認定調査項目を読み解く|外出頻度・意思の伝達

2-12 外出頻度

1.項目の定義

「外出頻度」を評価する項目です。
ここでいう「外出頻度」とは、1回概ね30分以上、居住地の敷地外へ出る頻度を評価するものです。
一定期間(調査日より概ね過去1ヶ月)の状況において、外出の頻度で選択します。

2.選択肢の選択基準

調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・定期、不定期であるかや活動内容は問いません。また同行者の有無も問いません。概ね過去1か月内に実際に外出した頻度で選択します。

・徘徊は含みません。

・救急搬送、救急外来受診、転院は含みません。

・同一施設内の移動、同一敷地内の施設等への移動は含みません(アパート、マンションも含む)

・入退院、施設入退所など、過去1か月の間に心身状態や環境が大きく変わった場合は、変化した後の状況で選択します。

・ショートステイなどのサービス利用や入院の場合、その日数に関わらず連続した1回の利用を1回の外出とします。

4.ポイント

・季節や天候によって外出頻度が変わる場合であっても、実際に外出した頻度で選択します。

・生活状況を評価するものですから、どの選択をした場合でも具体的な内容とその頻度を特記事項に記載します

5.選択に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース 選択肢/選択理由
2週間前に退院した。
入院中は外出機会がなかったが、退院後は週1回外来受診している。
週1回以上
過去1か月内に状況が大きく変化した場合は、変化した後の状況で選択する。
4か所の医療機関にそれぞれ月1回ずつ通院しているが、必ずしも週1回ずつ行っている訳ではない 週1回以上
各週でなくても月単位で判断し、内容を特記事項に記載する
1か月内での外出はショートステイを1週間利用したのみである 月1回以上
ショートステイ利用日数に関わらず、1回の利用を1回の外出とする
マンションに住んでおり、同じマンションの別階に住む友人宅に毎日安否確認を兼ねて行っている。
それ以外の外出は月1回の通院のみである。
月1回以上
部屋がそれぞれの住宅であっても、同一敷地内の移動は外出に含まれない。
月1回の通院が該当する
サ高住に住み、同じ敷地内にあるディサービスに週2回行っている。この他にここ1か月内での外出はない。 月1回未満
同一敷地内は該当しない
2週間前に現在の病院に入院した。
入院前は毎日30分以上散歩していたが、現在は病院から出る機会はない
月1回未満
環境が大きく変化した場合は、変化した後の状況で選択する

 

 

3-1 意思の伝達

3群は認知機能に関する項目で、1~7の項目は能力で、8~9は有無で評価します。

1.項目の定義

「意思の伝達」の能力を評価する項目です。
ここでいう「意思の伝達」とは、対象者が意思を伝達できるかどうかの能力です。

2.選択肢の選択基準

調査員テキスト参照

3.選択肢の留意点

・他の能力項目と違い、一定期間の定めはありません。

・失語症などで会話が成立しなくても、何らかの方法で意思を伝達できる場合はその状況で選択し、その伝達手段も問いません。

・伝達する意思の内容の合理性は問いませんが、社会生活における「意思伝達」とは最低限伝達する相手が許容できる範囲の内容を伝えることと考え、この点を踏まえて評価・選択します。

・調査時の状況に加え、聞き取りした日頃の状況から選択します。調査時の状況と日頃の状況が異なる場合は頻度から選択し、その状況を特記事項に記載します。

4.ポイント

テキストでは、伝達手段と伝達する内容の「合理性」は問わないとしています

伝達内容の合理性を欠くとは、①伝える内容が間違っている、辻褄が合わない ②相手の話を理解しておらず、期待した内容の返答が返ってこない、などです。

実際の調査で、認知症があり相手が話した内容が理解できずに全く的外れなことを言う方、意味不明なことを言う方を見かけます。この場合に「合理性は問わないが意思の伝達はできる」と評価できるのでしょうか?

例えば「身体の具合はどうですか?」との問いかけに対する返答が以下のような場合、
Aさん「みんな私のことを心配してくれる。有り難い」
Bさん「あんた誰?、どこから来たの?」(何度も自己紹介したにも拘らず)

どちらも質問には答えていませんが、Aさんの場合「心配してくれる」と質問に関連することを言っており、許容できる範囲の返答といえます。他方Bさん場合は質問には無関係で且つ的外れであり、許容できる範囲の返答といえません。

このように、話す内容に関わらず言葉を発することができれば「意思の伝達ができる」と評価するのは妥当ではありません。

意思の伝達とは、「最低限、伝達する相手が許容できる範囲の内容を伝えること」と考えて評価すべきです。

5.選択に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース 選択/選択理由
普段から口数が少なく、自分から話をすることはないが、問いかければ詳しい内容も答えることができる 他者に伝達できる
自ら進んで伝達するか否かは問わない
話が横に逸れてしまい、話がまとまらない 他者に伝達できる
話がまとまらない場合でも、関連する話をしている場合は該当する
ALSで気管切開している。
意思伝達装置「伝の心」を使ってモニターを通して感想や訴えを伝えている
他者に伝達できる/日常的に伝達できている場合は該当する。体調に左右され、伝達できない時がある場合は「ときどき伝達できる」と評価する
失語症がありゼスチャーで伝達している。家族は内容を理解しているが、訪問した際、調査員は部分的にしか理解できなかった ときどき伝達できる
相手や状況によって、できる時とできない時がある場合は該当する
簡単な質問には答えるが、複雑な内容になると理解できず口ごもってしまう ときどき伝達できる
複雑な事など、伝達する内容によってできる時とできない時がある場合は該当する
失語症があり、言葉が出て来ないために途中で話すことを止めてしまう。二者択一での返答は出来るが、詳しいことは伝えられない ときどき伝達できる
大まかな内容は伝達できるが詳しい内容は伝達できない場合は該当する
認知症があり、「痛い」「何か食べたい」など、限定的な事のみ伝達できる ほとんど伝達できない
限定された内容のみ伝達できる場合は該当する
精神科病院に入院中で、薬の副作用での舌ジスキネジアがある。しきりに舌を動かすために発語が不明瞭で、言っていることは部分的にしか判らない ほとんど伝達できない
いつも部分的にしか伝達できない状態は該当する
失語症があり、話しかけると毎回「あ~」「う~」と言う反応はある できない
「あ~」「う~」のみでは肯定か否定か判断できず、意思の伝達ができるとは言えない

 

次回の読み解く項目は「3‐2毎日の日課を理解 3‐3生年月日や年齢を言う」です。

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