認定調査項目を読み解く|上衣の着脱・ズボン等の着脱
2-10 上衣の着脱
1.項目の定義
上衣の着脱の介助が行われているかどうかを評価する項目です。
ここでいう「上衣の着脱」とは、普段使用している上衣などの着脱のことです。
2.選択肢の選択理由
3.選択の際の留意点
・衣服の選択および準備や手渡しなど、着脱までの準備は含まれません。
・ボタンの掛け外しは介助に含まれますが、簡単な直し(襟、袖を直す、袖のボタンの掛け外し、紐を結ぶ、など)の場合は、介助が行われているとは評価しません。この場合は、特記事項に具体的な状況を記載します。
・前合わせ物はボタン掛けやファスナー合わせの介助がされるが、被り物は介助が行われていない場合は、どちらの服を着ることが多いかその頻度で判断します。
・介護者が構えている服に対象者が自ら腕を通す場合は、協力動作があるとして「一部介助」を選択します。
・福祉用具や器具類を使用している場合は、使用している状態で評価します。
・時間帯や体調などによって介助の方法が異なる場合は、一定期間(調査より概ね過去1週間)の状況において、より頻回にみられる状況で選択します。
・介助されていない状況や実際に行われている介助の方法が不適切と判断した場合は、適切な介助の方法を選択したうえで、不適切とした理由と選択根拠を特記事項に記載します。
4.ポイント
・時候にあった衣服を選択しているかや、適切に衣服を交換しているかは問いません。
・着脱に常時の付き添いがない場合でも、着脱中に声がけや見守り、または着脱後にキチンと着れているかの確認が行われている場合は見守りに該当します。
5.選択に迷うケースの選択肢と選択理由
ケース | 選択肢および選択理由 |
五十肩で、手を後ろに回す動作に支障がある。日頃の更衣は何とか自力でしているが、週2回の入浴後の着衣は滑りが悪くて毎回介助されている | 介助されていない 状況によって介助の方法が違う場合は、より頻回な状況で選択する |
シャツの上にシャツを重ねたり、パジャマの上にシャツを着るなどの行為がある。おかしい着方をしている場合は家族が着替えるように指示している。毎回の確認はしていない。 | 介助されていない 見守りに該当するのは①常時の付き添いがある場合②着脱後に毎回確認等が行われている場合であり、気づいた時のみの場合は該当しない |
着脱は自分でするが、着る順番が理解できないために介護者が付き添い、1枚ずつ声をかけながら手渡している | 見守り等 常時の付き添いと声がけがされている場合は該当する |
着脱に常時の付き添いはないが、更衣が進んでいるか介護者が途中で確認と声がけをしている | 見守り等 常時の付き添いがない場合でも、着脱行為中に状況確認や声がけが行われている場合は該当する |
入院中で、身体的に着脱の能力はあるが、時間がかかるために毎回看護師が介助している。 看護師が服を構えると袖を通す協力動作がある |
一部介助 能力がある事のみで実際に行われている介助の方法が不適切とはせず、置かれている状況などを総合的に考えて選択する |
対象者が自分で着脱しているが、着崩れや着衣の乱れがひどく、毎回家族がシャツをズボンの中に入れたり背や裾を整えている | 一部介助 シャツをズボンに入れたり手直しが行われている場合は該当する。襟や袖口などの細かい整えの場合は該当しない |
介護者が服を構えても自らは袖を通さないために、指示して腕を伸ばしてもらい、その腕に介護者が袖を通している | 全介助/介助者が構えた服に自ら袖を通す場合は協力動作があると評価するが、この場合は協力動作とは言えない |
2-11 ズボン等の着脱
1.項目の定義
ズボン等の着脱の介助が行われているかどうかを評価する項目です。
ここでいう「ズボン等の着脱」とは、普段使用しているズボン、パンツなどの着脱のことです。
2.選択肢の選択理由
3.選択の際の留意点
・ズボン等の選択および準備や手渡しなど、着脱までの準備は含まれません。
・介護者が構えているズボンなどに、対象者が自ら足を通す場合は協力動作があるとして「一部介助」を選択します。
・福祉用具や器具類を使用している場合は、使用している状態で評価します。
・時間帯や体調などによって介助の方法が異なる場合は、一定期間(調査より概ね過去1週間)の状況において、より頻回にみられる状況で選択します。
・介助されていない状況や実際に行われている介助の方法が不適切と判断した場合は、適切な介助の方法で選択し、不適切とした理由と選択根拠を特記事項に記載します。
4.ポイント
・時候にあった衣服を選択しているかや、適切に衣服を交換しているかは問いません。
・日頃ズボンをはかない場合はパンツやオムツの着脱行為で代替え評価します。
・簡単な直し(ベルトを締めるなど)は介助が行われているとは評価しません。この場合は、具体的な状況を特記事項に記載します。
5.選択に迷うケースの選択肢と選択理由
ケース | 選択肢および選択理由 |
家族が着替えを準備すると自分で着脱するが、脱いだ服やズボンは床に置いたままのため毎回家族が片付けている | 介助されていない 着脱以外の介助は該当しない。具体的な介助の手間を特記事項に記載する |
独居で、身体機能に問題はない。日頃から更衣が面倒で同じズボンを何日もはき続け、また、汚れや破れがあっても構わずはいている | 介助されていない 着脱に介助が行われているかを評価するもので、更衣の選択や交換が適切に行われているかを問うものではない |
着脱に常時の付き添いはないが、ズボンを前後逆にはいたりするため、はいた後に毎回介護者が確認し、逆の場合ははき直しさせている | 見守り等 常時の付き添いがない場合でも、着用後の確認、指示が行われている場合は該当する |
常時の付き添いはないが、毎回更衣が進んでいるか介護者が途中で確認に来ている | 見守り等 常時の付き添いがない場合でも、更衣中の確認、指示が行われている場合は該当する |
独居で、腰痛と足の痺れがありベッドに横になったまま着脱している。そのため更衣に時間がかかり、更衣後は疲れてしばらくは何もできない状態である | 一部介助 介助者不在による不適切な状態と判断し、身体状況から適切な介助方法として「一部介助」を選択 |
ズボンを脱ぐときは一部介助で出来るが、はくときは足通しからズボンの引き上げまで全介助されている | 一部介助 「着脱」を一つの行為として評価する項目のため、どちらか一方が一部介助の場合は一部介助を選択する |
寝たきりで、ベッド上でズボンの着脱が介助されている。自らズボンの足通しは出来ないが、腰を上げる協力動作はしている | 全介助 介助者が構えたズボンに自ら足を通す場合は協力動作とするが、腰を上げる行為は協力動作には当たらない |
次回の読み解く項目は 2-12外出頻度 3-1意思の伝達です。