話題|介護認定調査員の疑問や迷いのアンケート結果

認定調査員の疑問や、判断に迷うケースについてのアンケート結果

調査員が「定義が解りにくい」「選択肢の判断に迷う」と思っている項目は?

要介護認定調査の現場で確認や聞き取りを行った際、評価や選択に困るケースが多々あります。

今回は2つの市で介護認定調査員現任研修の際などに調査員に対して行われた、日頃「迷う、解かりにくい」と感じている項目のアンケートや主催者側に寄せられた基本調査に関する質問の内容などを紹介したいと思います。

それぞれの結果についてコメントするものではありませんが、私が迷っている項目とほとんど一緒でしたのでなぜかホッとしています。

図1 東北地方H市(人口23万人)で、H29年に認定調査員に対して行われた「判断に迷う項目」についてのアンケート
図2 図1の内訳

図3 関東地方S市(人口130万人)で、H28年に行われた認定調査員現任研修で寄せられた質問の項目

このH市とS市で行われた2つのアンケートと質問(図1~3)で共通する「分かりにくい、判断に迷う」項目は以下の通りです。

1群:麻痺・拘縮・座位保持

2群:移乗・移動

4群:しつこく同じ話をする

5群:日常の意思決定

その他:認知症高齢者の日常生活自立度

迷う項目についての考察

1群・5群は能力で評価する項目、2群は介助の方法で評価する項目、4群は有無で評価する項目、その他は総合判定です。

1群・5群の一部の能力項目については、評価判断が認定調査員に委ねられているところがあるので、正確な選択を心掛ける調査員さんほど麻痺や拘縮の可動域制限や角度などで迷うことに繋がっていると思われます。

2群と5群の一部の介助の方法では、調査項目の定義などで個別の判断や「見守り」に該当する行為の判断に迷うことが多いと思われます。

4群の有無では、聴き取った行為はBPSDと言えるのか、場面や目的から見て不適切な行動なのか、また、その行為は調査項目の定義に該当するのか、などに迷うことが多いと思われます。

その他の「認知症高齢者の日常生活自立度」は、障害高齢者の日常生活自立度が自立~Aで、且つこの認知症高齢者の日常生活自立度がⅢ以上の場合は一次判定に認知症加算がつく可能性が高くなるので慎重にならざるを得ないでしょう。

ところで、上のアンケート結果や質問には出ていませんが、私自身は3群の「短期記憶」などでも迷うことが多いですが、皆さんはいかがでしょうか?

今後はこのアンケート結果などもふまえて、当サイト内の調査項目を読み解くコーナーで各項目を詳しく見ていきたいと考えています。

 

月山夏スキーの遠景(頂上付近と画中央左側にスキーヤーが蟻のように写ってます)