話題|特記事項は1枚に収めて提出するべきか?

特記事項の枚数に関する保険者からの指導

市町村や保険者によっては、認定調査員に対して特記事項の記載が1枚に収まるように指導しているところがあります。
ちなみに、私が調査の委託契約している市は3か所あり、1枚に収まるように指導されているところは1か所だけです。

この枚数の指導について、認定調査に携わっている全国のケアマネさんにSNSでアンケートをお願いしたところ、以下のような結果となりました。

1.枚数についての指導はされていない。  58人
2.1枚に収めるように指導されている。  15人
3.2枚以内に収めるように指導されている。 5人

「1.枚数の指導はない」が74%で圧倒的に多いのが解ります。

では、なぜ枚数を指導する市町村としない市町村があるのか、その理由を調べてみました。

 

認定情報はどんな形で審査会に提供されるのか?

特記事項を含めた認定情報は認定審査会のための情報です。
それでは認定調査票や特記事項、主治医意見書が実際にどのような形で審査会に提供されているのかを紹介したいと思います。

1.認定調査票

調査結果を1次判定ソフトに入力する方法は概ね2通りあります。

①マークシート方式
基本調査結果を調査員がマークシートに転記し提出、そのマークシートを市町村のOCR機(マークシート読取り機)にかけることによって、内蔵された1次判定ソフトを経て1次判定が行われ、その結果がプリントアウトされる。

②VPN(バーチャルプライベートネットワーク)方式
VPNというインターネットのような専用回線を使って調査員が市町村の1次判定システムにログインし、システムの1次判定ソフトに直接調査結果を入力する。そこで1次判定を行い、その結果がプリントアウトされる。

2.特記事項

①マークシート方式の場合、提出された特記事項原本がコピーされる。
②VPN方式の場合、システムの特記事項ページに調査員が直接入力し、それがプリントアウトされる。

3.主治医意見書

提出された主治医意見書原本がコピーされる。

 

認定情報は専用の機械によって見開きで見られるようにプリントアウトされる。

OCR機

 

1次判定結果、特記事項、主治医意見書を専用機械に読み取らせると下図のようにプリントアウトされ、見開きの認定情報書類が出来上がります。

<1人の対象者の認定情報>

 

この認定情報が両面印刷され、1回の審査会分が1冊の冊子となり、各審査会委員に事前配布されます。

 

特記事項を1枚にしたい理由は、認定情報を見開きで見られるようにしたいから。

特記事項が1枚なら認定情報は見開きですべて見られますが、特記事項が2枚以上になるとページをめくる必要があります。

審査時間をできるだけ短くしたい保険者が認定情報を効率よく提示するために1人の対象者の情報を見開き2ページで完結させたいと考えるのは当然です。

実際、特記事項の枚数の指導を行っていない市の担当者も「特に枚数の指導はしていないが、1枚に収めてもらったほうが審査会事務局としては助かる」と発言しています。
そのうえで、特記を1枚に収まるように記載することで情報不足になるよりは、例え2枚以上になっても状況を具体的に詳しく記載してもらったほうが良いとの判断なのだと思います。

なお、特記事項を1枚に収まるように指導している市の担当者にその理由を聞いたところ、認定審査会委員から「見開きですべて見られるようにして欲しい」とのリクエストがあったそうです。
そのため、もし2枚にわたる特記があった場合は2枚目の特記部分を切り取って1枚に張り付けるなどの対応をしているとのことでした。

1回の審査件数が多い保険者が1枚に収まるように指導していると推察される。

1回の審査件数が多い保険者では、審査会の時間やファイルの量を考えた時できるだけ資料の数を少なくしたいところでしょう。

アンケートなどは取っていませんが、審査件数が多い市町村ほど特記事項を1枚に収めるように指導しているのではないかと考えられます。

以前からペーパーレス化が叫ばれ、プリントアウトせずにPCモニター上に表示して審査する保険者も増えているようです。

菅新首相は行政のデジタル化推進を公言していますので、これからは認定調査結果も紙での提出はなくなり、審査会もデジタル審査会となっていくのではないでしょうか。また、審査会自体もリモートでの審査会になっていくことが予想されます。