認定審査会に伝わる特記を書く|物や衣類を壊す・ひどい物忘れ

物や衣類を壊す

ポイント

壊す、破く、分解して元に戻せない、などの行為を具体的に頻度と共に記載します。

この行為を防止するためにミトン手袋を付けたりやむなく拘束などの対応がとられている場合は、「ない」を選択したうえでその状況と対応を取らない場合に考えられる状況を特記に記載します。

特記記載例については、該当になる行為が特定しやすく、そのため選択肢の間違いや記載内容の訂正が必要なものは見つかりませんでした。そのため今回は記載例の紹介を割愛させていただきます。

なお、記載例で多いのは①オムツ・リハビリパンツを破く・ちぎる②服や電気コードなどをハサミで切る③布団カバーやシーツを歯でかみちぎる、などでした。

 

ひどい物忘れ

ポイント

具体的な物忘れ行為とそれに起因する行動、あるいは何らかな対応をとっている、又はとる必要がある状況を記載する必要があります。
物忘れによる介護の手間がある場合は記載します。

特記記載例

記載例選択肢ポイント
骨折後歩行することができないため、一人で動くと危険と説明するも理解できず、立とうとするなど危険な行動がある。ある(4-12ひどい物忘れと4-14自分勝手に行動するの共通特記)「説明するも理解できず」の記載だと物忘れに該当しないので、この場合の特記にはふさわしくないと思います。
記憶面での低下により生活の全てに指示や誘導が必要である。ある特記に求められるのは具体的な行為と頻度です。この記載ではどのような介護の手間と頻度があるのか判断できません。
グループホーム入所中で、場所が判らずウロウロしたり、トイレ誘導や更衣などは何度か声掛けしないと動作に繋がらない。あるウロウロする、何度も声掛けする必要がある、これらを物忘れの行動とするには、そう考える状況あるいは説明が必要です。
独居で、食事は近くに住む娘が作って届けている。「冷蔵庫にご飯とおかずが入っている」と言っても忘れて食べない時が増えた。そのため夕方に行って食卓の上に出しておくようにしたため今は特に問題はない。ない対応をとったために現在は「ない」と判断したケース。実際の介護の手間が記載されており、審査会にも伝わる特記だと思います。
短期記憶が保てず何回も聞き直しがある。先月に行った長谷川式のテストでは15点だった。ある(3-4短期記憶は「できない」を選択)状況は理解できます。ただし長谷川式スケール(HDS-R)の得点は日常生活でのひどい物忘れを説明できるものではありません。
入浴したことを忘れて「自分だけ入っていない」と訴えるため、説明して納得させる必要がある。ある頻度をうかがわせる記載がないので記載しましょう。
独居で、受診した日や医師から聞いたことを忘れている。薬が大量に残っており処方通りに飲むことができない。ある物忘れに起因する行動の記載はありませんが、対応をとる必要があると考えて選択したものと考えます。
施設入所中。毎日間違って他の利用者の部屋に入っていく。ある(3-9外出して戻れないも「ある」を選択)この行動がひどい物忘れによる行動であるとする理由を記載する必要があると思います。
グループホーム入所中で、毎日夕方になると「家に帰る」と落ち着かなくなる。職員が説得して一旦落ち着くがすぐに忘れて同じ訴えをしてくる。ある(4-5同じ話、4-8落ち着きなしの共通特記)よく見る記載ですが、この場合、対象者は自分が言ったことを忘れて何度も言うのではなく、要求を受け入れてもらえないために繰り返しとっている行動ととらえ、4-5,4-8のみの特記とするべきと考えます。
在宅生活だが、トイレや洗面所の場所が判らないでいるため、その都度声掛けが必要。特にショートステイ利用後は混乱が激しい。ある(3-9外出して戻れないも「ある」を選択)この記載からは見当識障害ととらえるのが妥当と考えます。ひどい物忘れと判断できる別のエピソードにするべきです。