認定調査項目を読み解くPart2|同じ話をする・大声を出す
同じ話をする(しつこく同じ話をする)
1.項目の定義
「しつこく同じ話をする」行動の頻度を評価する項目です。
2.選択肢の選択基準
3.選択の際の留意点
・元々の話し方の癖や生活習慣から単に同じ話をすることではなく、同じ話をする事が場面や目的から見て適切かどうかで判断します。
・記憶障害等のために、同じことを初めて尋ねたかのように繰り返し質問したり、聞かれた訳でもないのに昔の話などを何度も繰り返す場合が該当します。
・同じ話を週に何回、あるいは月に何回かすることではなく、同じ話を何度も繰り返すことがあるかで評価するのが基本ですが、厳格な判断基準はありません。
4.ポイント
・聞いたことを忘れて何度も同じことを質問する状況は「ひどい物忘れ」にも該当しますから、4-5同じ話と4-12ひどい物忘れはセットで評価されることがほとんどです。
・対象者が同じ話をする場合に、それをしつこいと思うかどうかは人それぞれです。
①1週間に一度しか会わないが、会うたびに同じことを言う
②毎日同じことを1回は言う
③1日何度も同じことを言う
いずれの場合も介護者が「しつこく同じ話をする」と感じていれば該当することになりますが、評価はその内容の話をすることが場面や目的からもて適切か、あるいは妥当かで判断します。
5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由
ケース | 選択肢 | 選択理由 |
---|---|---|
何かの話題をきっかけに、自分が嫁に来た頃の思い出話を週1∼2回する。 | ない | 週1∼2回同じ話をしている場合でも、場面にそぐわない状態ではなく、その都度繰り返し何度も同じ話をする状態でない場合は該当しない。 |
脳梗塞で入院し、10日前に退院した。「下肢が痛い、さすってくれ」と1日に何度も家族に頼む。その度に家族は5分間ほどマッサージをしている | ない | 繰り返して同じことを言っている状況だが、場面や目的から見て不適切とは言えない |
独居で、小規模多機能の訪問サービスを週2回利用している。訪問の度にスタッフに娘に関する話をする。 | ない | 場面や目的から見て不適切とは言えない。 |
ショートステイ利用や出かける予定があること等を対象者に話すと、その後何度も行先や日にち等を家族に聞いて来ることが月に2 ~ 3 回ある | 時々ある | よく見られる場面ですが、聞いてくること自体は必ずしも不適切とは言えません。しかし間をおかずに聞いてくる、家族がしつこいと感じている場合は該当すると思います。 |
グループホーム入居中で、帰宅願望があり施設内をウロウロしており、「俺はいつ帰るんだ?」と5分おきに聞いてくる。 | ある | 場面や目的から見て不適切な状態と言えます |
「今日は何日?」「今日は何曜日?」と1日中聞いてくるので家族は疲れてしまう | ある | 物忘れによって同じ質問をしつこく繰り返す場合は該当します |
大声をだす
1.項目の定義
「大声をだす」行動の頻度を評価する項目です。
ここでいう「大声をだす」行動とは、周囲に迷惑となるような大声をだす行動のことです。
2.選択肢の選択基準
3.選択の際の留意点
・元々の性格や生活習慣から日常会話の声が大きい場合などではなく、場面や目的から見て不適当な行動があるかどうかで判断します。
・大声で怒る、苛立って叫ぶ、奇声を発する等の場合が該当しますが、難聴のために大きな声になっている場合は該当しません。
4.ポイント
・大きな声を出す行為が、その場の状況や目的にあっているか、不適当な大声かどうかで判断します。怒ると必然的に大きな声になりますが、その際は怒ることが場面や目的に合っているか、妥当な行為かで判断します。
5.判断に迷うケースの選択肢と選択基準
ケース | 選択肢 | 選択理由 |
---|---|---|
食事の際に、妻から食べ方などを注意されると大きな声で反論する。昔から自分の意に沿わないことがあると大きな声をだしていたとのこと | ない | 元々の性格であり、また場面や目的から見て不適切な行動とまでは言えない |
介護サービス利用に拒否があり、家族がサービス利用の話をすると感情的になって大声を出して暴れることが月に1~2回ある。 | 時々ある | 怒って大きな声を出している訳ですが、怒る理由や怒り方が度を越している状況は、場面や目的から見て不適切と言えます。 |
施設入所中で、難聴のために他の利用者が自分の悪口を言っていると思って突然大きな声で怒ることが月に2~3回ある | 時々ある | 難聴のために大きな声になっているのではなく、被害的な考えから大きな声を出している場合は該当します。 |
介護に対する拒否や抵抗があり、トイレや入浴の促しに対して「嫌だ!」「行かない!」などと大きな声を出し、手を振り払うなどする。 | ある | 目的から見て不適切な行為と言えますので、介護抵抗にも該当します。 |
グループホーム入居中で、物盗られ妄想があり、他の利用者に対して「お前が持って行ったんだろう!」などと大きな声で怒る。 | ある | 怒って大きな声を出している状態で、怒る原因と目的が不適切なことから該当します。 |
施設入居中で、易怒性があり些細なことで怒り、他の利用者に対し「うるさい!」「何を見ている!」などと大きな声で言うためトラブルになる。 | ある | この場合も怒る理由と状況が不適切であり該当します。 |