認定審査会に伝わる特記を書く|被害的・作話
特記記載のポイント
・被害的になる=作話ではありませんので書き方に注意しましょう。
・推測ではなく実際にあった事実を評価し特記記載しましょう。
例えば、何かの理由で対象者の当日の朝食が出なかったとします。それに対して「私だけが食事を食べさせてもらえなかった」と言っている場合、「私だけが食べさせてもらえない」という発言は被害的な考えに当たりますが、実際に食事が出ていないので作話には該当しません。
実際には食事が出てそれを食べているにも拘らず前述のような訴えがある場合は「作話」にもに該当します。
・幻視および幻聴を作話として評価するかは保険者によって違うので確認することをお勧めします。
被害的になる
記載例 | 選択肢 | ポイント |
---|---|---|
難聴のために耳元で大きな声で話さないと聞こえないのだが、介護者が大きな声で話すと怒られたと感じて「いつも怒られている」と言う。 | ある | この場合は、状況がその場にそぐわないとは言えないため、被害的になるには該当しないと思います。「ない」を選択して特記のみ記載するべきです。 |
現在施設入所中。他人と関わるのが嫌いで「他の人が勝手に部屋に入って来るので困る」と毎日のように言う。 | ある | この特記内容では他利用者が実際に部屋に入って来るのかの記載がないため、妥当な評価なのか判断できない。 |
現在施設入居中で、夜間は自室に誰も入れないように整理箪笥を入口に置きバリケードにする。独居当時から行動で、襲われると心配しているようだとの家族談。 | ある | 被害的な発言がなくても実際の行動から判断したケースで、選択肢は妥当ですが、施設側の手間の記載があればbetterと思います。 |
現在小規模多機能施設に連泊中で、食堂での自分の座る場所の上座下座にこだわり「私をこんな端っこにおいて」と言って自室に戻ってしまうことが週に1∼2回ある。 | ある | この場合は項目の定義に該当しないと考えます。被害的と判断した理由を記載しましょう。 |
他の利用者を指して「夜私の部屋に来て、置いてあるものを持って行く」などと職員に毎日訴える。職員はその都度話を聞き、なだめるなどの手間がかっている。 | ある | 実際に起きている話ではないことを書き添えたほうが判りやすいと思います。 |
2か月前に消化器疾患で入院し、2週間前に施設に退院した。入院中は「病院に持ってきた物がなくなった」などと毎日のように訴えていたが、施設に入居してからは被害的な言動は見られていない。 | ある | 該当する行動が概ね過去1か月以内にどの程度発生しているかで評価しますが、その間に大きな環境の変化がある場合は、現在の環境でその行動が起こっているかで評価します。この場合は施設入居後の行動で判断することになるので「ない」を選択するべきです。 |
作話
記載例 | 選択肢 | ポイント |
---|---|---|
1か月前に、財布から現金を出して支払いしたことを忘れて「財布のお金が無くなった」と言い出したことがあった。 | 時々ある | 実際に現金が無くなっている状況なので作話には該当しないと考えます。ひどい物忘れとして評価するべきと考えます。 |
1日に何度も「もう駄目だ、死にたい。遺品の整理をしたいので親せきを呼んで欲しい」と言う。 | ある | どの部分を作話と評価したのかが判りません。この場合は「同じ話をする」で評価するべきと思います。 |
ショートステイ利用当日に「知らない人ばかりだから行きたくない」と本人がキャンセルした。家族が、行きたくない理由を聞くと治療中の帯状疱疹が痛くて行きたくないと言う。主治医の話では帯状疱疹はだいぶ良くなっているとのこと。 | 時々ある | 身体症状は個人差があるので作話として評価するには不適切と思います。 |
朝や夜間に幻視や幻聴がある。 | ある | 作話と評価する幻視・幻聴による対象者の具体的な状況を記載するべきです。 |
都合の良いように話をすることが日常的にある。 | ある | 都合の良い話=作話とは判断できないので、作話と判断できる具体的な内容を記載するべきです。 |
現在施設入所中で、皮膚に湿疹ができており、「他の人にうつるものではないのにうつると思われて、それで体操に誘ってもらえなかった」と事実と違うことを言う時が週に1∼2回ある。 | ある | この場合は事実と違うことを言っているのではなく、本人の思い違いによるものと考えるのが妥当です。この場合は作話ではなく「被害的になる」に該当すると思われます。 |
事実と違う話をすることが週に数回ある。 | ある | 作話と評価する具体的な記載が必要です。 |