認定調査項目を読み解く Part2|排尿・排便

排尿

1.調査項目の定義

「排尿」の介助が行われているかどうかを評価する項目です。

ここでいう「排尿」とは、「排尿動作(ズボン・パンツの上げ下げ、トイレまたは尿器への排尿)」「陰部の清拭」「トイレの水洗」「トイレやポータブルトイレ、尿器等の排尿後の掃除」「オムツ、 リハビリパンツ、尿とりパッドの交換」 「抜去したカテーテルの後始末」 の一連の行為のことです。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・便器、ポータブルトイレ、尿器、トイレの床などの排尿後の掃除や拭き取りは介助行為に含まれますが、1日1回程度の掃除・拭き取りはトイレの日常的な掃除として扱います。
また、使用したポータブルトイレの後始末を一括して行う場合は、排尿の直後であるかどうかやその回数に関わらず「排尿後の後始末」として評価します。

・便器への立ち座りの援助は移乗、トイレに行く援助を受けている場合は移動の項目で評価します。

・自分でトイレに行くタイミングが判らない認知症高齢者に対するトイレ誘導等は「見守り」として評価します。

・操作の必要な温水洗浄器での洗浄はその操作を拭き取り行為と評価しますが、操作の必要のない自動水洗式の便器の場合は水洗行為は発生していないと評価します。

・尿カテーテルを使用または留置している場合は、一定期間内に発生している排泄に関する行為を特定し、それに対して行われている介助の方法と頻度で選択します。

・時間帯や体調によって介助の方法が異なる場合は、一定期間(調査日より概ね過去一週間)の状況において、より頻回にみられる状況で選択します。

4.ポイント

・「見守り等」の選択基準にある「確認」は、排泄の一連の行為に対する確認です。尿取りパットやパンツの失禁確認は含まれません。

・排尿後の後始末に該当するのは、交換した尿取りパットやオムツの始末、尿器やポータブルトイレの掃除、抜去したカテーテルなどの始末、などです。

・失禁のない1日1回程度の定期的な紙パンツ交換は、排尿ではなく、2-11ズボンの着脱項目で評価します。

5.選択に迷うケースの選択肢と間違いやすい特記の記載例

ケース/特記例選択された選択肢選択理由及びポイント
息子との2人暮らしで、排尿で便器周辺に尿汚染があり毎日息子が拭き掃除をしている。一部介助日常的な掃除でないことは理解できますが、日常的な掃除を兼ねた掃除が1回程度で済んでいる場合は特記のみとなる可能性があります。頻度で判断するべきと考えます。
日中リハビリパンツにパットを使用し定時トイレ誘導を受けている。夜間はオムツを使用し排泄介助を受けている。一部介助時間帯によって介助の方法が変わる場合はより頻回な状況で選択し、日中の介助の方法で選択するので見守りに該当します。
特定施設入居中。トイレでの排泄動作は概ね自立しているが時々水洗を忘れて介助を受けている。紙パンツ着用し失禁はほとんどないが自分では交換しないので入浴時に職員が交換している一部介助紙パンツ交換の際は毎回介助が行われているため「一部介助」に該当すると判断したと思われますが、失禁のない紙パンツの入浴時のみの交換は下着の交換と同じなので、排尿ではなく2-11ズボンの着脱で評価するべきです。
施設入居中で、布パンツ使用し尿取りパットを使ったり使わなかったりの状態。尿失禁があり尿臭もあるが本人の拒否が強く、入浴の時にしかパット交換できない状態で一部介助を選択。(身体機能に問題はなく、ADLはほぼ自立の方)一部介助パット交換の際は介助が行われているので一部介助を選択していると思われますが、この場合は不適切な状態と判断し、適切な介助の方法として身体状況から「見守り」を選択するのが妥当と考えます。
昼夜トイレで排泄し排尿の動作は自立。尿失禁があるが紙パンツをうまく履けないために1日1~2回の交換が介助されている。一部介助1日1回程度の紙パンツ交換であれば定期的な交換と同じ行為と考えます。定期交換以外に尿失禁のために介助で交換されている場合は、その頻度で評価するべきです。
リハビリパンツ着用しトイレ使用。尿漏れや便失禁が頻繁にみられるが自分では気が付かないことが多い。毎回職員が確認し失禁がある時は介助で交換している。1日の排泄回数の半分以上は介助でリハビリパンツを交換している。一部介助状況と選択理由が判ります。
常に紙パンツと尿取りパット使用。昼夜トイレで排泄し一連の動作は自立。使用した紙パンツやパットを居室や脱衣所に置くのでその都度家族が片付けている。一部介助P便器の始末や汚れたパットなどの始末は「排尿後の後始末」に該当しますが、失禁もない使用しただけの紙パンツの片付けは該当しません。この場合は「4-14自分勝手に行動する」に該当すると思います。
入院中で、トイレで排泄し、一連の動作は自立している。尿漏れがあるため紙パンツにパットを使用し1日1~2回自分でパットを交換しているが、目を離すと交換したパットをしまい込むため看護師が見守りしている。見守り1日1~2回程度の交換の見守りは頻度から該当しないと考えます。この場合は「4-14勝手に行動する」で評価をするべきと考えます。
ズボンの上げ下げとパットの後始末の介助を行う。一部介助簡潔な記載になっていますが、見る側は具体的な状況の記載を要求しますから、失禁の有無や介助の頻度の記載をするべきです。

排便

1.項目の定義

「排便」の介助が行われているかどうかを評価する項目です。

ここでいう「排便」とは、「排便動作(ズボン・パンツの上げ下げ、トイレまたは排便器への排便)」「肛門の清拭」「トイレの水洗」「トイレやポータブルトイレ、排便器等の排便後の掃除」「オムツ、 リハビリパンツの交換」 「ストーマ(人工肛門)袋の準備、交換、後始末」 の一連の行為のことです。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照


3.選択の際の留意点

・トイレやポータブルトイレ、差し込み便器など排便後の掃除は介助に含まれますが、トイレの日常的な掃除は含まれません。また、使用したポータブルトイレの後始末を一括して行う場合は、排便の直後であるかどうかやその回数に関わらず「排便後の後始末」として評価します。

・自分でトイレに行くタイミングが判らない認知症高齢者に対するトイレ誘導等は「見守り」として評価します。

・操作の必要な温水洗浄器での洗浄はその操作を拭き取り行為と評価しますが、操作の必要のない自動水洗式の便器の場合は水洗行為は発生していないと評価します。

・時間帯や体調によって介助の方法が異なる場合は、一定期間(調査日より概ね過去一週間)の状況において、より頻回にみられる状況で選択します。

4.ポイント

・見守りに該当するのは基本的に常時の付き添いの必要がある場合ですが、排便が終わるのを待って見守りに該当する行為を行っている場合も含みます。

・一般的な1日の排便回数は1~2回と考えて、行われている介助の頻度で評価します。

・人工肛門(ストーマ)に付随する行為は①パウチ(ストーマ袋)内の便処理、②パウチ(ストーマ袋)の準備、③パウチ交換、④パウチの片付けです。
①はほぼ毎日行われる行為ですが、②~④は毎日行われる行為ではありません。頻度で判断する場合は注意する必要があります。

5.選択に迷うケースの選択肢と間違いやすい特記の記載例

ケース/特記例選択された選択肢選択理由及びポイント
排尿、排便があったかその都度職員が確認しているが、排便は流してしまうことがあり、長くトイレに入っている時は確認を行っている。見守り見守りに該当するのは排便の一連の行為に対して行われる「声掛け・指示・確認」のことであり、排便の確認は該当しません。
便座を見てもどうしたらよいか判らずその都度説明する手間がある。排泄後に拭き取りに使った紙をポケットにしまうため声がけが必要で、水を流すのも半々との職員談。一部介助水洗に対する介助で「一部介助」を選択したと思われますが、「半々」と記載した場合は照会が来ると思われますから、一部介助の選択が妥当と判断できる具体的な回数を記載するべきです。
パット使用。拭き取り不十分なことが多いので定時で介護者が確認して交換している。一部介助パットの確認自体は一連の行為には含まれません。この場合は交換の頻度を記載して選択するべきです。
リハビリパンツ・パット使用。定時誘導されトイレに行くが常時失禁あり。ズボンの上げ下げ、パットのセットがきちんと出来ず手直しされ、拭き取りも不十分で拭き直しされている。水洗は自動水洗。全介助一連の行為全てにおいて手直しがされており、また、自動水洗の場合は水洗行為は発生していないと評価するのが妥当です。そのため全介助の選択が妥当と思います。
現在入院中で、便秘症で腹圧がかけられず浣腸や摘便は看護師が行う。全介助浣腸・摘便行為自体は排便の一連の行為には含まれません。この場合、ズボンパンツの上げ下げ、排便行為、拭き取り、便の始末に介助が行われているかで判断します。
尿意便意曖昧で、時間ごとの誘導で日中はトイレで排泄、排便後声がけすれば自分で拭くが拭き残しがあり職員が拭き直しを行う。水の流しは職員が行う。ズボンの上げ下げ、紙パンツとパットを使用し1日2~3回職員の介助で交換。夜はオムツ使用し介助での交換が必要。全介助選択肢に問題はありませんが、排便行為一つひとつについての説明よりは「一連の行為」として説明したほうが解りやすいと思います。長文になると読む側にも負担になり、かえって解りにくくなります。