話題|国保連に寄せられた最新の要介護認定に関する苦情

令和元年9月・10月に投稿した「最新の介護認定に関する苦情・平成30年度版」に続き、全国の国保連に寄せられた令和元年度版の介護保険に関する苦情のうち、介護認定についての苦情・不満を紹介します。

実際に苦情内容を公表しているのは前回とほぼ同じ都道県です。

今回の苦情・不満を多い順番にすると「認定結果に関する不満」、「認定調査員に対する不満」、「手続きに関する不満」でした。

具体的には、
認定結果に関する不満:状態や症状から見て要介護度に納得がいかない
認定調査員に対する不満:態度に不満、十分な聞き取りをしない
手続きに関する不満:制度に納得がいかない、説明する人によって内容が違う

などです。

本人や家族の思い込みによるものが多いですが、参考になる意見も多くみられます。

地域相談者相談内容対応内容
埼玉県
(以前相談のあった方より)
以前、認知症の父が認定調査員を追い返してしまうのではないかと心配していることについ て相談した。昨日、認定調査を受けたが、認定調査員と一緒に地域包括の職員が来て、「同席させて欲しい」と言われた。地域包括の職員は私が父のことで相談した際、「あなたのお父さんは認知症ではない」「家族が何を困っているのか分からない」と言い、相談にならなかった。私は同席して欲しくなかったため、外で待ってもらったが、認定調査に地域包括が同席したという事例があるのだろうか。
認定調査に地域包括が同席した事例があるかどうかは、本会では分からないと伝え、本会は利用者が受けたサービスに関する相談窓口であるため、要介護認定や地域包括に関する相談は、町役場にしていただくようにお願いした。
ケアマネージャー私が担当することになった利用者はパーキンソン病があり、明らかに歩けない状態で、入院中に認定調査を受けた。私は退院の準備に向けて何度も病院へ行き、病院で行った担当者会議には、福祉用具担当者にも来てもらい、車いすと介護ベッドをレンタルすることにしていた。 ところが、認定結果は要介護1であり、歩けない状態なのにあり得ないと思った。市に相 談したところ、軽度者に対する福祉用具貸与を申請すればよいと言われ、認定調査そのものを 見直す話はなかった。この利用者は、今後ショートステイなど他の介護サービスも必要となるため、単位数が足りないが、どうしたらよいだろうか。
要介護認定については本会の対応範囲外であることを説明し、利用者が希望している介護サ ービスが利用できず困ることを、再度、市役所に相談していただくように伝えた。
岐阜県本人私は、要支援2で腰と膝が1日中痛くて家の中を這って歩いて生活をしているが、外に出るときは杖を使っており、あまり自由には出歩けない状態である。週に何回かデイサービスに行っているが、介護保険の利用を開始して1年くらいになるので、更新申請をすることになり、先日、調査員がケアマネと一緒に来ていろいろ聞かれた。そのときのやり取りを振り返ると今度の結果が非該当になりそうでとても不安である。今回の結果が非該当になった場合、不服申し立てはできるのか。できるとしたら何処へ行けばいいのか、また、自分でやらないといけないのか教えて欲しい。更新申請の結果が非該当になったとしても各市町村が行っている総合事業の対象者としてサービスを受けることができる場合がある。現在、要支援2なので地域包括支援センターのケアマネにプランを立ててもらっていると思うが、もし非該当になった場合は、そのケアマネに相談をされるとよい。また、認定結果に対して不服申し立てをされるのであれば、結果が出てから60日以内にお住いの市町村の介護保険担当課に申請をすることもできるが、ご自分でできないのであれば、ケアマネが代わりにやってくれる場合もあるので、相談されるとよいと助言した。
ケアマネージャー更新申請で要介護から要支援2に改善されたことで、担当ケアマネが主治医にケアプランを照会したところ、主治医からあの状態で要支援2はおかしいと認定調査内容の開示を求めてきた。主治医に認定調査内容の情報提供ができるのか県に確認したところ、ケアプランを立てる訳ではないので主治医であっても情報提供はできないとの返答をもらう。その間にケアマネから、軽度者に対する福祉用具貸与費算定について主治医とのやりとりの中で今回の認定調査内容にも納得され医学的な所見を頂けたとの報告があったため、解決とした。
岩手県他の家族叔父が特別養護老人ホームに現在入所しているが、状態変化のため 6 月 1 日に介護認定の区分変更申請をした。6 月 27 日に要介護 1 から要介護 4 の認定決定通知書が届いた。
施設からは、申請日に遡り 6 月 1 日 から要介護 4 の料金になると言われたが、施設の説明は正しく回答内容は制度上のことなのか教えてほしい。更に居宅介護は介護度が高くなると介護サービスの利用限度額が増えて多くの種類の介護サービスが利用でき、手厚い介護を受けられるが、施設の場合は介護度が高くなればどのようになるのか。
要介護認定のプロセスについて懇丁寧に説明し、また、相談者は医師に意見書を依頼するのは施設だと勘違いしていたが保険者であることを説明した。
特別養護老人ホームの特徴や施設の役割、職員体制基準、料金について説明し、リハビリ等の機能訓練指導できる職員は介護老人保健施設に配置されていることなどを説明した。
施設職員自分の施設のある入所者は、見るからに元気で、自分の生活はもちろんのこと同室の方の身の回りの世話もできるほど自立に近い状態である。 その方が先日、区分変更の認定調査をした結果が要介護度 5 になっていたと聞き不信に思っている。立ち会った担当ケアマネジャーと施設が口裏合せて実態と違う重度な回答をさせたのではないかと疑わしい。
自分の知人は介護度が高く在宅生活が困難な状況で施設入所待機であるなか、このように施設ぐるみで介護度をごまかしているかもしれない実態がもどかしく不愉快だ。
このことで施設を調査してもらう つもりはないが、このような実態があるということだけは聞いてもらいたく情報提供した。なお、自分が勤務する施設のことなので自分の名前と施設名は匿名でお願いしたい。
入所者の身体状況に伴わない要介護度に不満ということであれば、施設の介護申請担当者及び介護認定調査をしている保険者に連絡及び問い合せする方法があることを説明した。 相談者が同施設職員として担当ケアマネジャー含めたサービス担当者会議等の際に利用者の状況と要介護度に関する質問及び実体的な介護サービス内容についての意見等で信憑性を確認しあうことなどを助言した。
北海道ケアマネージャー私はケアマネージャーをしており、担当している利用者の更新申請にあたり、利用者の夫の同席の上で妻の認定調査を行うように手続きしていた。しかし認定調査員は利用者の夫の指定の時間に合わせられないと言い、夫が不在の間に認定調査を行った。また、調査も本来1時間ほどかかるはずが認定調査員の都合によって30分ほどで終ったとのことであった。‐中略‐
今回の調査による要介護度は要支援1まで下がっており、利用者の夫からは、妻の介護をしている自分が要支援2なのになぜ妻が要支援1なのか納得できないと言われ、介護している状況を調査員に説明していれば要支援1の判定にはならなかったとも言われたため、私はこれまでの経過を市役所に説明した。
後日市役所から連絡があり、認定調査員に聞き取りを行ったが、利用者とその夫から同席は必要ないと言われたので、夫の不在時に調査を行ったとの回答があったと報告を受けた。
今後区分変更もしくは不服申し立てを行うかは利用者の夫に確認したうえで対応するつもりであるが、不服申し立ての概要や申請方法などについて教えて欲しい。
不服申立てについては担当部署と審査請求書について、また、申立人が直接提出する方法と市役所経由で提出する方法があることを説明した。
また、不服申立てよりも区分変更のほうが数か月早く結果が出ることを説明し、利用者の夫が不服申し立てを希望した場合は、市役所と相談したうえで決めたほうが良いことを伝えた。
家族母(89歳、要介護2)は、認知症で一人暮らしをしており、訪問介護、通所介護、ショートステイのサービスを利用している。
以前から母の状態が悪くなってきたため特養に入所させたいと思っているが、要介護3にならないと入所できないため申し込みをしていない。
先月、更新申請で要介護2から変わっておらず、要介護3に変更されない結果に納得できない。
特養における新規入所の条件は原則要介護3以上であるが、要介護1や2の場合であっても、やむを得ない事由があり、居宅において日常生活を営むことが困難な場合は市町村の適切な関与の下に特例的に入所が認められていることを説明した。
特養への入所はやむを得ない事由による入所の申し込みをすることが可能か担当のケアマネージャーに確認したほうが良いことを伝えた。
また、更新申請の結果については市役所に理由を説明してもらい、納得できな場合は区分変更申請の方法もあるのでケアマネージャに相談したほうが良いことを伝えた。
東京都本人 前回、区分変更申請で要介護5となり、今回の更新申請で要支援2となった。区分変更前も要支援2だったが、明らかに前回より状態が悪い。要介護5
だった時も大袈裟だと感じたが、今回はきちんと審査されていない印象がある。認定調査時に、ベッド での動作確認はせず、椅子からの立ち上がりのみ動作確認をした。実際は、ベッドのギャッチを上げ、ベッド柵に掴まりやっと起き上がっている。また、留置カテーテルをしており、夜間はベッド柵にパックを取り付け活用している状況である。それなの
に、ベッドを自費にする話も出ており不服である。
相談者に、認定審査機関へ審査請求できることを情報提供し、審査請求の際には書類作成等必要になることを伝えると、そこまでは望んでいないとの回答だった。ベッドについては介護支援専門員に相談し、軽度者への福祉用具貸与の例外給付の申請を することを提案した。
家族利用当事者が骨折で整形外科病院に入院している。現在、要介護1だが区分変更申請をしたい。しかし、認知症も患っているので区分変更申請の際、整形外科の主治医1人しか記入できないのは納得できない。原則入院中は主治医に意見書を依頼するが、認知症担当の医師に意見書を記入してもらえるか相談してみるよう助言した。
ケアマネージャー区分変更申請をしたが、却下の結果が届いた。以前より状態は悪化しているにもかかわらず、結果が変わらないのは納得ができない。
調査票内容を確認。状態は悪化しているが、1段階上がるほどの悪化とは見られなかったことを伝えた。また、必要時には再度変更申請をすることと、 調査時に状態をよく把握している介護支援専門員等に立ち会いをお願いし、詳細を認定調査員に伝えるように依頼した。
ケアマネージャー認定調査員が1人だけだとその人の主観で判定が変わる。複数であるべき。また、その認定調査員は 話を聞くだけで動作を見ていない。以前は聞かれたことでも今回聞かれない質問があったのでおかしい。認定調査員については、国の基準で項目・調査方法が決まっており、主観で判断することはないこと や認定審査の流れ等を説明した。
家族認定調査員の態度が威圧的で、家族が和やかに話が出来る雰囲気ではなかった。他にも不快に思っている方が多くいると感じた。聞き取りが十分なのか疑問があり、適正な結果が出るのか不安を感じた。不快な思いをさせてしまったこと、職員教育の至らない部分があったことを謝罪した。調査のみで、認定結果が出るわけではないが、重要な審査資料のため、希望があれば再調査を行う旨を伝えた。
ケアマネージャー認定調査時、立会人である介護支援専門員から聞き取りを十分に行わず、短時間で調査が終了した。 この調査では適正な認定結果が出ないのではないか。調査結果を確認し、食事摂取状況、精神・行動障害について介護支援専門員が把握している状況は、特記事項に記載がなかったため、電話にて聞き取りし、必要項目を追記した。
家族介護支援専門員が「要介護度を上げないと、今後、これまでと同じ介護サービスを使えない。」と言うので、区分変更申請に承諾したが、認定調査員に確認したら、「そんなことはない。」と言われた。 介護老人福祉施設に入所するのに要介護3以上必要だから申請して上げようということだったが、今すぐ介護老人福祉施設に入りたいわけではないため区分変更申請を取り下げたい。相談者へ申請取下届の用紙を送るので、返送するよう依頼し、介護支援専門員には苦情内容を伝え注意する旨了承された。なお、介護支援専門員は、相談者が言うようなことは言っていないとのことだ が、誤解を受ける言い方はしないよう話をした。

紹介した苦情例以外にも多くの苦情例がありましたが、代表的のものを抜粋して掲載させていただきました。