話題|窓口提出が要らない新潟市の認定調査

新潟市の認定調査

1件の認定調査が完了するまでには、保険者からの訪問調査依頼から始まり、調査票の提出までの一連の工程があります。

この工程には当然ながら文書や書類が付いて回り、完成した書類は個人情報なので、漏洩予防のために送信ではなく郵送や直接持参して提出するのが一般的です。
最近はペーパーレス化が進み、認定審査会などではこの傾向が顕著ですが、訪問調査結果の書類は現在も紙での提出がほとんどと思われます。

新潟市はこの認定調査書類のペーパーレス化にはなっていませんが、紙での提出が不要のIPネットワーク(VPN)を使った提出方法を採用していますのでレポートしたいと思います。

VPNとは?

VPNとはバーチャルプライベートネットワークの略で、インターネットのように誰でもアクセスできるネットワークではなく、特定の拠点間でのみアクセス可能なネットワークの事です。

具体的には、市役所介護保険課と認定調査委託契約事業所間をNTTの専用光回線で結び、2者間でのみ送受信が可能なネットワークシステムです。

市の介護保険課と委託事業所間での一般的な事務連絡のやり取りにはメールが使われますが、個人情報については誤送信やウィルス感染の心配があるためメールは使われません。
VPNの場合は誤送信の可能性がないために個人情報のやり取りが可能な訳です。

回線工事費と使用料は事業所負担

委託契約事業者に既にインターネットができる環境(光回線を含む)があっても、VPNの場合は専用光回線を使用するので回線工事が必要で、この工事代金は事業所が負担します。また回線使用料(1800円/月)も事業所負担です。

市が専用端末を貸し出している

VPNでは専用端末を使用する必要があるので、既に事業所に汎用の端末がある場合でも新潟市から事業所に以下の端末が貸し出されます。
・パソコン
・スキャナー
・プリンター
・ルーター
・マウス
・LANケーブル
ちなみに、これらの端末接続は専門業者が行います。

ネットワークシステムにログインするには、システムIDとパスワードが必要

回線工事と端末接続が完了し、市が実施する研修会を受講すると事業所にシステムIDとパスワードが付与され、これでログインして送受信を行います。

市から送信される書類

市から事業所へは
①要介護認定申請書と認定情報(前回の1次判定結果と特記事項)
②主治医意見書原本
③マークシート原本
が送信されます。

それぞれはプリントアウトして、②は事業所が主治医に持参して依頼、回収 ③は調査員がマークシートを完成させます。

特記事項票はそれぞれのフォーマットを使用するようです。

事業所から送信する書類

事業所から市へは
①マークシート
②特記事項票
③主治医意見書
をスキャナーを使って送信します。

事業所のメリットとデメリット

<メリット>
①市の窓口へ書類提出に出向く必要がない
②月ごとの調査実績報告や調査料請求書の作成・提出の必要がない

<デメリット>
①回線工事費と回線使用料の負担
②既にある汎用端末が使えないために、専用端末用のスペースが必要
③主治医意見書の依頼、回収の手間がある

ちなみに、1次判定結果はこのシステムでは判らないそうです。

当然ながらメリット、デメリットがあり、総合的に考えると保険者側にとってのメリットが多いシステムのような感じがしますが、皆さんはどう思いますか?