認定調査項目を読み解く|徘徊、外出すると戻れない
今月の読み解く項目 3-8徘徊、3-9外出すると戻れない
徘徊
1.項目の定義
「徘徊」の頻度を評価する項目です。
ここでいう「徘徊」とは、歩き回る、車椅子で動き回る、床やベッドの上で這 い回る等、目的もなく動き回る行動のことです。
2.選択肢の選択基準
3.選択の際の留意点
・徘徊とは、意思表示がなく、また周囲から見ても目的がわからない状態で動き回る行動が該当し、「○○に行きたい」「○○に帰りたい」等の意思表示や目的がある場合徘徊には該当しません。この場合は4群の精神・行動障害項目で評価します。
・第3群は認知機能の程度を評価する項目群ですが、「徘徊」「外出すると戻れない」の2項目は認知症の行動障害の有無を評価する「BPSD関連」項目となっています。
そのため他の項目とは選択肢の選択基準が異なる点に注意が必要です。
4.ポイント
・場所の見当識障害の有無を評価する項目です。
・徘徊は一般的には「目的もなく動き回る行為」とされていますが、当の本人としては目的の場所があってそこに行く途中だったり、目的の場所が判らなくなっている状態であるとの解釈もできます。
ここでの徘徊の判断基準としては「介護者や周囲の人から見て、その行動が場面や目的に照らして不適切かどうか」で評価するのが妥当です。
5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由
ケース | 選択肢/選択理由 |
妻との2 人暮らしで、妻が留守の時に一人で目的もなく外を歩き回っていたが、玄関の鍵を掛けるようにしたため現在一人で外に出ることはない | ない 予防策をとった場合はその結果で評価し、状況を特記事項に記載する |
昼夜関係なく独りで外へ出て行くが、行く場所が決まっており、いつも目的の場所に行くとそこから引き返してくる。そのため家族は引き止めることはしていない | ない 目的の場所があり、そこに行く場合は徘徊とは評価しない |
現在施設入所中で、どこに何があるのか理解できずにウロウロするので、対象者が歩き始めると職員が本人の意向を聞いて目的の場所に誘導している。 | ない 介護者が対応することで徘徊に至っていない場合は「ない」を選択して具体的な状況を記載する。 |
家族が目を離すと外に出ようとするためにその都度家族が制止している。それでも家族の目を盗んで近所をぶらぶらしていることが月に2 ~3 回ある | ときどきある 実際に徘徊する頻度から選択する |
幻視があり、「子供の姿が見えたので探している」と言って廊下をウロウロしていることが月に2~3回ある | ときどきある 「探す」と言う目的があっての行動だが、目的が非現実的であることから選択する |
家の中を意味もなく歩き回ることが日常的にある | ある 自宅や自室内を目的もなく歩き回る場合も徘徊に該当する |
どこに行くとの意思表示もなく、家族がいない間に出かけることが週に1 ~ 2 回ある。たいていは自宅から 1km 程離れた神社に行き手を合わせて戻って来るが、戻らないために家族が神社に探しに行っても見つからない場合が度々ある | ある 目的があって出かけている場合でも、どこに行くか予測がつかない場合は徘徊に該当する |
外出すると戻れない
1.項目の定義
「外出すると戻れない」行動の頻度を評価する項目です。
2.選択肢の選択基準
3.選択の際の留意点
・外出に限らず、自室や居住棟から出て元の場所に戻れなくなる行動も含みます。
・時間帯等によって発生状況が違っている場合でもその頻度で選択し、状況を特記事項に記載します。
・一人では戻れないために介助を受けている場合も含みます。
4.ポイント
・目的の場所に行けない事ではなく、外出した際や施設などにいて、自宅、自室など「日頃いる場所や元々いた場所」に戻れなくなる場合が該当します。
5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由
ケース | 選択肢/選択理由 |
散歩を兼ねて自宅から1km 程離れた娘の家に週1 ~ 2 回一人で歩いて行く。いつも同じ道を行くので往復迷うことはないが、違う道だと迷ってしまう。ここ1か月では迷っていない | ない 過去1 か月間に現れていない場合は「ない」と評価する。具体的な状況を特記事項に記載する |
施設入所中で、自力歩行できないために施設内は車椅子を押す介助を受けて移動している。食後等にホールから自室に戻る際は「私の部屋はどこだっけ?」と毎回介助者に聞いてくる | ない 自分で移動できない場合は該当しない |
週3回デイサービスサービスを利用しており、そこではテーブル席の場所がいつも決まっている。対象者は一旦席を立つと自分の席に戻れなくなる | ない 該当するのは「自宅へ戻れない」「入院、入所中で自室に戻れない」「自宅で自室に戻れない」行動であり、テーブル席の場合は該当しない |
1 か月前から入院中で、日中は自室に戻れるが夜間トイレに行って自室に戻れなくなることが月に2 ~ 3 回あり、その際は看護師に誘導されている | ときどきある 時間帯での評価ではなく、戻れない行動の頻度で選択する |
施設入所中で車椅子を自走している。自室のあるユニット内では自室に戻れるが、ユニット外に出ると戻れなくなり職員に誘導されることが週に1~2回ある | ある 施設の居住棟から出て自室に戻れない場合は該当する |
施設入所中で、一人ではホールや食堂から自室に戻れないので毎回職員に誘導されている | ある 戻れないという状態が継続しているために毎回誘導が行われていると判断して「ある」を選択する |
来月からは第4群を読み解きます。
乾杯!