認定調査項目を読み解くPart2|日課の理解

1.項目の定義

「毎日の日課を理解する」能力を評価する項目です。
ここでいう「毎日の日課を理解」とは、起床、就寝、食事等のおおまかな内容について理解していることです。 厳密な時間、 曜日ごとのスケジュール等の複雑な内容まで理解している必要はありません。

2.選択肢の選択基準

調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・自発的に行動しているかは含まれません。日頃行われていることの内容や時間などについて大まかに理解しているかで評価します。

・対象者から直接聞き取りしますが、「何もしていない」などと答える場合があるため介助者からの聞き取りは必須です。

・曜日ごとの細かいスケジュールの内容まで理解している必要はありませんが、平日は毎日訪問や通所系サービスを利用しているような場合に、サービスを利用している認識がない場合は「できない」と評価するのが妥当です。

・日課を覚えられないためにメモしたものを見て行動している場合は「できる」と評価します。

・調査日の状況と介護者から聞き取り した日頃の状況が異なる場合は、 一定期間 (調査日より概ね過去1週間) の状況においてより頻回な状況に基づいて選択します。

4.ポイント

・日頃どんなことをして過ごしているか、また、時間の感覚があるかがポイントです。
食べている食事、または食べた食事が朝食なのか昼食なのか判らない場合などは「できない」と評価します。

・いつも決まった時間にしていることを認識しているかどうかもポイントです。「何もしていない」と答えたり、毎回介護者が説明や誘導をする必要がある場合は認識しているとは言えません。

・対象者が認知症で施設入所や入院している場合は、「毎日ここに泊まっているか?」を質問するのも一つの方法です。

5.選択に迷うケースの選択肢と選択理由及び特記の問題点

ケース/記載例選択している選択肢選択理由/特記の問題点
失語症があり質問には答えられなかった。しかし時間を見て食事の準備などをしていると聞き取り、日課の理解は概ねあると判断した。できる周囲からの情報での判断ですが、時間の感覚があるのが判り、日課の理解は出来ていると評価していいケ-スと思います。
朝昼夕の感覚は無くなっているが、概ね日課は理解できている。できる時間の感覚はないが日課の理解は概ねできるという評価です。「朝昼夕の感覚は無くなっている」は「できない」を選択する時の表現です、理解できると評価する具体的な根拠を記載すると判りやすいと思います。
日課の理解はできず、妻が起床から就寝までその都度声がけしている。できないできない」を選択する特記で、最も多く見られる選択理由です。日ごろ理解できていないことが判ります。
起床時間、就寝時間を尋ねるが「いつもおなじ時間だから」としか答えられない。できない日課を理解しているかは起床や就寝の時間を答えられるかでは判断できません。時間を答えられなくても、自発的かつ規則的に生活できている場合は「できる」と評価しても良いと思います。この場合は介助者からの聞き取りをして総合的に評価するべきです。
日課を聞いたが時間は答えられない。毎日ウトウトしながら過ごしており、ウトウトから目が覚める度に朝だと思い、その度に仏壇の前でお経をあげる。できない「日課を聞いたが時間は答えられない」とありますが、時間が判らなくても日課が答えられればできると評価しても良いと思います。ただし、目が覚める度に朝と思っているのは「時間の感覚がない状態」ですから「できない」を選択するのは間違いではないと考えます。
1日の流れを大まかに把握するが、目が覚めた時を朝だと思う時があり、夜中に起きて行動する時がある。できない「できない」とする選択理由は「夜中に起きて行動する」ことの様ですが、この場合は昼夜逆転の行動であり、日課の理解が出来ない理由にはなりません。また冒頭に「1日の流れを大まかに把握する」と記載があり、これは「できる」を選択する時の表現です。この様な選択肢と相反する記載はするべきではありません。
質問に対して全く辻褄の合わない話を始める。できない質問に正しく答られない状態ですが、この項目では日頃の状況を介護者などから聞き取りをしないと適切な評価は難しいと思います。