認定調査項目を読み解く|片足での立位・ 洗身
1-9 片足での立位
1.調査項目の定義
片足での立位の能力を評価する項目です。
ここでいう「片足での立位」とは、立ち上がるまでに介助が必要か否かに関わりなく、平らな床の上で、自分の左右いずれかの片足を上げた状態のまま立位を保持する(平衡を保てる)ことができるかの能力です。
平らな床の上で、自分で左右いずれかの片足を上げた状態のまま1秒間程度立位を保てるかどうかで選択します。
調査対象者に実際に行ってもらう、あるいは調査対象者や介護者からの日頃の状況に関する聞き取り内容で選択します。
2.選択肢の選択基準
3.選択の際の留意点
・立ち上がるまでの能力は問いません。
・片方の下肢に麻痺があり、麻痺側の下肢が完全に上げられずに床に着いている場合であっても、麻痺側の足が立位保持に関与していない状況であれば、健側の足のみで1秒間程度平衡を保てるかで選択します
・福祉用具や器具類などを使用している場合は、使用した状況で選択します。
・実際に行った確認動作の状況と日頃の状況が異なる場合は、一定期間(調査日より概ね過去1週間)の状況においてより頻回な状況で選択します。
その場合、実際に行ってもらった状況と日頃の状況、選択した根拠等を特記事項に記載します。
4.ポイント
・左右どちらか片方の足で平衡を保つ(フラフラせずに安定を保って立っていられる)ことが出来るかで判断します。
・両足立位保持が比較的安定している場合は、両足立位の動作確認に続いて、その場でゆっくり足踏みをして貰いその状態で評価するのも良いでしょう。
5.調査にあたっての注意点
転倒防止のために、必ず掴まるものがある状態で動作確認をしましょう。
6.選択に迷うケースの選択肢と選択理由
ケース | 選択肢/選択理由 |
調査の際は指示が通らず確認動作は行ってもらえなかった。歩行は摑まることなくしっかり足を上げて歩いており、日頃も歩行にふらつきはないと聞き取る | できる 日頃から類似行為ができている場合はその状況で評価する。確認動作ができない理由と選択根拠を特記事項に記載する |
右片麻痺があり右足はわずかしか上げられない。調査の際は右足先が床に着いているが、左足のみに加重して掴まらずに立位保持できる | できる/麻痺などがあって片方の足が床に着いても、その足が立位保持に関与せず、もう片方の足で立位保持できれば「できる」と評価する |
調査の際は体調が悪く確認できなかった。家族の話では日頃一人で入浴しており、浴槽に掴まって跨いで浴槽の中に入っているとのこと | 何か支えがあればできる/日ごろ類似行為があればその状況で選択する。確認動作ができない理由と選択根拠を特記事項に記載する |
掴まらずに片足を上げられるが、平衡を保てずすぐに足を下ろしてしまう。何かにつかまれば片足で安定して立っていられる | 何か支えがあればできる 1秒間程度片足で平衡を保てるかで選択する |
手すりに摑まって立っているのが精一杯で、不安定で自分ではどちらの足も上げられない | できない 自分で片足を上げられない場合は該当する |
右大腿骨転子部骨折で保存療法中。まだ右股関節に痛みがあり、右足に全荷重することも右足を上げることもできない | できない 左右どちらの足も上げられない状態の場合は該当する |
1-10 洗身(介助の方法)
1.調査項目の定義
「洗身」の介助が行われているかどうかを評価する項目です。
ここでいう洗身とは、浴室内(洗い場や浴槽内)で、スポンジや手拭いなどに石鹸やボディシャンプーなどを付けて全身を洗うことをいいます。
2.選択肢の選択基準
3.選択の際の留意点
・入浴環境は問いません。
・入浴行為および洗髪行為は含みません。
・習慣的にまたは医学的理由から、入浴しても石鹸などを使用せず、タオル等で擦り洗いしている場合はその行為を洗身として評価します。
・複数の入浴形態があり、介助の方法がそれぞれで違う場合は、一定期間(過去概ね1週間)での頻度で選択します。もし状態の悪化などで一定期間内でも介助の方法が変わっている場合は、今後も継続して行われる状況を想定して選択し、具体的な状況と選択理由を特記事項に記載します。
・介助されていない状態や実際に行われている介助の方法が不適切と判断した場合は、適切な介助の方法を選択し、不適切とした理由と適切な介助の方法の選択根拠を特記事項に記載します。
・一部介助に含まれる「見守り」は、基本的に洗身行為に対する見守りが行われている場合が該当しますが、洗身を含む入浴全般に対する見守りも含まれます。。
4.ポイント
・入浴形態や洗身介助の方法が複数ある場合は頻度で選択しますが、実際の介護の状況が分かるように「週〇回ディサービスでのみ入浴している」「通所サービスで週2回、自宅で週3回入浴しており、頻度から選択する」などと状況を記載し、そのうえで介助の方法を記載しましょう。
通所サービスなどを利用している場合は、介護状況と頻度の記載がないと審査会事務局から問い合わせが来ることに繋がります。
・「見守り」は、転倒防止目的で洗身を含めた入浴中ずっと見守りされている場合は該当しますが、浴槽の出入りだけが見守りされているような場合は該当しません。
・概ね過去1週間での状況で評価し、“入浴していない”“洗身していない”場合は不適切な状態ではなく「行っていない」を選択します。
5.選択に迷うケースの選択肢と選択理由
ケース | 選択肢/選択理由 |
入浴は自宅と週1回のDSでしている。自宅では毎日入浴し自分で洗身しているが、DSでは背部や臀部の洗身が介助されている | 介助されていない 入浴形態や介助の方法が異なる場合は、一定期間内での頻度で選択する |
時々めまいを起こすために、入浴中は転倒が心配で介護者が付き添って見守りしている | 介助されていない/見守りに該当するのは、洗身に対する見守りの場合が該当する |
視力不良のためにタオルに石鹸を付けて渡し、洗身の後にシャワーで流す介助がされている。身体を洗うことは自分でしており、その際は見守りもされていない | 介助されていない 身体を洗う行為に対して介助されている場合が該当する |
洗身に介助はないが右片麻痺のために左側は部分的にしか洗えない。そのため背部等にかゆみがある | 一部介助 介助されていない状況が不適切と判断し、身体状況から選択する |
現在入院中で、身体機能に問題はなく自分一人で洗身できる状態だが、毎回看護師によって背部や臀部の洗身が介助されている | 一部介助/能力ではなく介助の方法で選択する。介助の方法が不適切か否かは環境や置かれた状況などから総合的に判断する |
自分でタオルを持ち胸などを洗うが、不十分なために洗った部分を含めて洗い直しされている | 全介助/本人が洗った部分を含めて洗身し直されている場合は該当する |
寝たきりで2カ月間入浴していない。1週間に1回程度家族が市販のボディ洗浄フォームを使ってベッド上で身体を拭いている | 行っていない 市販されているボディ洗浄フォームは清拭目的のもので洗身には該当しない |
次回の「調査項目を読み解く」は 1-11つめ切り 1-12視力 1-13聴力 の3項目です。