話題|特記事項を読み手に伝えるためにすべきこと、すべきでないこと。

 

 

このコーナーでは以前にも”頑張って書いた特記事項が伝わらない!”として、特記事項を読む相手である審査会事務局についての記事を載せました。

今回はこの特記事項についての第2弾として、せっかく書いた特記事項が、照会が来ることなく読み手に伝わるようにするにはどんな事に気を付けたら良いのかを特集しました。

Q:特記の読み手は誰なのか?

A:審査会事務局担当者(市区町村の介護保険担当課職員が認定審査会事務局担当となる)
当然、認定審査会委員の方々も読みますが、審査会事務局担当者が事前に細かくチェックしてから配布しますので、審査会委員に配布された特記内容については審査会事務局担当者が審査会委員からの質問に答えることになります。

<審査会事務局担当者の特徴>
・基本的に市区町村の職員は4年前後で他の部署に異動する、なのでベテランは少ない。
・医療・介護現場で働いた経験者はほとんどいない。
・介護・医療に関する知識に個人差がある。
・判断の拠りどころは「調査員テキスト」
・仕事をこなす能力は高いが、なかには融通性に欠ける人もいる。

<仕事の内容>
・自分が担当する審査会資料を作る(一次判定結果、概況調査、特記事項、主治医意見書)。内容をチェックして記載ミス、整合性や選択の妥当性を確認する。誤りや疑問点があれば担当調査員に照会を出す。
・認定審査会に出席して審査会資料の補足説明や審査会委員の質問に答える

Q:審査会事務局担当者は調査員にどのように記載してもらいたいのか?

A:
・テキストに沿った記載をしてもらいたい
・能力と介助の方法で整合性がとれるように記載してもらいたい
・具体的に記載してもらいたい
・簡潔に記載してもらいたい

Q:記載するうえで調査員がすべきことは何か?

A:
・常用漢字を使用してもらいたい。常用漢字でも日ごろ使われていないものはひらがな記載してもらいたい。
<例> 
咽る(むせる)→ 常用漢字だが「むせる」としたほうが判りやすい。

宥める(なだめる)→ 人名漢字であり、常用漢字ではない。

痞える(つかえる)→ (2-3えんげの項目で使われる場合がある)常用漢字ではない。

項目別

<能力の項目>

・「~出来る」と記載してもらいたい

・麻痺・拘縮については根拠となる具体的な状況(角度など)を記載してもらいたい

・相反する記載はしないでもらいたい。(出来ないを選択して、「しかし○○は出来る」など)

<介助の方法の項目>

・「介助されている」「援助されている」と記載してもらいたい

・「~が必要である」との表現はしないでもらいたい。実際に行われているのか、能力勘案なのか判らない。

・調査員テキストに「一連の行為」についての記載がある項目は、その一連の行為に対する介助方法を記載してもらいたい
<テキストに一連の行為について具体的な記載がある項目>
洗身・つめ切り・食事摂取・排尿・排便・口腔清潔・洗顔・整髪・上衣の着脱・ズボンの着脱・薬の内服・金銭の管理
・相反する能力の記載はしないでもらいたい。(全介助を選択して、「車椅子全介助。自走も可能」など)

・細かな状況説明の記載はかえって解りにくいので簡潔に記載してもらいたい

・頻度で選択した場合はその旨と具体的な状況を記載してもらいたい

<有無の項目>

・頻度は必ず記載してもらいたい

・項目の選択肢によっては2つの状態の記載を求めるものがあるので(落ち着きなし、ひどい物忘れなど)それに沿って記載してもらいたい

 

Q:記載するうえで調査員がすべきでないことは何か?

A:

・概況調査、基本調査ともに例え前回と変わらない場合であっても、前回特記のコピぺはしないでもらいたい

・一つのエピソードを複数の項目で使い回さないでもらいたい

・ディープな専門用語は使わないでもらいたい
例:ENT(退院)、ROM(可動域)、DIV(点滴)、CV(中心静脈栄養)、NC(ナースコール) など

このサイトでは”審査会に伝わる特記を書く”というカテゴリーがあります。このカテゴリーでは各項目ごとに特記事項の記載に関する説明しているものです。

今回の話題では「特記事項全体の記載で心がけること」を取り上げました。各項目の特記記載については”審査会に伝わる特記を書く”をご覧ください。