話題|新型コロナ感染第8波について

昨年の認定調査は新型コロナ感染を抜きにしては語れません。

2年前、3年前に比べると対面での調査が出来るようになりましたが、依然施設等では対象者の部屋には入れず、寝返りや起き上がりの確認ができない所も多くあります。

昨年10月ごろからは感染者が徐々に増えて第8波と言われるようになり、国内でもオミクロン株のBA5から変異したBQ1の感染者が増え、そのため5回目の2価ワクチン接種を受けた人も感染する状況となっているようです。

NHKのサイトで現在の新型コロナ感染状況についてのわかりやすい記事がありましたのでこちらを転載させていただきました。

新型コロナ “第8波” わかってきたこと【12/26】

1日の感染者数 横ばいのあと増加

新型コロナの1日の感染者数は、12月21日、全国で20万6943人と、およそ4か月ぶりに20万人を超え、「第8波」では最も多くなりました。

1週間平均の1日あたりの感染者数は12月上旬に一時、横ばいになりましたが、その後、増加が続いています。

厚生労働省の専門家会合は12月21日、感染者数が増加する速度は低下しているとしながらも「増加傾向が続いている。遅れて感染拡大が始まった中国・四国や九州などでは増加幅が大きい」と分析しました。

これまで主流だったオミクロン株の「BA.5」による感染に加え、より免疫から逃れやすい新たな変異ウイルスへの置き換わりが進んできていることが影響しているとみられています。

新型コロナ対策にあたる政府分科会メンバーで東邦大学の舘田一博教授は「行動制限がないなかで年末年始の時期を迎え、クリスマス、忘年会、帰省、新年会と接触機会が増えることなどで感染が急増に転じないか注意が必要だ」と指摘しています。

「第8波」亡くなる人が多くなっている

「第8波」で懸念されているのが、コロナに感染して亡くなる人の数が感染者数に比較して多くなっていることです。

オミクロン株が主流となって以降、感染して重症化する人の割合や亡くなる人の割合「致死率」は下がりましたが、以前より桁違いに多くの人が感染するようになって結果として多くの人が亡くなっています。

今回の第8波についてみると、全国の感染者数は1週間平均で1日あたり16万人ほどと、22万人を超えた2022年夏の「第7波」のピークには至っていません。

ところが、亡くなった人の数は12月22日と12月24日に339人と、第7波のピークに近くなっています。

専門家は、
▽オミクロン株対応ワクチンの接種があまり進んでいないことで、高齢者を中心に亡くなる人の割合が増えている可能性があること、
そして、
▽2022年9月に感染者数の報告形式が変わって以降、報告の精度が下がり、感染しても受診しない人も増えているとみられるなど感染者数が以前よりも正確に把握できなくなり、実際にはさらに多くの感染者が出ている可能性もあると指摘しています。

また、呼吸器の病気が重症化するだけでなく、感染後に血栓ができるケースも報告され、心臓など循環器の病気になってきているのではないかという見方も専門家から出されています。

(舘田教授)
「まだ第8波の入り口の段階で、亡くなる人の数は2022年夏の第7波のピークに近づきつつあり、これから感染が拡大し、亡くなる人がさらに増える事態を懸念している。年末年始はただでさえ通常の疾患の患者が増え医療体制が弱くなる時期で、事故によるけがや心疾患などの病気の人に対応できなくなる事態もありうる」

また、海外を含めた感染の状況に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「亡くなった人の数は表に出てきている一方で、感染者数はいま報告されているより少なめになっている可能性もある。実際にはもっと感染している人がいて、すでに第7波と同じ程度の感染状況になってきているおそれもある」と指摘しています。

今後の感染状況 AIの分析と予測は

では、今後、感染状況はどうなっていくのでしょうか。

大きく影響するのは人と人との接触の状況です。

12月21日、厚生労働省の専門家会合は、東京や愛知、大阪では午後8時から10時の繁華街の人出がコロナの感染拡大が始まって以降、最も高い水準になっていると指摘。

忘年会や新年会などでさらに人と人とが接触する機会が増えることが懸念されるとしています。

一方で、午後10時以降の人出は過去最多の水準までは増えていないとして、脇田隆字座長は「夜、食事などで繁華街に出かけても、比較的短時間で終わって帰る傾向が見られている」と話しています。

今後の感染状況はどう推移するのか。

名古屋工業大学の平田晃正教授らのグループは、新たな変異ウイルスの状況や過去の感染状況、ワクチンの接種状況、ツイッターなどで出てきた飲み会の開催状況などの情報をもとにAI=人工知能を使って分析しています。

東京都の1週間平均の1日あたりの新規感染者数は12月半ばの時点で1万5000人余りで、これまでのところ、12月5日までのデータをもとに行ったシミュレーション通りで推移しています。

ただ、推計では忘年会や新年会などの開催状況など社会活動の大きさ次第で、12月下旬から1月上旬にかけて感染者数が大きく増えるか、ある程度抑えられるか、大きく異なることになるとしています。

には年明けにかけて緩やかに上昇し、1月上旬におよそ1万9000人でピークに。

これに対し、社会活動が大きかった場合には1月上旬にはおよそ2万8000人に達するという試算が示されています。

(平田教授)
「SNSで見られる『飲み会』などのキーワードは前の年よりも多めだが、それもプラス30%程度に抑えられている。夜間の人出もそれほど大きな伸びではなく、ハロウィーン後と比べても比較的穏やかな上昇スピードだ。コロナ禍前の生活に徐々に戻りつつも、多くの方が節度を持って行動しているのではないか。ただ、2021年は12月最終週から人の活動が一気に戻ってきて、オミクロン株の拡大につながった。移動やふだん会わない人と接する機会が増える時期で、感染状況を引き下げる要因はほとんどない」

より多くの人が亡くなるおそれ”

AIの予測では1月中旬が感染者数のピークとなり、その後遅れて亡くなる人が増えてくるため、2月にかけて高い水準が続く可能性があるということです。

東京都で亡くなる人の数は、社会活動が比較的抑えられた場合でも1週間平均で1日あたり20人あまりという状態が2月にかけて続くとしています。

第7波のピークだった1日あたり30人近い水準を超えることはなさそうだという試算になったということですが、多い状態が長引くため、トータルでみるとより多くの人が亡くなるおそれがあると懸念しています。

新たな変異ウイルス拡大の懸念も

さらなる感染拡大の要因となりうるのが新たな変異ウイルスへの置き換わりです。

現在も主流となっているのはオミクロン株の「BA.5」ですが、
▽「BA.5」のスパイクたんぱく質の部分に変異が加わった「BQ.1」と、
▽そこにさらに変異が加わった「BQ.1.1」の検出が増えてきています。

これらは合わせてオミクロン株の「BQ.1」系統と呼ばれ、免疫を逃れる性質が強く感染拡大が懸念されています。

東京都のデータでは、11月の時点で「BA.5」が73.9%だったのが12月は22日時点のデータで68.1%と割合が減少してきています。

また、「BQ.1.1」が9.4%、「BQ.1」が2.5%と合わせて1割を超えてきています。

アメリカでは、CDC=疾病対策センターのデータによると、12月24日までの1週間で「BA.5」は6.9%、「BQ.1.1」が35.7%、「BQ.1」が27.4%で、「BQ.1」系統が6割余りと主流になっています。

オミクロン株のうちの複数のタイプのウイルスが組み合わさった「XBB」も18.3%を占めています。

ECDC=ヨーロッパ疾病予防管理センターによりますと、フランスやドイツなど7か国では12月11日までの2週間で、「BQ.1」系統が52.0%を占めて最も多く、「BA.5」は31.1%、「BA.2.75」は8.2%、「XBB」は6.5%などとなっています。

一方、いわゆる「ゼロコロナ政策」が見直され、感染拡大が起きている中国では、「BA.5」にさらに変異が加わり、免疫の攻撃をすり抜けやすいとされる「BF.7」が拡大しているとされます。

東京医科大学の濱田特任教授は、中国の感染状況が日本など周辺の国に影響を与える可能性やウイルスの変異が進むおそれを懸念しています。

(濱田特任教授)
「『BF.7』は『BA.5』に変異が加わったものなので、そこまで感染力が変わらないのではないかという指摘もあるが、注視する必要がある。中国では1月に、旧正月の『春節』の時期を迎えてこれまで以上に国内外で移動が活発になることが予想される。この時期に中国国内の感染のピークが重なれば、日本を含めた周辺各国の感染状況に影響が波及することは想定しておく必要がある。また、中国国内で極めて大勢の人が感染し今後も拡大していくことになれば、性質が変わってしまう新たな変異ウイルスが生まれるおそれもある」

ワクチンの効果 わかってきたこと

ワクチンの効果について、どこまでわかっているのでしょうか?

いまも主流の「BA.5」に対しては、効果がみられるという報告が出されています。

国立感染症研究所は、従来型のワクチンを2回以上接種した上でオミクロン株対応のワクチンを接種した人では、「BA.5」の感染が主流となっていた2022年9月から11月にかけて発症を防ぐ効果は71%だったと発表し、高い効果が示されたとしています。

一方で、新たな変異ウイルスに対してはワクチンの効果は下がるとする報告が各国から出されてきています。

東京大学医科学研究所の河岡義裕特任教授らのグループは、新たな変異ウイルスについて、その働きを抑える中和抗体の値がどうなるのか、ワクチンを接種した人の血液を使って実験した結果を12月7日、国際的な感染症の専門雑誌に発表しました。

それによりますと、中和抗体の値は従来型のワクチンを4回接種して1か月から2か月後の時点で、「BQ.1.1」では従来型のウイルスに対するのと比べておよそ43分の1に「XBB」ではおよそ52分の1になっていて、免疫の攻撃をより逃れやすくなっていたことがわかったとしています。

また、オミクロン株に対応したワクチンの新たな変異ウイルスへの効果について、アメリカ・コロンビア大学などのグループが12月、科学雑誌の「セル」に発表しています。

それによりますと、従来型のワクチンを3回接種し、オミクロン株対応のワクチンを追加で接種した場合、「BQ.1.1」に対する中和抗体の値は従来型のウイルスに対する値と比べておよそ41分の1になっていたということです。

感染予防への効果は下がる可能性がありますが、グループは「重症化を抑える可能性や後遺症のリスクを下げる可能性は、引き続き示されている」としています。

ワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は、抗体のレベルが下がっているからといって、新たな変異ウイルスに対してワクチンの効果がなくなるわけではないとしています。

(中山特任教授)
「抗体のほかに、細胞性免疫といって感染した細胞をやっつける力も、ワクチンの接種で押し上げられる。中和抗体は免疫機能のうちの1つの指標として見ているにすぎず、それだけですべてを議論することはできない。感染することはあるかもしれないが、重症化を抑えるという意味で十分機能する。今後、国内で『BQ.1』などの新たな変異ウイルスが増えていく中でも、重症化を抑えるという点で有効性のあるワクチンだと思う」

とるべき感染対策は変わらない

厚生労働省の専門家会合は年内にオミクロン株対応のワクチン接種を終えるよう呼びかけ、感染に備えて、自分で検査できる抗原検査キットの活用を進めるよう求めています。

そして、大切なのが基本的な対策の再確認です。

▽発熱などの症状がある場合は学校や仕事には行かず、ほかの人との接触を極力避ける。休養が重要。

▽手指の消毒、屋内で人と近い距離で会話する場面などではマスクを着用する。

▽飲食店などでは換気を徹底する。

さらに、新型コロナの感染拡大が始まって以降、例年、年末年始のこの時期にはふだん会わない人との接触機会が増えることなどが影響して、全国で感染が急激に増加する傾向が続いています。

忘年会や新年会、帰省をする際、かぜのような症状があるなど不安がある場合には見合わせることも大事なポイントです。

(NHKサイト:https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/eighthwave/detail/detail_29.html