認定調査項目を読み解くPart2|被害的・作話

 物を盗られたなどと被害的になる

1.項目の定義

「物を盗られたなどと被害的になる」行動の頻度を評価する項目です。
ここでいう「物を盗られたなどと被害的になる」行動とは、実際は盗られていないものを盗られたという等、被害的な行動のことです。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

妄想か否かを問わず、「無理やり施設に入れられた」「物を盗られた」「食事を食べさせてもらえない」など、被害的な思い込みや言動があるかで選択します。

4.ポイント

被害的な発言の多くは事実と違っており、作話にも該当するものがあります。しかし被害妄想=作話ではありません。

例えば、病院で検査などのために当日の朝食が出なかったとします。それに対して対象者が「私だけ食事を食べさせてもらえなかった」と言っている場合、「被害的になる」には該当しますが、実際に食事が食べられなかった訳ですから「作話」には該当しません。実際には食べているのに食べていないと言っている場合は「作話」に該当します。

同様に、置き忘れやしまい忘れなどで大事な物が所定の場所に無い場合に、「しまっていたはずの○○がない、盗られた」などと言っている場合、盗られたというのは想像で被害的な考えですが、実際に無い状態ですから作話ではなく、物忘れに該当するものです。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース選択した選択肢選択理由およびポイント
保険証がない、診察券がない等「ここに置いたはずなのにない」と言って興奮することが月に2 ~ 3 回ある時々ある加害者や対象が存在しない場合は、被害的言動とは言えません。この場合は「ない」を選択するべきです。
1か月前から入院中。入院翌日に不穏になり「隣の人に見張られている」と訴えたことが1回あった。被害的な発言はこの1 回だけでそれ以降はない。時々ある行動が一時的なものであり、現在の状況下では月1 回以上その行動は現れないと判断した場合は「ない」を選択します。入院翌日の行動は特記のみとするべきです。
ネックレスなどが無くなったと言って自室を探し回ることが月に1~2回ある。その都度家族が一緒に探したりなだめたりしている。時々あるこの場合も、理由はともあれ「無くなった」と言っている状態だけで被害的な言動とは言えません。「ない」を選択して特記のみとするべきです。
受診の際の医師に対して、「待たせるだけ待たせて触りもしない」などと不満を言い、通院や服薬を拒む。時々あるこの場合は不満であり被害的とは言えません。介護拒否などに該当する行為と考えます。
独居で週3回DSを利用。心不全で約1か月間入院し、入院前は毎回の様に被害的な発言があったが、現在は月2~3回程度に減っている。時々ある頻度も必要ですが、被害的な発言の具体的な記載が必要です。
(被害的と作話の共通の特記)訪問介護を週2回利用している。ヘルパーが部屋を片づけると「あの人たちが来る度に部屋の物がなくなる」と訪問する担当ケアマネージャーに訴える。ある(作話も「ある」を選択)片づけて見当たらなくなったことを盗られたと勘違いしている状態で、被害的には該当しますが、以前あったものが実際に見当たらなくなっている状態なので作話には該当しないと考えます。

 

 作 話

1.項目の定義

「作話」行動の頻度を評価する項目です。ここでいう「作話」行動とは、事実とは異なる話をすることです。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

幻視、幻聴等の幻覚については、調査員テキスト2009改訂版では作話の対象にしていません。
この場合は「なし」を選択し、その具体的な状況を特記事項に記載するか、または認知症高齢者自立度の特記事項欄に記載することとなっています。

なお、幻視、幻聴を作話として扱わないことについては保険者によって判断が分かれているため、各保険者に確認することをお勧めします。

参考までに、保険者の多くは幻視・幻聴があることのみでは作話とはせず、幻視・幻聴による事実と異なる話を周りの人にしている場合は該当するとしているようです。また、各調査員にその判断が任されている場合は、見間違いや聞き間違いではないと判断される場合は、ほとんどの調査員は「作話」として評価しているようです。

4.ポイント

故意であるかや周囲に言いふらすかは問いません。また、記憶障害による間違った発言もを含みます。

事実と違うことを述べている場合を作話としますが、話の主旨に着目して判断しましょう。

例えば施設利用している方が「皆が私を嫌っているのでゲームに誘ってもらえない」と言っている場合、実際にはゲーム参加の声掛けがされているのに参加していないような場合は「作話」に該当しますが、実際に声がけがされていない場合は該当しません。

「皆が私を嫌っている」というのは対象者の思い込みで事実と違うかもしれませんが、これは対象者の考え・想像であり、被害的になるには該当しますが作話には該当しません。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース選択した選択肢選択理由およびポイント
判断力低下があり妥当な判断ができない。そのため周りの人の意見に左右され、話の内容に一貫性がないない事実と違う話をするのではなく、考えや話の趣旨(理由や目的)が変わる場合は作話に該当しません。
壁に向かって「誰かいる」と言ったり、「動くな」という声が聞こえたのでじっとしている、などの行動が週に2~3回ある。ない幻視・幻聴があることだけでは作話には該当しません。幻視幻聴による事実と違う話を周りの人にしている場合は作話に該当します
(被害的と作話の共通特記)夫との2人暮らしでパーキンソン病がある。夫に対して「自分を要らないもの扱いして!」と日常的に言う。被害的・作話ともに「ある」被害的ではありますが、この特記では作話とは言えないので、作話に該当すると評価した特記記載が必要です。
(被害的と作話の共通特記)独居で、長男夫婦が週1~2回来て援助している。通帳のしまい忘れがあり、何度か再発行している。通帳が見当たらないと息子に「お前が持って行ったんだろ」と言ってくる。被害的・作話ともに「ある」被害的ではあるが、実際に見当たらない状態であれば作話には該当しません。この場合「ひどい物忘れ」に該当すると思われます。
日付・曜日・場所・人の名前などが分からず実際と違うことを言う。ある日付・曜日・場所などについては3群の認知機能で評価するべきです。作話とするのは不適切と考えます。
自分から話すことはほとんどなく、相手が話しかけると返答するが、明らかに事実と違う返答をすることが毎日あるある自ら周囲の人に言いふらす状態でない場合でも、事実と違う話をする場合は該当します。

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