話題|障害高齢者の日常生活自立度の判定基準は離床時間か移動手段か?

2021年明けましておめでとうございます。

 

今年最初の話題は〈障害高齢者の日常生活自立度の判定基準〉についてです。

 

障害高齢者の日常生活自立度には、昨年12月の話題でも触れましたが、要介護度を算出する「要介護認定等基準時間」で32分以上50分未満の場合に要支援2あるいは要介護1のどちらに該当するのかの判定、そして認知症加算の要件、の2つの役割があります。

この障害高齢者の日常生活自立度の判定については、調査員テキスト終盤にその判定基準が記載してありますが、「障害高齢者の日常生活自立度」の後の(寝たきり度)の記載は、調査員、特に調査経験の浅い調査員を悩ますワードになっているのではないでしょうか。

今回は、この判断に悩む「障害高齢者の日常生活自立度」の判定基準について考えたいと思います。

現役ケアマネに対するSNSでのアンケート結果

昨年12月に、ケアマネの方々のSNSグループで、「日頃車椅子を自走して1日中離床している方の障害高齢者の日常生活自立度について、あなたはランクA・ランクBどちらに判定していますか?」(それぞれの1or2についてはテキスト参照)というアンケートをしました。

集計すると次のような結果になりました。

ランクAと判断    6名

ランクBと判断    31名

現役で認定調査をされている方の多くは、対象者が車椅子使用の場合はランクBと判定しているようです。

 

4つの市・区の認定審査会事務局の担当者に障害高齢者の日常生活自立度の判定基準について質問してみました。

 

私が現在認定調査の委託契約をしている3つの市と1つの区(東京都)の担当者に直接電話でSNSアンケートと同じ質問をしてみました。また、車椅子使用は判定基準となるかを聞いてみました。

その結果、

・「調査員テキストの判定基準を参考にしており、車椅子使用を判定基準とはしていない。実際の判定については調査員に判断を委ねている」…2つの市と区

・「調査員テキストの判定基準を参考にするが、車椅子使用の場合はランクBが妥当と判断している」…1つの市

との返答でした。 

 

判定基準についての考察

調査員テキストにある障害高齢者の日常生活自立度の判定基準の説明文章を見ると、①寝たきり度②外出・車椅子の2つのキーワードがあります。そしてその中の②外出・車椅子は移動に置き換えて良いのではと考えました。

この2つのキーワードを調査員テキストの判定基準に当てはめると次のような表になります。

ランク

判定基準①寝たきり度

判定基準②移動

J

横にならない

一人で外出し移動の介助はなし

A

寝たり起きたり

屋内は自立だが、外出の際の移動は援助を受ける

B

1日の大半はベッド上

外出機会はほとんどなく、移動は車椅子を使用する

C

1日中ベッド上

日常的な移動機会なし

対象者の状態像と判定基準を考えた時、「寝たきり度」では介助の必要性がわかりにくく、一方「移動」は大まかな介助の状況がわかりやすくなっています。よって「移動」での判定が日常生活での介護の手間をより反映していると思われます。

 

まとめ

障害高齢者の日常生活自立度は、移動の方法または移動に対する援助方法で判定するほうが実際の状態像により近いと考えられます。

そのため、現場の認定調査員の多くが寝たきり度ではなく、移動の状況で障害高齢者の日常生活自立度を判定していると思われます。

 

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