認定調査項目を読み解くPart2|障害高齢者の日常生活自立度
1.判定の基準
調査対象者について、日頃の状況から下記の判定基準を参考に該当するものを選択します。なお、まったく障害等を有しない者については、自立を選択します。
注)調査員テキストの判定基準では”調査対象者について、調査時の様子から下記の判定基準を参考に該当するものを選択する。”と記載されています。一方、判定にあたっての留意事項では”概ね過去1週間内のより頻回に見られる状況や日頃の状況で選択する。”と記載されています。
当サイトでは「概ね過去1週間内のより頻回に見られる状況や日頃の状況で選択する」ことが妥当と判断しています。
なお、この判定基準は、医療や介護の現場で保健師等らが障害を有する高齢者の日常生活自立度を客観的かつ短時間に判定する目的で作成されたものです。
<判定表>
生活 |
ランク |
何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する |
準寝たきり |
ランク |
屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しない |
寝た |
ランク |
屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であ |
寝た |
ランク |
1 日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替において介助を要する |
注)判定にあたっては、福祉用具や器具類を使用している場合は使用している状況で選択する
2. 判定にあたっての留意事項
・判定にあたっては「~をすることができる」といった能力の評価ではなく「状態」、特に「移動」にかかわる状態像に着目して評価します。
・ 概ね過去1週間内のより頻回に見られる状況や日頃の状況で選択します。
・ 日頃から福祉用具や器具類を使用している場合は使用している状況で選択します。
・時間帯や体調等によって状況が異なる場合は、一定期間(調査日より概ね過去1 週間)の状況において、より頻回に見られる状況や日頃の状況で選択します。
3.ポイント
テキストのタイトルには「寝たきり度」と言う表現がありますが、判定にあたっての留意事項では「移動」に関わる状況で判定するとしています。判断基準に曖昧さがありますが、移動の状況で評価している調査員が多いようです。
私が以前SNSで「一日中横になることなく、車椅子で過ごしている場合の障害高齢者の日常生活自立度ランクは?」の質問でアンケートをとった結果、多くのケアマネさんはランクBと答えています。過去記事 話題「障害高齢者判定基準」参照
また、私が委託契約をしている3つの市と1つの区(東京都)の担当者に直接電話でSNSアンケートと同じ質問をしてみました。また、車椅子使用は判定基準となるかを聞いてみました。
返答結果
・「調査員テキストの判定基準を参考にしており、車椅子使用を判定基準とはしていない。実際の判定については調査員に判断を委ねている」…2つの市と区
・「調査員テキストの判定基準を参考にするが、車椅子使用の場合はランクBが妥当と判断している」…1つの市
4.判定フローチャート
このフローチャートは拙書に載せているもので、移動状況で評価しています。
なお、チャート選択肢B-1・B-2の上の分岐の囲み内「車椅子の移動・移乗は自分で行う」は「車椅子の移乗は自分で行う」の間違いです(赤アンダーライン)。また、認知症がある場合はこのフローチャートと合致しない場合があります。