認定調査項目を読み解く|寝返り・起き上がり

1-3 寝返り

1.調査項目の定義

きちんと横向きになれなくても、横たわったまま左右どちらかに身体の向きを変え、そのまま安定した状態になることが自分でできるかの能力です。

調査対象者に実際に行ってもらう、あるいは調査対象者や介護者から日頃の状況に関する聞き取り内容から選択します。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・一度起き上がってから身体の向きを変える場合は、寝返りとはしません。

・医師からの指示や医学的理由で日頃寝返りを行っていない場合は「できない」と評価します。

・コルセットなどの装具や福祉用具を日頃使用している場合は、使用している状態で評価します。

・原則として日頃使用している布団やベッドを使って実際に確認動作を行ってもらい評価します。
その際、掴まるものがない環境であれば掴まるものを準備して確認動作をして貰います。

・実際に行った確認動作と日頃の状況が異なる場合は一定期間(過去概ね1週間)のより頻回な状況で選択し、特記事項にその状況と選択根拠を記載します。

4.ポイント

いつも横向きで寝ていて寝返りしない、日頃自発的には寝返りしておらず寝返りする時は介助を受けているとの理由で「できない」を選択するのは間違いになります。

寝返りの有無や介助の方法で選択するものではなく、あくまでも確認動作を行ったうえで評価するのが原則です。

もし確認動作を行えなかった場合は、行えない理由と日頃の状況などを特記事項に記載したうえで、選択理由を記載します。

5.選択に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース 選択肢/選択理由
仙骨部に褥瘡があり仰向けになれないが、仰向け以外の姿勢には起き上がることなく比較的容易になれる。 つかまらないでできるor何かにつかまればできる
特殊なケースですが、仰向け以外にはなれる場合は、側臥位から側臥位、側臥位から腹臥位になることができる能力で選択する。
3日前からぎっくり腰(急性腰痛症)で、調査の際は何かに掴まらないと寝返りできなかった。それまでは掴まらずにできていた。 つかまらないでできるor何かにつかまればできる
どちらを選択しても間違いではありません。現在の状況が今後も継続するか否かで判断します。どちらを選択しても特記事項に状況と選択理由を記載します。このケースに限らず、調査後に状況が大きく変化した場合などは区分変更申請になる可能性が高いので厳密な選択は求められません。
片麻痺があり、健側の手でベッド柵を掴んで仰向けから横向きになるが、姿勢が崩れて安定した状態を保持できない。 できない
自分で身体の向きを変えても、安定した状態になれない保持できない場合は「できない」になります。
円背や腰曲がり(変形性腰椎症)が強くて仰向けになれずいつも横向きで寝ており、調査の際は一旦起き上がって向きを変えた。 できない
仰向けになれずに一旦起き上がる場合は「できない」になります。”仰向けになれない場合はうつ伏せになれるかで判断する”という選択基準もありますが、日頃の状況から選択してよいと思います。

 

 1-4 起き上がり

1.調査項目の定義

身体の上に布団をかけないで寝た状態から上半身を起こすことができるかどうかの能力です。

2.選択肢の選択基準

調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・うつ伏せになってから起き上がる場合など、起き上がりの経路については限定しません。

・常時ベッドをギャッチアップしている場合はその状態からの起き上がりで評価します。

・コルセットなどの装具や福祉用具を日頃使用している場合は、使用している状態で評価します。

・原則として日頃使用している布団やベッドを使って実際に確認動作を行ってもらい評価します。

・実際に行った確認動作と日頃の状況が異なる場合は一定期間(過去概ね1週間)のより頻回な状況で選択し、特記事項にその状況と選択根拠を記載します。

4.ポイント

円背や腰曲がりが強い方は常時ベッドをギャッジアップしている場合があります。その場合は、そのギャッチアップした状態から実際に確認動作を行ってもらい評価します。

この場合は「常時ベッドを○○度にギャッチアップしており、その状態で確認を行った」などと具体的な状況を特記事項に記載します。

5.選択に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース 選択肢/選択理由
円背があり、仰向けになれないためにいつも横向きで寝ている。横向きの状態からは軽く手を付けば起き上がることができる。 つかまらないでできる/起き上がる際の姿勢や経路は問いません。そのうえで軽く手を付く状態は「つかまらないでできる」に該当します
不穏があるために日頃はやむを得ずベルトで体幹抑制されている。そのため日頃起き上がりは出来ないが、調査の際は掴まらずに起き上がりができた。 つかまらないでできる/この場合の体幹抑制ベルトは調査上の留意点にある「補装具」には該当せず、また、「医学的な理由でできない」にも該当しません。確認動作で出来た状態で判断します
調査の際はベッド柵に掴まり起き上がることができた。日頃は楽なのでベッドのリモコンを使って電動でギャッチアップしている。 何かにつかまればできる/能力項目ですから確認動作と日頃の能力で選択します。この場合は日頃もベッド柵に掴まればできると判断して「何かにつかまればできる」を選択します
認知症があり指示が通らず調査の際は起き上がりは出来なかった。日頃は促してもできる時とできない時が半々とのこと できない/日頃の頻回な状況でも選択に困る場合は調査時の状況で選択し、日頃の状況を特記事項に記載します

山の初夏

 

    次回の読み解く項目は 1-5座位保持 1-6両足での立位保持 です。