認定調査項目を読み解くPart2|物や衣類を壊す・ひどい物忘れ

物や衣類を壊す(物を壊したり、衣類を破いたりする)

1.項目の定義

「物を壊したり、衣類を破いたりする」行動の頻度を評価する項目です。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・実際には壊れなくても壊そうとする行為がある場合も含みます。
・捨てる必要のないものを捨てる行為も該当します。
・一定期間内(概ね過去1 か月間)であっても、予防的手段や対策をとったことで定義する行為がなくなった場合は該当しません。あくまでも現在の環境でその行為が発生したかで選択し、予防的手段や対策をとらない場合の状況を含め、実際の状況を特記事項に記載します。

4.ポイント

意図的に壊す、あるいは壊れることが判って行っている場合など、明らかに周囲の状況に合致しない場合が該当します。また、偶発的に壊れた場合は含まれません。また、壊したりすることで周囲の迷惑になっているような場合は「4-14自分勝手に行動する」にも該当します。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース選択した選択肢 選択理由およびポイント
紙オムツを外したり破いたりするため両手にミトン手袋を付け対応しており、その後破く行為はなくなったない対策をとることでその行為がなくなった場合は「ない」を選択。対策をとる前の状況などを特記事項に記載します。
家電品の調子が悪いと自分で修理しようと分解するが、元に戻せず使えなくしてしまう。家族が止めるが、言うことを聞かないない意図的に壊すのではなく、結果的に壊れてしまう場合は該当しない。周囲が止めるのを聞かないで行っている状況は「自分勝手に行動する」と評価できます。
洗濯機作動中に蓋がロックされて開かないのは故障だと思い、バールを持って来て蓋をこじ開けようとして家族に止められたことが先週あった。時々ある実際には壊れていないが、壊そうとする行為がある場合は該当します。
まだ着られる服や新しい下着を勝手に捨ててしまうことが月に2 ~ 3 回あるため、対象者が不要物として出した物を家族が確認する必要がある時々ある捨てる必要のない物を捨てる行為も該当します。
尿取りパットを使用しており、パットの汚れた部分をむしってベッドの上に散乱させていることが毎日のようにある。ある紙オムツやパットを破く行為は該当します。
週に1∼2回、気に入らないことがあると食器を床に投げつける。食器はプラスティックのため壊れることはないある実際に壊れなくても、壊そうとする行為は該当します。
「TVのリモコンが付かない」といって突然怒り出し、リモコンを床に投げつけようとすることが週に1回程ある。あるこの場合も壊そうとする行為なので該当します。
経管栄養のチューブをいじるためにミトン手袋をしているが、その手袋を噛むためにすぐボロボロになってしまう。ある手袋を噛む行為は手袋を壊そうとする行為と同じと考えます。

 

ひどい物忘れ

1.項目の定義

「ひどい物忘れ」行動の頻度を評価する項目です。
ここでいう「ひどい物忘れ」行動については、認知症の有無や知的レベルは問いません。この物忘れによって何らかの行動が起こっているか、周囲の者が何らかの対応をとらなければならないような状況をいいます。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・火の消し忘れは重大な事故につながるため「何らかの対応が必要」に該当します。
・物忘れがあってもそれに起因する行動が起きていない場合や、周囲の者が何らかの対応をとる必要がないと考えられる場合は「ない」を選択し、実際の状況を特記事項に記載します。
・対応がとられているかどうかは選択基準に含まれません。

4.ポイント

・物忘れに起因する行動については「介護の手間や介助者の負担になっているか否か」で判断します。
・電気の消し忘れや水道の止め忘れについては、介助の手間がある場合や単なる物忘れではすまされない場合が該当すると考えるのが妥当です。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース 選択した選択肢 選択理由およびポイント
教えた日にちや曜日を忘れているがそれに伴う手間や行動はない。ない物忘れに伴う行動や対応の必要がない場合は該当しない
電気の消し忘れや水道の止め忘れがあるない消し忘れや止め忘れに起因するトラブルや周囲が対応をとる必要があるかで判断します。
実際には忘れていないが、薬を飲んだか、鍵を閉めたか等、自分の記憶に自信がなく、気になって後で自分で確認することが増えているない自分で確認することは、起因する行動が起きているには当たらない
電気の消し忘れや水道の止め忘れが日常的にある。そのため本人が使った後は家族が水道が止まっているかを毎回確認しているある周囲が確認する等の対応を取っている場合は該当します。
日中独居で、ガスコンロを使って調理し鍋を焦がすことが週に1回ほどある。家族はガスの元栓を閉めて出かけるが、対象者が自分で元栓を開けて使っているある火の消し忘れの場合は、実際に対応がとられていない場合でも、何らかの対応をとる必要があると判断する。また、火を使うことを止められている状況から「自分勝手に行動する」にも該当する
入院中で、転倒の危険からベッドから離れる際はナースコールを押すよう指導され了解するが、押すことを忘れて歩き出すため床にセンサーマットを敷いて対応しているある物忘れに起因する行動があり、センサーマットを使用するなどの対応が必要な場合は該当します。
ショートステイ利用中で、施設内をズックを履かないで歩いたり、ズックを履いたままベッドに横になろうとすることが週に1~2回ある。ある習慣的に行っていたことが出来ない「失行」状態で、その行動が現れているので該当しますが、実際の介護の手間の記載もするべきです。
夫との2人暮らしで、炊飯やレンジでの調理をするが、その場しのぎのやり方なので、ご飯が固かったりレンジで調理したものが焼き過ぎで食べられなかったりする。ある調理がうまく出来ない原因が物忘れであると判断しての選択肢と特記と思われますが、その根拠の記載がないと伝わらないと思います。
毎回気になることは何回も聞いてくるので都度説明している。4-5同じ話4-12ひどい物忘れの共通の特記で、どちらも「ある」を選択。よく見かける状況ですが、気になることを何度も確認する行為は、場面から見て不適切とは一概にはいえません。この行為が物忘れによるものである根拠の記載が必要です。

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