話題|全国県庁所在地市の認定調査委託金額の比較Part 1
全国県庁所在地の市の認定調査委託金額
認定調査の時給はいくら?
各保険者が、介護施設や社協、地域包括、居宅介護支援事業所と契約して介護認定調査を委託することは一般的ですが、その委託金額は全国一律ではありません。
介護認定調査は、在宅の場合訪問日時の調整から始まり、訪問、調査、調査票と特記事項票の記載、保険者への提出と結構時間がかかります。
私の場合この一連の作業にかかる時間は、1件平均3時間、認知症状が多いなどで特記記載に時間がかかる場合は4時間ほどかかります。
私が現在委託契約している保険者の1件当たりの委託金額は3600円です。訪問から調査票提出まで1件にかかる時間が3時間であれば時給1200円、4時間であれば時給900円ほどにしかなりません。
専門職としては低額と嘆かざるを得ません。民間事業所で委託契約を行わない理由は、この委託金額の低さといわれています。
金額の議論は別の機会にするとして、今回は全国の認定調査1件当たりの委託費の相場はどうなっているのかを調べてみました。
全国の県庁所在地の市における委託費
・対象:全国47都道府県の都道府県庁所在地の市(東京は新宿区)
・調査方法:介護保険認定担当者(一部事務受託法人の担当者)に直接電話による問い合わせ
・調査日:H31年1月
・問い合わせ内容:要介護認定調査の民間委託について、委託方式と居宅・施設利用者調査1件あたりの委託費、委託にあたっての条件など
備考:アルファベット表記の市は民間委託なし。A~Dは調査団体の種別
統計
各市の委託金額
委託金額分布
人口と委託金額の関係
地方ごとの委託金額
結果の分析
1.全体の傾向
居宅調査と施設調査では全部の市で居宅の方が高いか、または同額となっています。これは移動に伴う措置と思われます。また、委託方法や金額は隣接する県と似ている傾向が見られます。
また、属する地方と金額については、居宅・施設ともに中国・四国地方が若干低い傾向が見られます。ただ、これらの地方についてはサンプル数が少ないため参考程度のものと考えます。
<居宅調査>
居宅では、最小金額:2,680円で最大金額:4,752円となっており、平均:3,611円でした。そしてほとんどが3,000円以上~4,500円未満の範囲に入っています。
中央値と最頻値は以下の通り。
中央値:3,500円
最頻値:3,240円
<施設調査>
施設では、最小金額:1,900円で最大金額:4,752円となっており、平均:2,841円でした。
施設の度数分布表では山が2つありますが、これには特別な意味はないと思われます。そしてほとんどが2,000円以上~4,500円未満の範囲に入っています。
中央値と最頻値は以下の通り。
中央値:2,570円
最頻値:2,400円
2.比較
委託費は居宅調査の方が施設調査より高く、平均で770円の違いがあります。
それぞれの最小金額と最大金額の比較では、居宅では1.77倍、施設では2.50倍の開きがあります。施設での調査は市によって金額にかなりの違いがあることが解ります。
3.関係
市の人口と委託金額の関係について、両者に相関は見られませんでした。
参考になったでしょうか?
電話で聴き取りを行った際、施設調査について「この委託金額では安くて引受けてもらえないので、ほとんどの調査を市で行っています」と話す担当者の方もいました。
現在の委託費は、介護保険制度が始まった当初よりも安くなった市町村が多いと思います。そして現在の委託費は、調査に掛かる時間に見合った金額とは言えないことを保険者側の多くが認識しているようです。
次回は、「全国県庁所在地の市の介護認定調査委託金額の比較Part 2」として、委託方式や委託に際しての条件などを報告します。