認定審査会に伝わる特記を書くPart2|ひどい物忘れ
ポイント
定義では「この物忘れによって何らかの行動が起こっているか、周囲の者が何らかの対応をとらなければならない状況」が該当するとなっています。特記には物忘れの状況を記載するだけでなく、物忘れに伴って本人がどんな行動を起こしているか、周囲の人がそれに対してどのような対応をとる必要があるかを記載します。
注意
「ひどい物忘れ」と「自分勝手な行動」の共通の特記として「言われたことを忘れて危ないことをする」などの記載する方がいますが、危ないことをする理由が物忘れのためにおきていると記載すると自分勝手に行動するには該当しなくなりますので見極めが必要です。
特記記載例とポイント
特記記載例 | 選択した選択肢 | ポイント |
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家族がいない時に転倒し、歩行状態の変化に気付いた家族が受診させ、骨折していることが分かった。本人はその経過を覚えておらず、医師に聞かれるたびに話の内容が変わる | 時々ある | これは一つのエピソードに関する特記で「何らかの行動が起こっている、周囲の者が何らかの対応をとらなければならない」状況の記載とは言えないが物忘れの状況は判ります。これ以外の日頃の状況の記載があればわかりやすいと思います |
グループホーム入居中で、更衣したことを忘れて1日3~4回着替える。職員が更衣の必要はないことを話しても納得せず着替えるため片付けや洗濯の手間になっている | ひどい物忘れと自分勝手に行動する項目いずれも「ある」を選択した共通の特記 | 物忘れによる更衣と勝手な行動による更衣の両方があることが分かる特記です |
しまい忘れは日常的にあり、物の自己管理はできない | ある | しまい忘れに伴う行動や介護の手間の記載をするべきです |
常に寸前の事を覚えていない | ある | この事により何らかの行動が起こっているか、周囲の者が何らかの対応をとらなければならないかの記載が必要です |
近所や親戚の人の話をしても「そんな人いたっけかな~?」とか、食事したことを忘れることが週1~2回ある | ある | この場合は定義に該当しないので特記のみとなります |
自分で出来ると思い、危険の認識に欠け一人で歩こうとするのでセンサーマット使用するが昼夜問わずセンサーコールが鳴る | ある(ひどい物忘れ、勝手に行動する、いずれもあるを選択し、共通の特記) | 自分では歩けないことを忘れて起こしている行動と思われますが、物忘れによる行動であることが分かる記載にするべきです |
こだわりが強く、気になることがあると繰り返し聞き返すことが週1回以上ある | 「同じ話をする」「ひどい物忘れ」いずれも「ある」を選択した共通特記 | 繰り返し聞き返すことがひどい物忘れによる行動と判断したようですが、冒頭に「こだわりが強く」と記載すると元々の性格で、ひどい物忘れによる行動とは言えないと見なされる可能性があります |
独居で、電気毛布や炬燵のスイッチの入れ方が分からない、炊飯が出来ない、お湯も沸かせないなど家電の操作が出来なくなった。携帯電話の使い方も分からなくなり、離れて暮らす息子が心配している。 | ある | 家電の操作が出来なくなったことで生じている行動や介護の手間などを記載するべきです |
現在グループホーム入居中で、自分がどこにいるか理解していない時が多く、「今日ここに泊まってもいいのか?」と毎日尋ねるため職員は都度返答している | ある | 「自分がどこにいるか理解していない」と記載すると物忘れによる行動とは見なされない可能性があるので、物忘れによる行動であることが分かる記載にするべきです |
物の紛失が頻回なため衣服や貴重品は家族が管理している。また、催促することはないが食事したことを忘れる | ある | 物の紛失が物忘れに起因していることを記載するべきです |