話題|国保連や市町村窓口に寄せられる認定調査に関する苦情Part4

認定調査に関する苦情

これまでも何度か全国の国保連に寄せられた認定調査に関する苦情を投稿してきました。

介護保険に関する苦情は、市町村の介護保険の窓口や都道府県の国保連合会に寄せられます。

今までの苦情を見てみると認定結果に対する疑問や不満が圧倒的に多く、殆どの場合は「〇〇が出来ないのにこの介護度は納得できない」「身体状況が私より良い人が私よりも重い介護度になっている」などというものです。

次に多いのは「認定調査員が本人や家族の話をよく聞かなかった」「動作の確認がなかった」などで、結果的にそれが原因で不適切な介護度に繋がったのではというものです。

そして最後は、認定調査員の言葉使いや態度が悪かったというものです。

この内容と順位はずっと変わらずに来ています。

今回は東京都国保連合会、横浜市、埼玉県国保連合会、鹿児島県国保連合会にR2~3年に寄せられた相談・苦情を紹介します。なお、同じ様な内容の苦情は割愛しております。

相談者相談・苦情内容対応

私の親が要介護認定の更新のため、かかりつけの病院で主治医の意見書を書いてもらわなければならなくなった。病院から「前回、診察した医師が主治医の意見書を書く医師ではないので、(新たに別な医師が)診察しないと書けない」と言われた。しかし、新型コロナウイルスのことがあるため、病院へ連れて行くことは避けたい。付き添う私自身も60 歳に近く、基礎疾患もあるため怖い。
そこで、市役所に相談したところ、「医師に診てもらわないと要介護認定の更新はできない」と言われ、苦情は国保連に言うようにと言われ、電話を切られた。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出ているのに、どうしても受診しなければならないのか。
相談者に、要介護認定については、本会の対応範囲外であることを伝えたところ、「市役所から国保連に言うよう言われた」と立腹して話された。
そこで、市役所に連絡を取り、要介護認定については本会の対応範囲外であることを伝え、
対応をお願いし、相談者にその旨を伝えた。
1年半前、透析通院をしている父はサ高住に入居した。入居当初はシルバーカーを押して歩行できていたが、介助で車いす移動するようになった。数か月前、施設から区分変更申請をかけたいと連絡があり、よく分からなかったが依頼した。その後、認定調査の日が決まったと連絡があったが、調査には立ち会わなかった。父は要介護2から要介護5になり、施設への支払金額が、1か月に25 万円から40 万円となった。毎月の出費であり、負担が大きすぎる。詳細な説明を受けてはいないが、新型コロナウイルスの影響で、先月から面会は禁止となっている。どうしたらよいのだろうか。
施設に電話し、増額となった費用の内訳を確認するとともに、父親の身体状況を鑑みて、必要なサービスであるかをよく説明してもらうことを勧めた。
また、区分変更についてはケアマネジャーから説明を受けるよう勧めた。新型コロナウイルスの影響での外出自粛が解除されたら、施設に行き、施設長や職員から現在の父親の身体状況について詳細な説明を受けるとともに、今後のサービスの在り方について話し合うよう
勧めた。
家族家族は現在、要介護1だが介護度を要介護2にしたいので、そのことについて教えて欲しい。
要介護度の見直しをしてもらいたいとのことだったため、本会は利用している介護サービスへの苦情相談窓口であることを伝え、区分変更申請については、市役所に問い合わせていただくよう伝えた。併せて、要介護認定においては、希望した要介護度になるのではなく、認定調査を受けた結果で要介護度が決まることを伝えた。
母の要介護認定の結果が要介護2となった。母は認知症で40 日入院し、その後、私は認知症外来へ母を連れて受診させている。
主治医に母の要介護2の被保険者証を見せたところ、「認知症が酷いから要介護2のレベルではない。要介護3が妥当」と言われた。私も要介護3であれば、納得できる。母は通所リハビリ以外の日は、一人で無断外出し、徘徊があるため、私を含め家族は心配で特養入所を希望している。家族の要望は区分変更申請であるが、ケアマネジャーに相談したところ、来月まで待つよう言われた。国保連から市役所に区分変更申請の手続きをとるよう命令してほしい。
要介護認定については市区町村が対応しており、本会は相談対応範囲外であると伝えた。また、ケアマネジャーが何故来月まで区分変更申請の手続きを待つよう言っているのか分からないとのことだったため、直接ケアマネジャーに確認してみるよう伝えた。「私からは区分変更申請について、市役所に相談できないのか」と尋ねられたため、直接区分変更申請の相談
をすることもできる旨伝えた。
家族母親はほとんど歩くことができず、車椅子を利用しているが、今回介護度が2から1になったため車椅子が利用できないのではないか。そもそも、歩けない被保険者に対し、介護度1となってしまう判定方法は実情と合致していないのではないか。歩けない被保険者が車椅子を使えなくなる可能性が出てしまう現状の判定方法・区分分けに問題があるのではないか。
話を傾聴し、介護度の判定は歩けるかどうかだけで判断しているわけではない等、判定方法について一通り説明した。車椅子の貸与については、例外的給付制度があることを伝えた。判定方法等を改善すべきという点については意見として承った。
家族認定更新で要介護5から要支援2になった。要支援2とはどのような状態なのか。本人は歩行も見守りが必要で、まだリハビリが必要な状態なのに、ケアマネジャーからリハビリの回数を減らさないといけないと言われた。要支援2の区分判定は状態像ではなく介護の手間で判定している。要介護認定基準時間が32分から50分の方、要介護1の方と同程度の介護の手間が必要であるが認知症などがなく支援のサービスが可能な方が支援2となる旨説明した。ケアマネジャーと相談して区分変更の手続きをするとのこと。
家族認定更新で要介護4から要介護2になった。2段階も下がるのはおかしい。サービス利用にも支障をきたすので再審査できないか。前回認定時は、入院中であり、現在の状況とは随分異なっていると考えられる。2段階下がるということも起こりうることであり、変更がある場合は必ずしも1段階となるわけでないと説明した。状態に変化があれば、区分変更申請も可能である旨説明した。
家族体の状態が変わっていないのに、認定更新で要介護3から要支援2になったのは納得できない。基準改正があったとはいえ、ケアマネジャーもまさか要支援2になるとは思っておらず、福祉用具のレンタルや訪問介護のサービスもそのまま利用していた。申請の翌月中に認定結果が出れば差額分の自己負担が発生しなかったのに、翌々月となったために自己負担が発生してしまった。なぜ認定結果が早く出せないのか。認定が遅くなった結果、自己負担が発生しても救済措置がないというのもおかしい。
簡易開示の手続きにより、調査結果及び審査会資料で審査の経緯を説明し、区分変更と審査請求の制度について説明した。申請から決定まで時間を要しているのは事実であり、所要時間の短縮に向けて努力をしていると伝えた。また、審査請求で今回の認定結果が不適正となれば申請時に遡って結果を見直すことになるが、それ以外は差額分自己負担の救済は無い旨説明した
家族認定調査員の対応が横柄で、このような人には調査をしてほしくないと思った。家族としては調査のとき、単に「できる」「できない」ではなく、今の体の状態をできるだけ正確に知ってもらいたいが、「できる」「できない」だけ分かればいいときつい口調で言われた。一方的に自分の話したいことだけ話し、こちらの言葉は聞いてくれなかった。全くコミュニケーションが取れずに、わずか15分で終わってしまい、あまりにひどい調査だと感じた。
不快な思いをさせたことを謝罪し、研修会等を通じて調査時のマナー向上を図っていく旨伝えた。
家族認定調査員に「不便なところにお住いですね」などと言われ大変不愉快だった。家族には謝罪し、調査時の対応の改善を図ることを伝え、納得いただいた。後日、調査時の対応の仕方について話し合いの機会を設けた。
家族週3回デイケアに通っている。要介護3で杖歩行が可能だったが、2月に転倒し入院した。それからは歩けなく車椅子を使っているのに、認定調査の結果は要介護2になった。入院中に認定調査があり、調査員にいろいろ質問されたが実際の歩行状態は見てもらえなかった。ケアマネジャーに話をしたところ「仕方がない」と言った。現在デイケアで平行棒を使ってリハビリをしているので、相談室から歩行 の様子を見に来てほしい。
相談者に現在の状況を確認すると、「サービス量が不足して困る等 はない。認定結果に不満というよ り、状態が重くなっているのに反 対に認定結果が軽くなるのはおか しいと思う。納得できない」と言 われるため、要介護認定に関する 相談先として市町村を紹介した。
配偶者妻は5年前は要介護4だったが、徐々に回復し、今では要介護1である。認知症で物忘れはあるが特に困っていない。今回、認定更新のため調査員が調査を行ったが、妻の状態を見て「良くなっていますね」と言ったので、自分も「今度は要支援1か2になると思うのでよろしくお願いします」と調査員に話をした。
しかし、認定結果はこれまで通り要介護1で通知が届いた。要支援だろうと思うので手続き等はどうしたら良いか。
相談者は利用者の状態は改善しているので要支援が妥当だと思うと言われ、手続き方法を聞かれたため、市介護保険課の窓口を紹介した。利用者のサービス利用状況を確認したが、具体的なサービス内容は特になく利用していないように伺えたため、市に区分変更の申請をした方が良いかどうか相談されることを勧めたところ、「聞いてみます」ということで終了した。
配偶者要介護度が、要介護2から要介護3になり利用料も上がった。理由は要介護3のほうが手間がかかるから高くなるということは理解できる。施設にも手厚く支給されるのかもしれないが、要介護2から3になっても、利用者本人はサービス内容が変わらない気がして矛盾を感じる。
要介護認定の更新の際に、認知症が少し進行しているようには感じたが、サービスとしては特別変わった気がしないし、ケアマネジャーも変わらないと言った。今回要介護3になったが、要介護2に戻してほしいと要望して良いか
要介護認定に関する内容は、市の介護保険課が対応を行っている旨を説明し相談を勧めた。
家族家族の要介護認定結果に不服があり、現在、再申請を行っている。前回は一次判定結果が要介護で、二次判定結果が要支援であった。その理由として認知機能にかかわる記述があったが、納得できない。全国で
同一の基準で判断をしているはずであり、ガイドライン等の資料が欲しい。
 また、認定調査はいずれも病院で行われたが、介護サービスを利用するのは自宅であり、病院のサポートがある中での判定はおかしいのではないか。病院と自宅の双方の状況を基に判断すべきではないか。支援
が最も必要なのは退院してすぐであり、退院後すぐに介護サービスを利用したい。要介護度によって各サービスの利用回数も異なるため、自宅における状況も兼ねて検討してもらいたい。
要介護度の判定基準について説明し、資料を渡すことを伝えた。また、認定調査は調査時の状況を記録して判定材料としていること、自宅に戻ってからの調査も可能だが、その場合は結果が出るまでに時間がかかることを説明した。調査時に生活環境等について伝えたいことがあるとのことであったため、情報を伝えることについては問題がないことを伝え、その他の意見については傾聴した。
家族 認定調査の際、以下の点に不満を抱いた。
① 起き上がり動作の確認の際に、わざわざ寝室のベッドまで行って起き上がり動作をさせていたが、寝室まで入る必要があったのか。
② 認定調査員が淡々と調査を進めていて、冷たい感じがした
① 寝返りや立ち上がりなど、日頃の状況の動作確認が必要であることを伝えた。寝室に行く了解を得たうえで寝室に入らなかったか聞いたところ、「聞かれたが有無を言わせない聞き方で断れなかった」、「プライベートな空間であるのだから、調査の前に知らせておくべきだ」とのことだった。認定調査員の聞き方については謝罪したうえで、断りづらくないような聞き方をするよう指導し、寝室の入室に関する事前の説明については考慮すると回答した。
② 事業所職員から相談者に対して、調査には客観性が重要であり、相手に感情移入してはいけないため冷たいと感じてしまったのかもしれない旨、既に説明されていた。保険者も事業所と同意見であることを伝え、そのように感じさせてしまったことに対しては謝罪した。
本人私は70代で一人暮らしをしている。昨年から体調も良くないし、もの忘れも酷くなったため、より多くの介護サービスを受けたいと考えて、区分変更の申請を行い、認定調査を受けた。
そして昨日、認定結果の通知が届いたが、【要介護1】のままだった。こんな認定結果に納得できない。
私よりずっと元気な人が要介護2なのに、何故私が要介護1なのだ。そもそもやり方がおかしい。主治医意見書の主治医に、鍼灸師や整体師が含まれないのはどうしてなのか。私は整形外科や内科より、鍼灸師や整体師の方を信用しているし、よく効く。それに認定調査、あんなものはデタラメばかりだ。私の話を少しも聞いてくれなかった。腹が立って仕方ない。
要介護認定に対する不服申し立ては、県の介護保険審査会に行うものであるが、相談者が感情的になっておられ、主観的な主張のみ伺っても実際の状況が分からない。相談者の普段の状況を把握しているケアマネジャーに相談されるのが適切と考える。
 結果の通知について、まだ連絡されていないということなので、まずケアマネジャーに連絡するよう助言した。また、身体の不調についても複数あると訴えられていたので傾聴していると、専門科への受診を自ら口にされて相談を終えた。

まとめ

苦情の内容を見ると、一般に方にはまだまだ介護認定調査や要介護度決定に関しての十分な理解が得られていないように感じます。

認定調査の際に、対象者や家族の方に要介護認定に関する説明をすべきなのでしょうが、残念ながら納得いくような説明ができる時間がないのが現実です。

苦情が寄せられないためには対象者や家族の方々全てに良い印象を持たれることが必要なのでしょうが、それは現実的には不可能です。認定調査員としては、社会人としての基本的なマナーを守りながら誠意をもって対応する、それしかないと思います。

一般論として、優秀な人材を雇用するにはそれに見合う報酬が必要です。介護現場では人手不足を解消するために、また職業倫理を向上させるためにも介護職の給与を引き上げる必要が言われています。これと同様に、要介護認定調査の質を下げないためにも各市町村は認定調査の報酬を引き上げることも考える時に来ていると思います。

以前の 認定調査に関する苦情 の記事①

以前の 認定調査に関する苦情 の記事②

以前の 認定調査に関する苦情 の記事③