話題|認定調査にモバイルを使って効率化

モバイルを携帯して1日6件の認定調査をこなす高松市のケース

”今月の話題18年7月:認定調査の電子化”で触れましたが、香川県高松市では介護認定業務の電子化の一環として訪問調査に訪問調査モバイル(ノート型PC)を携帯して効率化を進め、認定調査員一人で1日5~6件(更新調査)の調査をこなしているそうです。
今回は高松市で訪問調査を行っている高松市社協の認定調査員の方にその状況をお聞きしましたので報告します。

<高松市>

介護認定業務の電子化

電子化の経緯

高松市は人口約42万人の香川県の中核市。介護認定については高松市以外の周辺3町を含めて事務受託を行っており、「申請から認定までを30日以内に終わらせる」ためには介護認定事務と認定審査会の効率化が急務となり、2006年に国内大手エレクトロニクスメーカーであるF社の介護認定システムが導入されたようです。

認定調査と主治医意見書

新規と区分変更の調査は高松市の調査員が行い、更新の調査は高松市社協の調査員が行っています。
新規調査で1日一人4件かそれ以上、更新調査は一人5~6件かそれ以上を毎日実施し、特記も原則その日のうちに入力するとの事です。

介護認定までの時間を短縮するには認定調査を迅速に行うことは勿論ですが、主治医意見書も迅速に提出されて認定審査会に諮られることが必要です。
そこで高松市では、予め医療機関に主治医意見書を配布し、申請者の依頼に応じて記載された主治医意見書を、申請者自身が介護認定申請書と一緒に窓口に提出することになっています。

訪問調査の実際

調査員それぞれにシステム端末である訪問調査モバイル(A4サイズノート型PCで、2㏌1と呼ばれるセパレートタイプで液晶部を外してタブレット端末としても使用可)が与えられており、それを携帯して訪問先へ移動する。

訪問先ではモバイルPCは使わず、紙の基本調査チェックシートと特記事項のメモをとる。

訪問調査を終え、空き時間を利用して車の中などでチェックシートとメモを見ながらモバイルPCの調査票アプリに各項目の選択肢と特記事項を入力していく。調査票アプリには各項目ごとに特記事項欄があり、全ての項目と特記事項が1ページに収まる書式になっている。
なお、調査票アプリに基本調査項目すべてを入力すると1次判定結果を確認することができる。

昼休憩は事務所に戻らずに出先で過ごす場合もあるとの事。

午後の調査も午前同様に行うが、PCへの入力は事務所に戻ってから行う場合が多い。

基本調査項目の選択と特記事項の入力がすべて終了したらモバイルPCをシステムに接続し、システムIDとパスワードを使ってシステムにログインする。
ログインしたらシステム専用回線(VPN)を使って訪問調査による認定情報を市のシステムサーバーに送信する。この時点では未だ認定情報はモバイルPC側にも保存されている。

市が受信した認定情報は審査会事務局によって不整合や記載ミスがないかチェックされる。審査会事務局からの問い合わせがある場合はこのシステムを使って行われます。
そしてチェックが終了した認定情報は機密保持のためにモバイルから削除されるとの事です。

社協側で調査票や特記事項をプリントアウトしたりファイル化することはなく、ペーパーレス化に貢献しているようです。

訪問調査モバイルの使い勝手は?

<訪問調査モバイルのイメージ>

訪問調査モバイル自体はキーボード部と液晶部の着脱が可能で、液晶部のみでもタブレットとしてタッチパネル操作で入力できますが、実際には外して携帯することはなくノートPCの形で携帯しているとの事です。

手入力で手間のかかる特記事項入力については予め定型文が登録されており、調査員がその定型文を対象者に会わせて加工して使用しているようです。また、新たにオリジナルの文章を登録することも可能で、PCが認定調査員一人一人専用になっていることもあって使い勝手が良く、これが調査票処理のスピードアップにつながっているようです。

審査会も電子化

訪問調査モバイルは総合的な介護認定業務のシステムの一部であり、介護認定の中心である認定審査会も当然ながら電子化されています。
郵送による事前審査の代わりに、審査会当日にモニーター上で事前確認を行っており、認定情報のペパーレス化によって審査会委員と審査会事務局の負担は軽くなっているようです。

なお、2015年には電子審査会システムをバージョンアップしており、現在は一次判定の中間評価項目や樹形図などがモニター表示できるようになっています。この機能を使うことによって前回の一次判定との違いなどを可視化できるようになっているようです。

平成から令和に改元なって記念すべき第1回目の「今月の話題」となりました。