認定審査会に伝わる特記を書く|定義に含まれない手間、頻度の少ない手間を特記事項に記載する>2群

定義に含まれない手間、頻度の少ない介助の手間

2群や5群などの介助の方法で選択する項目では、実際に行われている介助が項目の定義に含まれない場合や頻度が少ない場合は「介助されていない」を選択することになります。

このような理由で「介助されていない」を選択した場合、実際に行われている介助の手間を特記事項に記載しないで提出してしまうことはないですか?

実際に行われている介助の手間は、認定審査会の2次判定で評価される可能性があります。
また、審査会委員にとっては対象者の全体像の理解にもつながりますから、何らかの介助が行われている場合は具体的にその手間と頻度を特記事項に記載しましょう。

今回は認定調査の際に見られる”定義に含まれない介助の手間、頻度が少ない介助”の具体例を上げてみました。

定義に含まれない・頻度が少ない介助の具体例

2-1移乗/2-2移動/2-3えん下/2-4食事摂取

項目 ケース
移乗 トイレなどで長時間座っていると立ち上がれなくなり、家族を呼んで引き上げてもらうことが1日に1回ほどある
移乗 日頃介助はされていないが、以前転倒したことがあるので家族は対象者を一人にしないようにしている
移乗 日頃介助はされていないが、下肢筋力低下で浴槽から出られなくなり家族の手を借りることが月に1~2回ある
移動 自宅では杖歩行で介助はないが、週2回のDSではふらつきがあるため見守りが行われている
移動 自宅内は一人で手すりを伝っているが、DSに行く際は玄関から道路まで家族が腕を支える介助を行い、送迎車が来るまで付き添っている
移動 緑内障で視力が悪く視野が狭い。日中の自宅内は何とか一人で移動できるが、夜間は家族が付き添う必要がある。外出時も毎回付き添う必要がある。
えん下 飲み込みがスムーズでないために毎回水の準備をしている
えん下 細かく刻んでもうまく飲み込めないのでミキサーを使ってムース状にしている
えん下 飲み込みにむらがあり全く飲み込まない時がある。その時は介助者が口の中のものをかき出す必要がある
食事摂取 片麻痺があるため片手で食べられるように毎回ご飯をおにぎりにして持たせている
食事摂取 食べこぼしがあるのでエプロンを使っている。食事のたびにエプロンの着脱やエプロンを洗う必要がある
食事摂取 最初の数口のみ自分で食べるが、すぐに手が止まってしまうため残りは全て介助されている(一部介助だが全介助に近い介助の手間)

 

2-5排尿/2-6排便/2-7口腔清潔/2-8洗顔/2-9整髪

項目 ケース
排尿 排尿の一連の行為に介助はないが、トイレに間に合わずに廊下を汚すことが週に1~2回ある。家族が気付いてその都度掃除している
排尿 尿意が曖昧なため2~3時間ごとに声がけするが、難聴があり、一度の声掛けでは動かず、毎回3~4回耳元で大きな声で呼びかける必要がある
排尿 RHパンツやズボンの上げ下げが上手く出来ないため介助が必要だが、介助に抵抗するため毎回10分以上かかっている
排尿 夜間のみオムツを使用するが、尿量が多いためにパジャマやシーツまで汚してしまい、その度に洗濯の手間がある
排便 排便の一連の行為に介助はないが、拭き取り不十分なために毎回家族が交換するように新しいパットを手渡している
排便 消化器の手術をして退院後間もない。今も便秘と下痢を繰り返している。排便の一連の行為は自立だが下痢のひどい時が週に1回ほどあり、その際はパンツや便器を汚すため家族が手伝っている
口腔清潔 歯磨きは一人で出来るが、自発的にすることはないために毎回洗面所に誘導している
口腔清潔 以前からの生活習慣で歯磨きをしていない。特に不適切な状態にはなっていないが、家族は毎回口すすぎをするように勧めている
口腔清潔 自分で使った歯ブラシをきれいにしないで戻すため、気づいた家族が歯ブラシをきれいにしている
洗顔 洗顔は介助されていないが、髭剃りがうまく出来ないために家族が毎日電気カミソリで剃っている
洗顔 日頃から洗顔が億劫で、家族が何度も促してようやく行っている状態である
洗顔 洗顔の一連の行為は自分で出来るが、麻痺があるため毎回床を濡らしている。その都度家族が床を拭いている
整髪 入院中で、ショートカットのため日頃は手ぐしで整えている。週2回の入浴の際は看護師が髪を乾かし整えている

 

2-11上衣の着脱/2-12ズボンなどの着脱
項目 ケース
上衣の着脱 朝夕の着脱は介助なしで行うが、入浴後は着衣の滑りが悪いのでうまく出来ず、その時だけ家族が袖を通したり裾を下げる介助をしている
上衣の着脱 いつも衣服の上から割烹着を着ている。衣服の着脱は自分で出来るが、割烹着の紐が結べず毎回家族が手伝っている
上衣の着脱 独居でパーキンソン病がある。朝は身体が動かないためにベッド上で30分間ほど身体をウォーミングアップをしてから服を着る。身体が動くようになれば日常生活に支障はない
ズボンなどの着脱 ズボンは自分で着脱するが、前屈みが困難で、靴下やストッキングは履かせてもらっている
ズボンなどの着脱 着脱は自分でしている。シャツがズボンから出ていたり、襟が立っていたりするので細かな手直しを受けている

 

「見守り」や「介助」を選択した時の特記記載は必須ですが、「されていない」を選択している場合は特記に何も記載がなくても審査会事務局からの照会は当然ながらありません。

しかし、先にも書きましたが、認定審査会委員の方々は各調査項目の特記に記載された内容で対象者の全体像をイメージするように努めています。

記載するスペースがあるのであれば、具体的な介助やエピソードを特記事項に記載して、対象者を理解してもらうようにしましょう。


今年の8月から開始した「特記事項の書き方」シリーズですが、皆さんのお役に立ったでしょうか?


来年も”現場で役立つ”内容を投稿していきますので御覧ください。