いわゆる、性格的に「身勝手」「自己中心的」などのことではなく、場面や目的から見て不適当な行動があるかどうかで判断する。

3.Wamnet(独立行政法人福祉医療機構)が行ったアンケート結果(実施年度不明)

「4-14:自分勝手に行動する」は判断に迷う項目順位 第9位

<アンケートで寄せられた意見>

①具体的な内容の記載例をもっとあげて欲しい。

②自宅よりも通所サービス利用の時間が多いが、自宅では問題ないがディサービスの時だけ問題行動がある場合はどう判断するのか。

③自分勝手と身勝手の違いが不明。

④テキストの状態像や事例の記載が少なく、どこまでを性格的なことと評価するのか難しい。

⑤どういった行動が身勝手なのか? 徘徊や落ち着きなしは含まれるのか? また、集団への不適応との違いは何か。

⑥本人に目的があれば該当しないのか。  など

 

4.私が考える判断基準  

<該当する行動・行為>

行動・行為 具体例
規則違反(法律違反、施設等の規則違反) 万引き、施設内での金銭のやり取り、無断外出、など
他害行為(他人、他人の物に危害を加える) 暴力、物を投げつける、物を壊す、など
目に余る迷惑行為 暴言、セクハラ、盗食、放尿、など
周囲に止められている行為(身体事故やその他の事故につながる行為) 車の運転、火を使う行為、転倒の危険がある行為、高額商品購入、など


<該当しない行動・行為>

行動・行為 具体例
顰蹙(ひんしゅく)を買う行為 集団で食事中に義歯の入れ外しをする、同居家族を信用しておらず外出の際は多額の現金を持ち歩く、など
自己中心的、身勝手な考えによる行為 他人に指示する、好きな物しか食べない、など
するべき事をしない状態

整容をしない(不適切な状態ではない場合)、下着を毎日交換しない、同じものを着続ける、部屋を片付けない、など

 

5.他の項目との関連

3-8 徘徊:在宅で外出自体を止められていない場合、また、施設内などでの徘徊は何らかの理由で行動した結果であることが多く、いずれの場合も勝手な行動に該当する行為とは言えません。上記表参照

4-9 一人で出たがる:周囲に止められているにも拘わらず外に出てしまう場合は該当すると考えます。この場合は「一人で出たがる」と「勝手に行動する」の2項目に該当します。

4-10 収集癖:窃盗や万引きなどの規則違反、周囲から止められているにも拘らず行っている行為などは該当します。この場合は「収集癖」と「勝手に行動する」の2項目に該当します。

4-11 物や衣類を壊す:物を投げつける場合や壊す場合は該当します。この場合は「物や衣類を壊す」と「勝手に行動する」の2項目に該当します。

なお、1次判定ソフトでは「4-11物や衣類を壊す」が「ある」を選択しているにもかかわらず、「自分勝手に行動する」が「ない」を選択している場合は不整合な組み合わせとして警告コードが表示されます。

 

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