話題|情報不足で困らないためのMyシート活用
調査から数日後に特記記載、複数の方を続けて調査した…
認定調査後に別の仕事があって特記入力が数日後になり記憶が曖昧、続けて数人の認定調査をしたため情報が混乱、必要な情報を聞き忘れた。そのために選択肢に迷った、特記入力が進まないなどという経験はありませんか?
私の場合、基本調査票の各項目間のスペースに、情報を走り書きでメモして、それを清書の形でPCで特記入力しています。
訪問調査後数日間は記憶がまだ鮮明なので選択肢や特記入力で迷うことは余りありません。しかし週を跨いだり、3人続けて調査して数日後に入力する時などは状況が思い出せなかったり、調査時に選択した選択肢とメモとの整合性がとれない場合があります。また、概況記載に必要な情報を収集していないことに気づく場合もあります。
さらに、調査票を提出後しばらく経ってから審査会事務局から照会の電話やFAXが来ると、対象者がどんな方だったか思い出せずすぐには返答できないない時があります。
このような反省から、現在は基本調査票の他に自分で作ったシートを使い、そのシートの項目に沿って聞き取りをしていくことで選択肢や特記記載の際に情報不足で悩むことのないようにしています。
シート紹介
私が現在使っているシートを紹介します。
シートは2種類
シート1:概況に関するシート
シート2:認知機能に関するシート
シート記載の実際
シートの項目と記載について説明します。
<シート1>
・基本的には対象者ではなく、同席者や介助者から聞き取りします。
①病名・症状:現在の日常生活に影響しているものだけを記載します。高血圧や糖尿病などで治療中であっても、現在の生活に影響していなければ不要です。
症状があっても診断がついていないものは「○○の疑い」とし、治療中だが病名が判らない場合は症状を記載します。
②現病歴:①に記載した病気または症状の経過を記載します。
③既往歴:今は治療していないが後遺症などがあって現在の日常生活に影響しているものを記載します。
④現在の医療行為:①に記載した病気・症状に関する医療行為です。「過去14日間にうけた特別な医療について」に関連する情報でもあります。
⑤身体・精神手帳の有無:これらの手帳を所持しているということは治癒が見込めないということですからできるだけ聞き取りを行います。
⑥禁忌・制限:①の病気に対して医師から言われていることを記載します。人工関節置換による運動制限や、食事、水分制限など。基本調査項目に含まれない援助が行われている場合があります。
⑦受診状況:①関する状況です。移動時の介助方法や外出頻度の参考になります。
⑧サービス利用状況:概況の記載に必要です。
⑨ADL状況:①に関連した大まかな生活状況で、概況記載の参考にします。
⑩BPSD状況:大まかな認知症状や周辺症状などで、概況記載の参考にします。
⑪家族構成と援助状況:主に①に関連したものを記載し、2群・5群の介助の方法の参考になります。
⑫その他:家族関係や経済状態など、適切な介助が行われていない場合などの参考になります。
⑬内服薬:パーキンソン薬や鎮痛モルヒネなど、薬の飲み方が日常生活に影響していると思われる場合に聞き取りし、薬品名や飲みかたを記載します。
<シート2>
・1シート3名分です。
・①または②は対象者本人から、③④は同席者や介助者から聞き取りします。
・同席者にはあらかじめ対象者本人に何点か質問することを伝え、もし対象者が事実と違ったことを言っている場合でもそのまま聞き流してもらうように伝えておきます。
そして対象者が言っていたことが事実かどうか、後で確認することを伝えておきます。
・現在の体調や生活状況を聞いていきますが、対象者が警戒しないように、内容について詳しく聞くことはせずに話を進めます。そして①あるいは②の各項目は聞き取りする流れの中で評価していきます。
・対象者が言っていることが事実かどうか判らない場合は言ったことをそのまま書留めます。
・対象者からの聞き取りが終わったら、対象者のいない場所で、聞き取ったことが事実かどうかの確認を行います。そして③④について聞き取りします。なお、④は5-3日常の意思決定の評価のための項目群です。
記憶力に自信のある方にとってはこのようなシートは面倒なだけかもしれませんが、私にはシートに沿って聞き取りすることで対象者の全体像が理解できて、概況記載や5-3日常の意思決定の選択と特記記載、はたまた障害高齢者の日常生活自立度・認知症高齢者の日常生活自立度などの選択に大変役立っています。
皆さんも是非参考にしてみて下さい。