話題|認定調査はケアマネの仕事ではなくなるのか?

認定調査の委託先の状況
要介護認定調査は従来から以下の形で行われています。
1.市町村直営
2.指定市町村事務受託法人への委託
3.指定居宅介護支援事業所への委託
4.地域包括支援センターへの委託
5.介護保険施設への委託
6.個人の介護支援専門員への委託
この中で実施件数が多いのが市町村(直営)、居宅介護支援事業所、事務受託法人です。調査の内容は以下の通り。(令和2年4月から指定市町村事務受託法人の調査員の資格に変更有)
令和2年の「要介護認定業務の実施方法に関する調査研究事業報告書」みずほ情報総研 によると
<委託における認定調査実施件数割合>
指定事務受託法人 39.9%
指定居宅介護支援事業所 43.2%
介護保険施設 9.6%
地域包括支援センター 3.1%
介護支援専門員個人 3.0%
となっており、現在は指定事務受託法人の割合がさらに増えていると思われます。

指定市町村事務受託法人について
この中の「指定市町村事務受託法人」については、要介護認定業務のうち、「審査会の開催」「中央省庁への認定結果の報告」「被保険者証発行」を除いた業務の委託が可能なため、委託を行っている市区町村が増えています。(指定市町村事務受託法人は各都道府県が指定)
市町村による事務受託法人への委託が増えているのは、市町村の事務負担を減らしたいと言うだけではなく、居宅介護支援事業所や介護保険施設への委託は公平性・中立性の観点から若干問題や課題があるとされていることも要因のようです。
しかし、事務受託法人への委託は新規申請への対応や照会など業務量が多い事もあり、1件当たりの委託料が居宅介護支援事業所などと比較すると高額になるようです。
当サイト話題R7年8月「最近の調査委託金額を調べてみた」で紹介した埼玉県所沢市の事例では、民間のケアマネージャー(CM)の認定調査委託金額は1件当たり3850円、一方、指定市町村事務受託法人として委託されている社協の金額は1件当たり7865円で、医師会の調査は6044円となっていたそうです。そして民間CM側から市議会に「社協の金額と統一して欲しい」と請願があり、市議会で採択されたとのことです。
指定市町村事務受託法人の指定が行われていない県(47都道府県中9県)( WAM.NET独立行政法人福祉医療機構HPより)
青森県
岩手県
山形県
栃木県
群馬県
滋賀県
鳥取県
山口県
徳島県
指定市町村事務受託法人の認定調査員の要件については、当初は介護支援専門員の資格が必要でしたが、指定市町村事務受託法人の場合は認定調査業務とケアマネージメント業務の兼務ができないため、介護支援専門員資格を持った方の応募が少ないという問題がありました。
そのため、市区町村からは指定市町村事務受託法人の認定調査員の要件緩和の要望が出されていましたが、令和2年4月1日から「要介護認定および要支援認定に係る認定調査を指定市町村事務受託法人に委託する場合において、介護支援専門員資格以外に、保健、医療又は福祉に関する専門知識を有するものを追加する」と規則が改正されました。
この改正により指定市町村事務受託法人の場合は必ずしも介護支援専門員の資格は必要がなくなり、認定調査員の間口が広がりましたが、更に今回、指定市町村事務受託法人の認定調査員の具体的な要件について、令和7年11月20日付で規則が改正・発出されました。
厚労省老健局からの令和7年11月20日付け通知
厚労省老健局からの令和7年11月20日付け通知(抜粋) (赤アンダーライン部が改正・変更部分)
(この規則は令和8年4月1日から適用されます。)



これにより、指定市町村事務受託法人で認定調査業務を行うのであれば介護支援専門員資格の更新をしなくてもすみ、
何らかの都合で市町村直営の認定調査員を辞めた方なども調査業務ができることになります。
要介護・要支援認定申請(新規、更新、区分変更)書類の様式・文章の一部変更
この他に、今回の改正では要介護・要支援認定申請(新規、更新、区分変更)書類の様式・文章の一部が変更になりました。赤アンダーライン部分が変更箇所。
新 旧

まとめ
令和7年11月20日付で厚労省老健局から「要介護認定等に実施についてー要介護認定に係る調査の実施者について」内容の改正があり、令和8年4月1日から実施するとの通知があった。
1.内容は、市町村が委託する「指定市町村事務受託法人の認定調査員の要件」についての改正で、指定市町村事務受託法人が行う認定調査は介護支援専門員が行うのが基本だが、保健、医療又は福祉に関する専門知識を有する者の認定調査も可能で、その具体的な資格や実務経験の年数などが提示された。
2.要介護・要支援認定申請(新規、更新、区分変更)書類の様式の一部が変更になり、既存の「調査内容や主治医意見書などを関係者に提示することの同意文」の一部が変更された。
