話題|4群「自分勝手に行動する」の判断基準

4群 「自分勝手に行動する」の判断基準

4群は精神・行動障害を評価する項目群で、4群全てと3群の徘徊・外出すると戻れない、及び5群の集団への不適合を総称して認知症の行動・心理状態であるBPSD関連項目群となっています。

BPSDの内容は大きく分けて次に3種類になります。

A:これまで出来ていたことが出来なくなった。

B:これまでしなかったことをするようになった。

C:今まで続けていたことをしなくなった。

Aには、外出すると戻れない、ひどい物忘れ、話がまとまらない、集団への不適合などが該当し、Bには、徘徊、被害的、作話、昼夜逆転、介護抵抗、勝手に行動するなどが該当します。Cに該当する項目はありません。

BPSDの判断基準

AであれBであれ、BPSDの判断基準は「場面や目的から見て不適切な行動」かどうかです。4群に関して言えば、それぞれの項目で定義や具体的な行動例がありますが、「4-14.自分勝手に行動する」には具体的な行動例はありません。

今回は"該当するかしないか、判断に迷う"ことが多い「自分勝手な行動」について考えたいと思います。

実際の認定調査の現場では、「自分勝手に行動する」に該当する行為として次のようなものがあります。

1.規則を守らない
2.指示通りにしない
3.自傷他害行為
4.不潔行為
5.性的逸脱行為

これらの行為がある場合は「時々ある~ある」を選択しますが、次のような行為は認定調査員の判断になります。

1.マナー違反
2.顰蹙(ひんしゅく)を買う行為
3.相手に迷惑がられる行為

具体的には

・他の利用者が順番を待っているのに、構わず先に行く

・食事中に他の人が見ている前で義歯を外して洗う

・相手が気にしていることを構わず本人に言う

・他人の悪口をこれ見よがしに利用者や職員に話す

・しつこくプライベートなことを聞く

・頼まれてもいないのに人の世話を焼き迷惑がられる

・ちょっとした介助を夜昼問わず何度も頼む

・しなくて良いと言われているにも拘わらず家事を手伝い、中途半端でかえって手間になる

この様な行為は、定義にある「場面や目的にそぐわない」とは言えず、テキストにある「自分勝手に行動する行為」には該当しない場合がほとんどです。

発生する介護の手間については、身体介護は直接・間接を含め調査項目にほぼ含まれており評価が行われますが、認知症の症状やBPSDについては十分な調査項目が設定されているとは言えません。

特に、”介護の手間とまでは言えないが、精神的なストレスとなる”ような行為については調査項目では反映されていない場合が多々あります。

実際に、先に上げた調査員の判断に委ねられるような例については、介助者や同席者からよく耳にする情報であり、日頃の介護負担になっている状況だと考えられます。

定義に含まれない「自分勝手な行動」は特記に記載して審査会事務局にアピールする

定義に含まれない「自分勝手な行動」がある場合、「自分勝手に行動する」項目では「ない」を選択したとしても、介護者がストレスになっている状況や手間を具体的に特記に記載しましょう。

認定審査会の簡素化が行われ、以前よりも特記が認定審査会委員の目に触れる機会は減りましたが、審査会事務局では必ず読まれます。審査会事務局が、「介助の手間が通常よりも多い」と判断し、審査会にかけて審査会委員の判断を仰ぐことになる可能性があります。

また、訪問調査に担当ケアマネが同席した場合、担当ケアマネが後日認定情報を取り寄せた時に、特記に訪問調査の際に提供した情報の記載がないと「情報提供したも拘らず特記記載がない」と不信感を抱かせることになります。信頼関係を壊さないためにも、提供された情報は内容を整理したうえで簡潔に特記に記載するように心がけましょう。

4-14 自分勝手に行動する の過去記事