話題|第4群「作話」「同じ話をする」の特記で気をつけたいこと

1.「作話」「同じ話をする」の特記について

第4群の「精神・行動障害」は認知症の周辺症状の項目であり各項目には関連性がありますが、その中でも「作話」「同じ話をする」は「ひどい物忘れ」が原因になっている場合が多く見られます。

「作話」「同じ話をする」行動の理由はいくつかありますが、その理由が「物忘れによるもの」と特記に記載した場合は「作話」「同じ話をする」には該当しない場合があるので注意が必要です。

今回はこの2つの項目について、特記記載で気をつけたいこと、すべきでないことをあげてみたいと思います。

2.作話をする理由

① 思い込み
② 取り繕い
③ 見栄や妄想
④ 幻視・幻聴
⑤ 物忘れ

3.同じ話をする理由

① そのことが気になり何度も確認する
② 要求や訴えたいことがある、または要求したことや訴えたことに対する返答が納得できない
③ 話したことを忘れて同じ話をする(物忘れ)

「作話」では「しまい忘れて見当たらないと『誰かが持って行った』『盗られた』などと話す」などの記載や、「同じ話をする」では、「ひどい物忘れ」との共通の特記として、「さっき言ったことを忘れて同じ話を繰り返しする」「聞いたことを忘れて同じことを繰り返し聞く」などの記載をよく見かけます。これらは審査会事務局から見れば「ひどい物忘れ」の特記に見えてしまいます。

「作話」でも「同じ話をする」でも、理由はどうであれその行為があれば該当しますが、特記に「物忘れによる」と記載すれば、審査会事務局から“この行為は物忘れに該当するものではないか”との照会は必至です。

第4群の精神・行動障害に限らず各項目の特記に求められるのは介護の手間であり、能力や介助の方法、行為の有無の具体的な状況であって、それぞれに理由の記載は求められていません。特記に理由や説明が必要なのは整合性や補足が必要な場合です。

4.まとめ

「作話」「同じ話をする」の特記に安易に「物忘れ」との記載は避けるべきであり、もしこれらの行為が物忘れによるものであることが明らかな場合は「ひどい物忘れ」の項目で評価するべきです。
一方、その行為が明らかな物忘れによるとは言えない、理由がよくわからない場合には理由や説明を記載する必要はありません。ただし、「ひどい物忘れ」による行為ではないことを説明する場合はその行為の理由を記載することが必要になるかもしれません。