認定調査項目を読み解くPart2|介護に抵抗・落ち着きなし

 

 介護に抵抗

1.項目の定義

 介護に抵抗する行動の頻度を評価する項目です。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

 単に助言しても従わない場合は該当しません。また、難聴等で聞き取れず、状況が理解できないために抵抗する場合も該当しません。

 具体的には、手を振り払う、逃げ回る、何かにつかまり動かない、部屋に入れない、食事介助で口に入れたものを吐き出す、大声を出したり暴言を吐く、等で介護に支障がある場合が該当します。

4.ポイント

 介護に支障をきたす行動が該当します。

 暴力や身体を使った抵抗は勿論ですが、暴言や介助者の声がけ・促しに対して頑として受け入れない場合なども該当します。しかし、保険者によっては「身体を使った抵抗行為」の有無で該当するかを判断している場合があります。特記には「抵抗行為はないが、拒否して興奮状態になる、不穏になる」など、介護に支障をきたしている具体的な状況を記載するようにしましょう。(2020年4月話題|介護抵抗は“抵抗行為”がある場合しか該当しないのか?参照) 


 
5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース選択肢選択理由およびポイント  
対象者は女性で施設入所中。入浴やトイレの際に介助が必要だが、男性職員の介助を拒否するため、その都度女性職員と交代する必要があるない介助の方法について、この場合は場面や目的から見て不適切とは言えない
日中独居で、週3回のDS利用と週1回のSSを利用している。DSとSSでは毎回入浴拒否があり、手を払ったり大きな声はないが、声がけや促しは毎回必要である。ない抵抗でなく拒否と判断される場合は該当しない
特定施設に入居中で、入浴を拒否し、職員が説得しても入ってくれない。遠方に住む息子が毎回本人に電話で入浴するように説得し、ようやく入っている状況。ないこの場合も抵抗とまでは言えない
現在大腿骨頚部骨折で入院中。薬は看護師が口に入れているが、拒否して口を閉じて顔を背ける行為が月に2~3回ある。時々あるこのケースでは事務局からの照会はなかったようです。口を閉じる、顔を背ける行為が抵抗行為と判断されたものと思われます。
施設入所中で、食事に集中できなくなり途中から介助されている。機嫌が悪いと、介助で口に入れた食べ物を吐き出す行為が月に2~3回ある。時々ある食事介助されたものを意識的に吐き出す行為は介護抵抗に該当するものです。
小規模多機能の通いを利用中だが、体調不良や腰が痛いと言って利用を拒否しており、家族が利用を勧めても全く聞く耳を持たず抵抗する。尿失禁しても紙パンツの交換をさせてくれない状態。あるこの場合は拒否であり、介護抵抗には該当しないと思われます。「紙パンツを交換させてくれない」とありますが、不適切な状態でなければ拒否の一環として「ない」を選択するべきです
生活全般に援助が必要な状態。家族が排泄や更衣の援助をしようとするが聞き入れず、いつも声を荒げて拒否する。そのため家族は対応に苦慮している。ある必要な介助に対して大きな声をだして拒否し興奮している状況は介護抵抗に該当します
身体援助に対して頑として拒否する。手を振り払うなどの行為はないが強い口調で拒否するため介助できない。あるこのようなケースは介護抵抗と判断してよいと思いますが、「この場合は拒否であり、介護抵抗ではない」と判断される可能性があります。併せて、抵抗に関連した具体的な手間を記載すると良いと思います

 

 落ち着きなし

1.項目の定義

「家に帰る等と言い落ち着きがない」行動の頻度を評価する項目です。
 ここでいう「「家に帰る等と言い落ち着きがない」行動とは、施設等で「家に帰る」と言ったり、自宅にいても自分の家であることがわからず「家に帰る」等と言って落ち着きがなくなる行動のことです。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

 帰宅願望からの問題行動が該当します。
「○○に帰りたい」「○○に行きたい」という意思表示と、落ち着きのない行動の両方がある場合が該当します。

4.ポイント

 留意点にあるように、帰宅あるいは目的の場所に行きたいという願望・要求からの行動が該当します。
目的が分からない状態で動き回る場合は徘徊と判断します。また、動き回る状態ではないが、物を出し入れするなどじっとしていない状態の場合は「ない」を選択したうえで特記事項に具体的な状況を記載します。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース 選択肢選択理由およびポイント
目的なく自宅内を動き回るが、どこに行く等の発言はないない意思表示がない場合は該当しない。この場合は徘徊に該当します。
箪笥の中の物を出したり入れたり、何か探し物をする等でいつも落ち着かない。外に出ようとする行動はないない単に落ち着かない行動のみの場合は該当しない。「ない」を選択したうえで具体的な状況を特記事項に記載する。
グループホームに入所中で、どこに行くなどの意思表示がなく施設の玄関に行こうとするので目が離せない。ない目的の場所がなく、意思表示もしていないため「一人で出たがる」に該当する。
骨折後のリハビリ目的で入院中で、病識がなく、毎日のように夕方になると「なぜ帰れないんだ」と看護師に声をかけてくる。看護師はその都度説得の手間がある。ある「ある」を選択していますが、落ち着きのない行動の記載がありません。その行動の記載が必要です。
脱水で入院中。点滴をしているが毎日点滴を抜こうとし、「これ外して早く家に返して!」と騒ぐためやむを得ず抑制帯を使用している。あるこの場合は落ち着きなしではなく、介護抵抗に該当すると思われます。「早く家に帰して」の発言から判断したものと思われますが、状況から帰宅願望に伴う行為とは言えません。