認定調査項目を読み解くPart2|場所の理解・徘徊

場所の理解

 1.項目の定義

「場所の理解」(自分がいる場所を答える)に関する能力を評価する項目です。
ここでいう「場所の理解」とは「ここはどこですか」という質問に答えることです。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

 3.選択の際の留意点

・住所や施設名、病院名などを理解しているかで判断するものではありません。
・今いる場所についてはいろいろな答えや表現が考えられますが、理解できているかどうかの判断に迷う時は、自分の家(自宅)か、それとも自分の家ではないのか理解できているかで判断します。
・ 調査日の状況と介護者から聞き取りした日頃の状況が異なると考えられる場合は、一定期間(調査日より概ね過去1週間)の状況においてより頻回な状況に基づいて選択します。その場合は選択した根拠等についてを具体的な内容を特記事項に記載します。

4.ポイント

・場所の見当識を評価する項目です。
・在宅の方が「ここは旅館」「ここはアパート」など自分の家ではないと認識している場合は「できない」と判断します。
・施設入所している方の場合、自分の家でないことは理解していても「施設」という表現ができない場合があります。この場合、自宅以外の建物であることを理解していれば「できる」と判断します。
・施設入所者が「家に帰りたい」との帰宅願望がある場合、それをもって今いる所が自宅ではないと理解しているとは判断できません。対象者にとっての「家」が生家や嫁ぐ前の家である場合があるため確認が必要です。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース選択された選択肢選択理由
現在グループホーム入居中で、「ここは自宅でも病院でもない」と答える。できる施設という理解或いは表現ができないが、自宅ではない場所との理解はある事からの判断。
独居だったが1年前に娘夫婦の家に来て同居している。質問には「ここは自宅」と答えたが娘の話では独居していた家にいると今でも思っているとのこと。できない住所や建物の名前を答えることを要求してはいないので、この場合は「できる」を選択するべきです。
施設入所中で、自宅でないことは理解しているが施設という認識はなく「病院」と答えるできる施設と病院の区別がつかない場合でも、何らかの施設であることが理解できればできるを選択します。
施設入所中で「ここは自宅ではないようだが、病院でも施設でもない」と言って周りを見渡しているできないできないを選択していますが、施設を「食堂のあるアパート」と理解している方がいます。この場合は自宅以外の場所であることを理解しているので「できる」と評価すべきです。
現在入院中で、今いる場所は「病院」と答えたが、看護師の話では、日頃から息子の名前を呼んで探していることから自宅だと思い込んでいる様子とのこと。できない質問に正答した場合でも、日頃の状況と異なる場合は頻回な状況で判断します。この場合は日頃自宅にいると認識している様子から「できない」を選択します。

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徘徊

1.項目の定義

「徘徊」の頻度を評価する項目です。
ここでいう「徘徊」とは、歩き回る、車椅子で動き回る、床やベッドの上で這 い回る等、目的もなく動き回る行動のことです。

2.選択肢の選択基準


認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・徘徊とは、意思表示がなく、また周囲から見ても目的がわからない状態で動き回る行動が該当し、「○○に行きたい」「○○に帰りたい」等の意思表示や目的がある場合徘徊には該当しません。この場合は4群の精神・行動障害項目で評価します。
・第3群は認知機能の程度を評価する能力項目群ですが、「徘徊」「外出すると戻れない」の2項目は認知症の行動障害の有無を評価する「BPSD関連」項目となっています。そのため他の項目とは選択肢の選択基準が異なる点に注意が必要です。

4.ポイント

・場所の見当識障害の有無を評価する項目です。
・徘徊は一般的には「目的もなく動き回る行為」とされていますが、当の本人としては目的の場所があってそこに行く途中だったり、目的の場所が判らなくなっている状態であるとの解釈もできます。
ここでの徘徊の判断基準としては「介護者や周囲の人から見て、その行動が合理的であるか、あるいは目的に照らして適切かどうか」で評価するのが妥当です。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース選択された選択肢選択理由
昼夜関係なく独りで外へ出て行くが、行く場所が決まっており、いつも目的の場所に行くとそこから引き返してくる。そのため家族は引き止めることはしていないない目的の場所があり、そこに行く場合は徘徊とは評価しません。
現在施設入所中で、どこに何があるのか理解できずにウロウロするので、対象者が歩き始めると職員が本人の意向を聞いて目的の場所に誘導している。ない誘導することで徘徊に至っていない場合は「ない」を選択し状況を特記記載します。もし自室に戻れない状態なら「外出すると戻れないに」該当すると思います。
トイレや自室など、目的の場所が判らずウロウロするある目的の場所がどこにあるかを忘れてウロウロする場合は徘徊には該当しません。この場合は「ない」を選択し、4群ひどい物忘れで評価すべきです。
幻視があり、「子供の姿が見えたので探している」と言って廊下をウロウロしていることが月に2~3回あるときどきある「探す」と言う目的があっての行動だが、目的が非現実的であることからこの場合は徘徊に該当すると考えます。
目的があって自宅内を何度も行ったり来たりしているが途中で目的が判らなくなってしまうない目的がある行動なので「ない」を選択していますが、途中から目的なく動いている状態は徘徊に該当すると考えます。
帰宅願望があって歩きまわる。ある帰宅願望による落ち着かない行動は4群の「落ち着きなし」に該当します。徘徊には該当しません。
どこに行くとの意思表示もなく出かけることが週に1 ~ 2 回ある。大抵は自宅から 1km 程離れた神社に行き手を合わせて戻って来るが、戻らないために家族が神社に探しに行っても見つからない場合が度々あるある目的があって出かけている場合でも、どこに行くか予測がつかない場合は徘徊に該当します。

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