認定調査項目を読み解く|えん下・食事摂取

2-3 えん下

 

1.調査項目の定義

「えん下」の能力を評価する項目です。

ここでいう「えん下」とは、食物を経口より摂取する際の「えん下」(飲み込むこと)の能力です。
能力の項目ですが、必ずしも施行する必要はありません。頻回にみられる状況や日頃の状況について、調査対象者や介護者からの聞き取りで選択します。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・食べ物を飲み込む能力であり、咀嚼や口腔内の状況を評価するものではありません。

・水分や汁物であっても日頃から摂取しているものであれば食べ物として評価します。

・食事形態を変更したりトロミ剤を使用することで飲み込みに支障がなくなった場合は、現在の状況で選択します。

・一定期間(調査日より概ね過去一週間)の状況において、より頻回にみられる状況や日頃の状況で選択します。

4.ポイント

・聞き取りに際しては、飲み込めない、むせるなどの頻度を細かく聞く必要はありません。

「時々むせる時がある」「食事の度にむせる」「ほとんど飲み込めない」など、飲み込みの状態と頻度が概ね判れば良しとします。なお、「時々むせる時がある」場合は「できる」と評価します。

・特記の記載は「できる」「できない」の表現になります。
見守り等を選択した場合は、「見守りが行われている」の記載ではなく、見守りが必要な状況を記載した上で「できる、できないのいずれにも含まれない状態」と記載します。

5.選択に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース 選択肢/選択理由
かき込んで食べるためにむせる時が多い。落ち着いて食べるように促せばむせることなく食べられる できる/一般的な食べ方での飲み込み能力を評価する
むせりなく飲み込み出来るが、認知症があり食事に集中しないために見守りされている できる/食事に対しての見守りが行われている状態で、えん下に対する見守りには該当しない
誤嚥性肺炎の既往があり、主治医から「食事の際は側で見守り、声かけして」とアドバイスがあった。現在とろみ剤を使用し、家族が見守りしてぃる 見守り等/見守りが必要な状況は該当する。特記には「えん下ができるとも出来ないとも言えない状況のため、見守りがされている」と記載することを勧めます
経管栄養中だが嚥下機能が改善してきており、ゼリー状など飲み込みやすいものであれば食べて可と主治医から許可が出ている 見守り等/経管栄養中であっても、主治医から許可が出ている場合はその飲み込み状態で評価する
食事のたびにむせりがあるが、常時の見守りは行われていない 見守り等/能力項目のために「飲み込み状態」で評価を行い、必ずしも見守りが行われる必要はない
誤嚥性肺炎で入院中。現在経口からの飲み込みが禁じられ点滴中である できない/経口からの食事が禁止されている場合は出来ないと判断する
現在経管栄養が行われており、STが介入してえん下の訓練中。STによる訓練時のみ経口摂取が許可されている できない/経管栄養が行われており、医師から経口摂取の許可がない場合は出来ないと判断する

 

 

2-4 食事摂取

1.調査項目の定義

「食事摂取」の介助が行われているかどうかを評価する項目です。

ここでいう「食事摂取」とは、食物を摂取する一連の行為のことで、通常の経口摂取の場合は、配膳後の食器から口に入れるまでの行為のことです。
また、食事摂取の介助には、経管栄養の際の注入行為も含まれます。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・1回ごとの食事に対する援助方法とその頻度で選択します。

・食べられる状態になった場合を”配膳された”と判断します。ご飯やみそ汁の蓋を取る行為、包装を取る行為などは配膳前の介助とし、一連の行為には含まれません。

・調理、配膳、後片付け、食べこぼしの掃除、エプロンをかける、椅子に座らせるなどの行為は含まれません

・食事時間や回数、食べる量など「食事が適切にとれているかどうか」は選択基準に含まれません。

・介助されていない状況や実際に行われている介助の方法が不適切と判断した場合は、適切な介助の方法を選択し、不適切とした理由と選択根拠を特記事項に記載します。

・一定期間(調査日より概ね過去一週間)の状況において、より頻回にみられる状況や日頃の状況で選択します。

4.ポイント

・通常は配膳後の食器から食べ物を口に運ぶまでの行為のことを「食事摂取」としますが、慌てて食べる、口の中にため込むことなどに対しての介助が行われている場合も含みます。

・点滴のみの栄養が行われている場合、これを食事とするかの判断は保険者によって異なるので各保険者に確認してください。なお、ここでは食事として取り扱っています。

5.選択に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース 選択肢/選択理由
視力障害でほとんど見えない。配膳した際に皿の位置を教えたり食器を触らせるなどしている。それ以降は一人で食べている 介助されていない/食事行為前の声がけなどの援助は見守りに該当しない
家族と一緒に食事をしており、毎回大皿から取り分ける介助を受ける。取り分けてもらえば自分で食べることができる 介助されていない/単に取り分ける行為は一部介助に該当しない。取り分けた後に介助が行われる場合は該当する.
施設入所中で、食事摂取に問題はないが、他の入所者の食事まで食べようとするので職員が付き添って見守りしている 見守り等/食事摂取に際し不適切な行為があるために付き添いの必要があり、見守りが行われている場合は該当する
食事摂取自体に介助はないが、麻痺があるため口角から汁が垂れるのに気付かない。そのため介護者が付添い拭き取る介助をしている 見守り等/食事摂取の一連の行為に対する介助ではないが、付き添っての介助が必要な場合は該当する
ご飯の上におかずを載せないと食事が進まないために、毎回配膳後におかずを載せる介助をしている 一部介助/配膳後に食べやすくするために行われている行為は該当する
視力不良で見えないために、食事中に家族が食器を一品ずつ手渡している。手渡せば自分でスプーンを使って一人で食べる 一部介助/配膳後に食事摂取に対する介助が行われている場合は該当する
現在入院中で、食事は一人で食べられるがここ1週間は食欲がなくて全く手を付けない。そのため栄養製剤の点滴が行われている 全介助/..点滴を食事とみなし、それに対する介助の方法で選択する
消化器疾患で手術し、現在中心静脈栄養が行われている。数日前から経口摂取が開始となり、自力で重湯を食べている 全介助/摂取カロリーから中心静脈栄養を食事とみなし、その介助の方法で選択する

 

次回、平成31年1月の読み解く項目は、2-5排尿 2-6排便です。

来年も"現場で役立つ"を目指して投稿していきますので、是非引き続きご覧ください。

 

皆さん、よいお年をお迎えください。