審査会に伝わる特記を書くPart2|障害高齢者の日常生活自立度

当サイトの過去の話題記事“障害高齢者の日常生活自立度の判定基準は離床時間か移動手段か?”では、ケアマネージャーに対するアンケート結果や保険者の回答結果を紹介しました。そして、その結果多くの調査員の方が移動手段、移動に関わる状態像で判定していることが分かりました。

今回はこの記事を踏まえ、障害高齢者の日常生活自立度の「特記」についての記事です。

以前にも紹介しましたが、私は認定調査依頼の際に各保険者から見せていただく認定情報の「障害高齢者の日常生活自立度」の選択肢と特記を約1年間ほどメモして判定基準の参考にさせていただきました。

今回はそのデータを特記記載の参考にするべくまとめました。

1.障害高齢者日常生活自立度の特記に記載されている内容

①移動手段と移乗に関する情報       138(件)
②寝たり起きたりなど、横になるか否か    57
③閉じこもりなど、日中の活動状況      43
④外出頻度                 42
⑤ADLとその介助状況            28
⑥離床機会                  6

特徴:それぞれ単独ではなく、①~⑥の中の2つの情報の組み合わせがほとんど。

2.記載形式

特記内容が「独歩だが外出に介助が必要で、体調に波があり、寝たり起きたりの生活」で、選択肢がA2とした場合の記載形式A~C

A:(1) 独歩だが外出に介助が必要で、体調に波があり、寝たり起きたりの生活(選択肢の記載なし)
B:(1)独歩だが外出に介助が必要で、体調に波があり、寝たり起きたりの生活。「A2」を選択
C:(A2)独歩だが外出に介助が必要で、体調に波があり、寝たり起きたりの生活

※Aの場合、この欄には選択肢の記載がなく、別ページの認定情報で自立度を確認する必要がある。

実際の特記では、記載形式はA、B、Cそれぞれほぼ同じ割合であるが、その中でもB形式が最も多い。

3.望ましい特記記載のポイント

①選択肢と特記を一行内に収める
②基本調査項目を遡って確認しなくてもよい記載を心がける

移動状況や外出頻度などは基本項目1-7歩行、2-2移動、2-1外出機会の特記を見れば分るが、審査会事務局側が遡って見直す手間を省くためにも簡潔に記載することが望ましい。

4.望ましい特記内容

・特記には移動に関する情報と外出頻度や活動状況を簡潔に記載する。
そして、移動状況でランクを判定し、外出頻度や活動状況で1Or 2を判定する。

5.特記記載例

記載例選択肢ポイント
近所の商店に買い物に行くJ2独歩か付添いが必要かなど、移動に関する情報も記載すべきです
ADLは概ね自立。近くの店に独歩で買い物に行くJ2分かりやすい
独歩で移動し、身の周りの事は自立。外出は控えているが介助があれば行える状況A1ランクAは妥当ですが、1or2を判定する外出頻度の情報を記載するべきです
月1回の通院時のみの外出だが、普段はベッドから離れて生活しているA1移動に関する情報も記載すべきです。この特記内容ではA1には該当しないと思われます
介助で週1回DSに出かけ、娘の援助で月1回通院。日中は炬燵に入ってTVを見ているA1分かりやすい記載ですが、A1に該当するか疑問です
介助しないと外出できなくなったのでA1を選択A1外出頻度の記載をするべきです
日中はベッド上で過ごし、トイレやリハビリの際に離床しているA2移動に関する情報も記載すべきです
家にいる時は茶の間で横になって過ごしているA2移動に関する情報も記載すべきです
日中部屋で寝たり起きたりしているA2移動に関する情報も記載すべきです
DS以外の外出なく、日中も寝たり起きたりしているA2移動に関する情報も記載すべきです
立ち上がりに介助が必要で、歩行が不安定で見守りを受けているA2外出機会か日中の活動状況の記載があると分かりやすいと思います
外出の頻度が少ないA2移動に関する情報も記載すべきです
歩行にふらつきあり職員が見守る。トイレ排泄や着脱は一部介助A2排泄や着脱の介助状況ではなく、日中の活動状況の記載をすべきです
入院中。ベッド中心の生活だが、見守りで歩行器での移動ができるA2分かりやすい
家で過ごしほとんど外出しない。月1回と通院時は妻が付きそうA2日頃の移動に関する情報も記載すべきです
日中見守りを受けて歩行器移動だが、排泄や着脱は介助が必要A2介助の必要性ではなく、外出機会あるいは日中の活動状況の記載をするべきです
ADLの一部は介助が必要で、日中も寝たり起きたりしているA2移動に関する情報も記載すべきです
ベッド横のPトイレ以外はほとんど横になっているB1移動ではなく寝たきり度での判定になっています。移動に関する情報を記載すべきです
寝返りや排泄介助が必要で、移乗移動にも介助が必要B2介助で歩いているのか、車椅子使用かの記載が必要です