話題|頑張って書いた特記事項が伝わらない!

特記事項の内容を理解してもらうために考えたいこと

せっかく書いた特記事項が読み手に伝わらず審査会事務局から状況確認の照会が来た、などと言うことは誰しも経験があると思います。完璧な特記を書くことは不可能ですが、確認して提出したはずの特記が読み手に理解されなかったことは残念で悔しい気持ちになります。

読み手に伝わらないのは書き手側だけに原因があるのではなく、読み手側にもある程度原因があると思います。

そんなミスマッチを少なくするための参考になればと思い今回このテーマを取り上げました。

 

認定調査票・特記事項・主治医意見書の流れ

認定審査会事務局担当者の仕事は?

確認作業が大変

特記事項の確認作業は、個人情報の有無、選択肢と特記事項の確認、全体の整合性、前回の特記事項との比較などが行われます。

前回の特記事項との比較するのは、すべての認定調査員が誠実に特記事項を記載しているとは限らないからです。なかには前回と全く同じ記載内容で提出する調査員もいるそうです。

また、主治医意見書は病名、記載不備の有無や確認などがおこなわれます。

>>認定審査会事務局の仕事

市町村職員は多忙

市町村職員は自分の係の仕事と認定審査会事務局の仕事の掛け持ちで、多忙を極めます。当然、手間のかかる主治医や調査員への照会は出来るだけ避けたいと考えています。

なので、特記事項での疑問は主治医意見書の病名や特記事項に記載された対象者の状態像から読み取ろうとします。

 

医療・介護に対する知識は認定審査会事務局全員が同じレベルではない。

 

介護保険担当課の職員であっても医療や介護について学んだ方は少数です。また、実際に認定調査を経験している方も多くいません。しかも市町村職員は数年ごとに移動があり、全く介護保険に関係のない部署から来る方もいます。

認定審査会事務局の業務を行っている方々の医療・介護に対する知識と経験が同じレベルではないことは一目瞭然です。

そして、特記事項の中の理解できない用語などは職員間で質問したりするようですが、やはり個人差はあるようです。

特記事項を記載する側も読み手に配慮しよう。

審査会事務局の負担を減らし、且つ記載内容を理解してもらうためには、介護の手間や頻度の他にも、具体的で分かりやすい言葉を使って表現する事も大事です。

専門職として当たり前に使っている介護や医療の専門用語も、経験がない方にとっては初めて聞く難解な言葉かもしれません。

特記事項記載の際に気をつけたい専門用語

調査票と特記を担当する審査会事務局の方が、医療・介護に詳しくない方であっても特記の内容が理解できるように、特記票にスペースがあるのであれば、できるだけ専門用語を使わずに平易な言葉で状態を言い表すことも必要です。

以下に、特記に記載する頻度が高く、読む側にもある程度専門知識がないと理解できない、イメージできない可能性が高い用語を上げてみました。

1.不随意運動

2.不定愁訴

3.振戦

4.跛行

5.失行

6.失認

7.感情失禁

8.せん妄

9.空間無視

10.半盲

11.仰臥位

12.拘束

認定審査会で1件の審査に充てられる時間は2~3分です。

事前配布はしていても、審査会で質問があれば事務局の担当者はそれに答えなければなりません。そのために担当者は事前に1ケースごとに特記事項の読み込みを行っている訳です。

その中で、見たことのない専門用語が混じっていると全体の理解を妨げる可能性があります。

認定審査会委員に対するアンケート

認定審査会委員に行ったアンケートでは、認定調査員の特記事項記載に対して次のような声があります。

そのベスト3

①特記事項の記載の方法が不統一で理解するのに時間がかかる。

②調査員によって調査水準と記載内容にばらつきがある。

③同じような状態でも、調査員によってとらえ方違う。

が挙げられています。

まとめ

対象者の状態をどうとらえるか、評価するかは調査員の主観ですし、それを特記事項でどう表現するかも調査員の判断です。

特記事項の記載を簡潔にすることも必要ですが、経験の浅い認定審査会事務局の方にも理解してもらうために、読み手側が理解できるかどうかも考えて、出来るだけわかりやすい表現を心掛けましょう。

また、特記事項で使った表現や用語が必ずしも適切とは限りませんので、審査会事務局側でも状況が判断できるように、対象者の状態や介護状況を具体的に記載するように心掛けましょう。