認定調査項目を読み解くPart2|疼痛の看護・経管栄養

過去14日間に受けた特別な医療:疼痛の看護・経管栄養

 

疼痛の看護

1.項目の定義

「過去14日間に受けた特別な医療」の中の「疼痛の看護の有無」を評価する項目です。
ここでいう「疼痛の看護」とは、医師の指示に基づき、過去14日以内に看護師等によって実施された行為のみとします。

2.選択の際の留意点及び特記事項記載の留意点

・疼痛の看護となっていますが、体位変換やマッサージなどの看護・介護行為は該当しません。
・対象疾患はがん性疾患とは限定されていません。がん性・非がん性であっても下記のような状況が該当します。
「想定される疼痛の範囲は、がん末期のペインコントロールに相当する強い痛み」であり、これに対して行われている鎮痛薬の点滴、硬膜外持続注入、座薬、貼付型経皮吸収剤、注射などが該当します。内服薬は該当しません。

3.ポイント

現在の医療行為が該当するかは、病名と使用されている薬剤を参考に評価することになります。がん性疾患による疼痛の場合は”特別な医療”の項目に該当しますが、非がん性疾患の場合は具体的な定めがありません。

医療や介護の現場では、慢性的な非がん性の強い疼痛や苦痛を伴う疾患として、COPD、脊柱管狭窄症、腰椎圧迫骨折、関節リウマチ、変形性関節症、帯状疱疹などがあり、その疼痛に対しオピオイド系鎮痛剤(麻薬性鎮痛剤とその関連合成鎮痛剤)を使用している場合があります。

医療用鎮痛剤は分類型の一つとして、オピオイド系と非オピオイド系(非麻薬性鎮痛剤)とに分かれ、強い痛みで非オピオイド系鎮痛剤では効果がない場合にオピオイド系鎮痛剤が処方されています。

このことから、非がん性疾患でも”疼痛の看護”に該当するのは基本的にはオピオイド系鎮痛剤を使用している場合と考えるのが妥当です。この点については、複数の保険者に確認したところ同様の返答がありました。

疼痛の看護、オピオイド鎮痛薬に関連する過去記事

なお、非がん性疾患でオピオイド鎮痛薬を使用していても「疼痛の看護」に該当するかは保険者によって判断が異なるため、各保険者に確認することを勧めます。

ケース選択肢選択理由
変形性膝関節症があり、痛みが強いために1 週間に1 回膝に痛み止めの注射が行われているない一般的な腰痛や関節痛等に対して
行われる痛み止め注射は該当しない
がん末期で在宅療養中。麻薬性鎮痛剤を4 時間毎に内服しているない麻薬性鎮痛剤であっても内服薬は該
当しない。状況を特記事項に記載
する
施設入所中で、がんの骨転移があり、麻薬性鎮痛剤の貼付が2 日に1 回看護師によって行われているあるがんのペインコントロール目的で貼付剤が使用されている場合は該当する
多発性骨髄腫による強い腰痛があり、1日2
~3回鎮痛座薬を看護師が挿入している
ある血液のがんである多発性骨髄腫に伴う強い痛みがあり、オピオイドは使用していないが、がん末期に準ずる強い痛みがあって鎮痛座薬を使用している場合は該当すると考える
がん性疼痛があり、在宅で訪問看護師による鎮痛麻薬の持続皮下注入が行われている。週1回看護師によって薬剤管理や注入部の観察が行われているあるがん性疼痛に対し鎮痛麻薬を使用する持続皮下注入は注射に該当す

 

 経管栄養

1.項目の定義

「過去14日間に受けた特別な医療」の中の「経管栄養の有無」を評価する項目です。
ここでいう「経管栄養」とは、医師の指示に基づき、過去14日以内に看護師等によって実施された行為のみとします。

2.選択の際の留意点及び特記事項記載の留意点

・ 経鼻、胃ろう等、経管栄養の形態は問いません。
・ 一部食事の経口摂取が可能な場合でも、実際に経管栄養が行われている場合は該当します。
・ 医師や看護師による経管栄養の管理(カテーテルやチューブ交換、胃ろう部の消毒など)も含まれます。また、要件を満たした介護職員によって実施される経管栄養も含みます。
・特記には経管栄養の種類、行われている行為、看護師等との関わりを記載します。

3.ポイント

実際に経管栄養が行われている場合が該当するのであり、チューブやカテーテルが挿入されていても、投薬目的であったり、経管栄養が行われていない場合は該当しません。

ケース選択肢選択理由
在宅で胃ろうからの経管栄養を家族が行っている。訪問看護は利用しておらず、過去概ね14 日以内でも外来受診もしていないない過去14 日以内に医療機関受診や看護師等のかかわりがない場合は該当しない
入院中で、胃ろう造設したが経口摂取ができるようになり、現在経管栄養は行われていない。胃ろう部の処置のみ看護師によって連日行われているない経管栄養が行われていない場合は、継続して胃ろう処置が行われている場合であっても該当しない
現在入院中で、栄養は中心静脈栄養で摂取し、投薬目的で胃ろうチューブが留置されているない実際に経管栄養が行われていない場合は該当しない
現在入院中で、経管栄養が継続して行われているが、1週間前に嘔吐と発熱があり経管栄養を中止した。中止後は点滴が行われているが、一般状態が安定すれば経管栄養を再開する予定であるある一時的に中断している場合でも、経管栄養を再開、継続していく予定の場合は該当する。なお、点滴は急性期治療目的のため該当しない
家族に看護師がおり、主治医はこの人に胃ろう部の管理を指示しており、訪問看護の利用はないある看護師としての家族に医師が指示を出している場合は該当する。指示がなく自主的にしている場合は該当しない
経腸栄養が行われており、対象者が自分で一連の行為を行っている。2週間に1 回通院して腸ろう部の消毒
や処置が行われている
ある経腸栄養が行われ、過去14 日以内に看護師等によって経腸栄養に関わる処置等が行われていれば該当する