認定審査会に伝わる特記を書く|場所の理解・徘徊

特記記載のポイント

・調査日の状況と介護者から聞き取りした日頃の状況が異なる場合は、一定期間(場所の理解は概ね1週間、徘徊は概ね1か月)の状況においてより頻回な状況に基づいて選択します。
その場合は選択した根拠等についての具体的な内容を特記事項に記載します。

・場所の理解は能力項目で、徘徊は有無の項目です。選択基準と表現が異なることに注意してください。

場所の理解

記載例選択肢ポイント
3か月前から施設入居中。場所については、「病院か施設」と答え、家でないことは理解している。できる特記内容は妥当と思います。
3W前から入院中。家族の話では普段日付や場所を理解していないとのことだが、調査時は答えることができたため「できる」を選択するできるこの場合は日頃の状態を良く知る担当看護師などからの聞き取りを行い、判断するべきと考えます。
現在グループホーム入居中。今いる場所について聞くと答えられないが、「ここには○○から来た」と実家のある地名を答える。今いる場所は家ではないことを理解していると判断した。できるこの特記内容では「今いる場所が家ではない」と認識しているとする根拠が解りにくいのでその根拠を記載するべきです。
現在入院中だが入院中であることを理解していない。今いる所について聞くと「家は○○にある」と話すことから「できる」を選択する。できる「詳しい場所の理解はないが、自宅ではないことは理解しているケース」で、妥当な特記内容と思います。
グループホーム入居中。ここは自宅ではなく、毎日宿泊していると言う。できる現在の場所は、自宅以外の所で、そこに宿泊していると認識しているので選択肢と特記は問題ないと思います。
場所の理解もない。
(日課の理解、短期記憶ともに「できない」を選択している例)
できない選択理由は項目ごとに記載するのが原則ですから、具体的な状況を記載するべきです。
居宅での調査で、「ここは自宅ではないが、旅館なのかどうか分からない」と答えるできない自宅を自分の家ではないと話しているので、選択肢と特記内容は妥当と思います。
1か月前から入院中。ここは病院か?と聞くと「病院ではなく貸家」と答える。できない自宅ではないという理解はあるが、貸家は「できる」には該当しないと判断したものと思われます。看護師に日ごろの状況を聞き取りするべきと思います。
現在入院中で、今いる場所については「試験場」と返答する。看護師の話では、日頃から息子の名前を呼んで探していることから自宅だと思い込んでいる様子とのこと。できない「できない」と判断する具体的な選択理由が記載され、判りやすいと思います。

 

徘徊

記載例選択肢ポイント
トイレや自室など、目的の場所が判らずウロウロするが、施設職員が徘徊に至る前に誘導している。ない選択肢は問題ありませんし、介助の状態も分かる特記です。
目的があって自宅内を何度も行ったり来たりしている。途中で目的が判らなくなってしまうが、目的があるため「ない」を選択する。ない目的がある行動なので徘徊ではないとしていますが、徘徊している本人は皆何らかの目的があって行動しています。その目的が合理的なものか、状況にあったものかが問題です。徘徊でないと判断した「目的」を具体的に記載するべきです。
施設入所中で、自分でもどこに行きたいか判らず施設内を日常的にうろついているある状況も頻度も分かる特記です。具体的な介助の手間があれば記載しましょう。
車椅子を自走して、毎日目的なく廊下を行き来する。ある同上
自室のある2階と1階の行き来が日に何度も意味もなく行われている。ある状況も頻度も分かる特記です。
グループホーム入居中で、目的もなくウロウロする様子が週1回は見られ、職員は目が離せない。(認知症高齢者の日常生活自立度はⅢaを選択)ある選択肢に問題はありませんが、週1回の徘徊に対し”目が離せない”とするのは適切な表現ではないと思います。