認定調査項目を読み解く|物や衣類を壊す・ひどい物忘れ
4-11 物や衣類を壊す(物を壊したり、衣類を破いたりする)
1.項目の定義
「物を壊したり、衣類を破いたりする」行動の頻度を評価する項目です。
2.選択肢の選択基準
3.選択の際の留意点
・実際には壊れなくても壊そうとする行為がある場合も含みます。
・捨てる必要のないものを捨てる行為も該当します。
・一定期間内(概ね過去1 か月間)であっても、予防的手段や対策をとったことで定義する行為がなくなった場合は該当しません。
・あくまでも現在の環境でその行為が発生したかで選択し、予防的手段や対策をとらない場合の状況を含め、実際の状況を特記事項に記載します。
4.ポイント
意図的に壊す、あるいは壊れることが判って行っている場合が該当し、偶発的に壊れた場合は含まれません。
また、壊したりすることで周囲の迷惑になっているような場合は「4-14自分勝手に行動する」にも該当します。
5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由
ケース | 選択肢 | 選択理由 |
---|---|---|
紙オムツを外したり破いたりするため両手にミトン手袋を付け、その後破く行為はなくなった | ない | 対策をとることでその行為がなくなった場合は「ない」を選択。対策をとらない場合の状況を特記事項に記載する |
家電品の調子が悪いと自分で修理しようと分解するが、元に戻せず使えなくしてしまう。家族が止めるが、言うことを聞かない | ない | 意図的に壊すのではなく、結果的に壊れてしまう場合は該当しない。周囲が止めるのを聞かない状況は「自分勝手に行動する」に該当する |
まだ着られる服や新しい下着を勝手に捨ててしまうことが月に2 ~ 3 回あるため、対象者が不要物として出した物を家族が確認する必要がある | ときどきある | 捨てる必要のない物を捨てる行為は該当する |
気に入らないことがあるとカレンダーや新聞を破くことが月に2 ~ 3回ある。まだ見ていない新聞を破くために家族は迷惑している | ときどきある | 場面や目的から見て不適切な行動と判断した場合はがいとうします。 |
週に1∼2回、気に入らないことがあると食器を床に投げつける。食器はプラスティックのため壊れることはない | ある | 実際に壊れなくても、壊そうとする行為は該当します |
経管栄養のチューブをいじるためにミトン手袋をしているが、その手袋を噛むためにすぐボロボロになってしまう。 | ある | 手袋を噛む行為は破こうとする行為と同意と考えるのが妥当です |
4-12 ひどい物忘れ
1.項目の定義
「ひどい物忘れ」行動の頻度を評価する項目です。
ここでいう「ひどい物忘れ」行動については、認知症の有無や知的レベルは問いません。この物忘れによって何らかの行動が起こっているか、周囲の者が何らかの対応をとらなければならないような状況をいいます。
2.選択肢の選択基準
3.選択の際の留意点
・火の消し忘れは重大な事故につながるため「何らかの対応が必要」に該当します。
・物忘れがあってもそれに起因する行動が起きていない場合や、周囲の者が何らかの対応をとる必要がないと考えられる場合は「ない」を選択し、実際の状況を特記事項に記載します。
・対応がとられているかどうかは選択基準に含まれません。
4.ポイント
・物忘れに起因する行動については「介護の手間や介助者の負担になっているか否か」で判断します。
・電気の消し忘れや水道の止め忘れについては、単なる物忘れではすまされない状態が該当すると考えるのが妥当です。
5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由
ケース | 選択肢 | 選択理由 |
---|---|---|
一度教えた日にちや曜日を忘れているがそれに伴う行動はない | ない | 物忘れに伴う行動や対応の必要がない場合は該当しない |
電気の消し忘れ、水道の止め忘れがある | ない | 忘れたことの評価ではなく、それに起因するトラブルや周囲が対応をとる必要があるかで判断する |
実際には忘れていないが、薬を飲んだか、鍵を閉めたか等、自分の記憶に自信がなく、気になって後で自分で確認することが増えている | ない | 自分で確認することは、それに起因する行動が起きているには当たらない |
受診日を忘れてしまい、娘の職場に電話して確認するが、一度聞いても覚えられず、同じ内容の電話を何度もするため娘はストレスになっている | ときどきある | 物忘れに起因する行動があり、それによって周囲の負担になっている場合は該当する。実際に対応がとられているかは問わない |
自分の服や下着がわからなくなったために、家族が本人の了解の下に間違えないように目印を付けた。しかしそのことを忘れて洗濯した物を自分の箪笥にしまうため、月に1 ~2 回家族が箪笥の中を確認する必要がある | ときどきある | 物忘れによる行動に対して対応をとっている頻度で選択しているケース |
電気の消し忘れや水道の止め忘れが日常的にある。そのため本人が使った後は家族が水道が止まっているか等を毎回確認している | ある | 物忘れがあるために周囲が確認する等の行為が発生している場合は該当する |
日中独居で、ガスコンロを使って調理し鍋を焦がすことが週に1回ほどある。家族はガスの元栓を閉めて出かけるが、対象者が自分で元栓を開けて使っている | ある | 火の消し忘れの場合は、実際に対応がとられていない場合でも、何らかの対応をとる必要があると判断する。また、火を使うことを止められている状況から「自分勝手に行動する」にも該当する |
入院中で、転倒の危険からベッドから離れる際はナースコールを押すよう指導され了解するが、押すことを忘れて歩き出すため床にセンサーマットを敷いて対応している | ある | 物忘れがあるために対応をとる必要があり、対応後も行為そのものがある場合は該当する |