認定調査項目を読み解く|独り言・独り笑い/自分勝手に行動する

4-13 独り言・独り笑い

 

1.項目の定義

「意味もなく独り言や独り笑いをする」行動の頻度を評価する項目です。

ここでいう「意味もなく独り言や独り笑いをする」行動とは、場面や状況とは無関係に(明らかに周囲の状況に合致しないにもかかわらず)、独り言を言う、独り笑いをする等の行動が持続したり、あるいは突然にそれらの行動が現れたりすることです。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・以前からの癖で独り言が多い等ではなく、場面や目的から見て不適切な行動か否かで判断します。

・相手がいないにもかかわらず一人で会話をしている、人形などに向かって話しかける、などが該当します。

・寝言は含まれません。

・話す声の大小は問いません

4.ポイント

・意味なく同じ言葉を繰り返す、意思疎通できない人やモノ、TV 等に向かって話す、突然歌いだす等も含まれます。

・失語症などで言葉を発しない人が唸り声をあげている場合は、独り言ではなく「何かを訴えている」と評価します。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース選択肢選択理由
夫が半年前に亡くなっている。毎日仏壇に向かって何かを話しかけているない状況から見て不適当とは言えない
昔からの癖で、一人の時はいつも自室で歌を歌っている
ない以前からの癖であり、場面から見て不適当は行動とは言えない
入院中で、対面のベッドに向かって人がいなくても一方的に話しかけていることが月に2~3回ある時どきある明らかに周囲に状況に合致しない行動で、独語と判断できる
幻視があるようで、誰もいない所に向かって話かけていることが月に2~3回ある時どきある場面や状況に合致しない状況であり、独語に含まれる
テレビに向かっていつも話しかけている
ある目的から見て独語に該当する
ベッド上生活で、話しかけても妥当な会話は出来ない。家族の話では毎日1曲の懐メロを繰り返し歌っているとの事。ある状況から習慣や癖ではなく独語と考える

 

4-14 自分勝手に行動する

1.項目の定義

「自分勝手に行動する」頻度を評価する項目です。

ここでいう「自分勝手に行動する」とは、明らかに周囲の状況に合致しない自分勝手な行動をすることです。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

・性格的に「身勝手」「自己中心的」な行動があるということではなく、場面や目的から見て不適当な行動があるかで選択します。

・病院、施設等で規則や指示を守らない、家族の注意を聞かない、危険行為、迷惑行為、セクハラ行為等が該当します。

・一定期間内(概ね過去1 か月間)であっても、予防的手段や対策をとったことで自分勝手の行動することがなくなった場合は該当しません。あくまでも現在の環境でその行為が発生したかで選択し、予防的手段や対策をとらない場合の状況を含め、実際の状況を特記事項に記載します。

・異食行為、不潔行為(オムツ外しや排泄物をもてあそぶ行為など)は該当します。

なお、異食行為、不潔行為を「自分勝手に行動する」と評価することについては、保険者によって判断が異なるために各保険者に確認することをお勧めします。

注) 以前は、異食行為・不潔行為を「自分勝手に行動する」では評価せずに、”関連する項目の特記事項あるいは認知症高齢者の日常生活自立度の特記事項に記載する”としていましたが、一次判定の要介護度がかなりの確率で最終的な要介護度になっている現状を鑑み、この項目で評価して一次判定に反映させるのが適当であると考え、記載内容を一部変更しました。

4.ポイント

社会生活での「ルール違反」などが該当します。

マナー違反は、性格や生活環境などの個人差が大きいので基本的には該当しません。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース選択肢選択理由
現在経鼻 経管栄養が行われており、経管チューブを外そうとするために両手にミトン手袋を着用している。手袋のままチューブを外すことはできないが、チューブをさわるために介護者が何度か様子を見に来ているない対策を講じている現在の状況から選択します。チューブ外しはできない状況であることから「ない」を選択し、様子を見に来る手間があることを特記事項に記載するのが妥当と思います。
現在入院中で、身体機能に問題ないが看護師が離床を促しても何かしらの身体症状を訴えて拒否する。家族の話では以前から自己中心的な行動が多いとのことない拒否すること自体は該当しない。また元々の性格からの行動と考えられる場合も該当しない
脳梗塞で失語症があり、排泄はオムツを着用している。尿失禁していないにもかかわらずオムツ交換を訴えることがあり、介護者がその都度確認して交換の必要がないことを説明するが、しばらくすると同じように訴えて来るない皮膚感覚については個人差があり、
また自分にかかわって欲しい願望からの行動とも考えられ、場面や目的から見て不適切とは言えない。実際の手間を特記事項に記載する
3 か月前にスーパーで万引きをして補導された。現在もレシートに載っていない商品をバックに入れて帰宅することが月に1 ~ 2 回ある時どきある犯罪行為は該当します
施設入所中で、盗食行為があるため職員が見守りしているがそれでも職員の目を盗んで盗食することが月に2〜3回ある時どきある施設等の指示や規則を守らない行為は該当する
対象者は男性で、現在入院中で認知症がある。若い女性看護師に対し、週に1∼2回失禁していないにもかかわらず陰部を拭くように命令口調で言うあるセクハラ行為であり、、認知症における脱抑制行為とするのが妥当である。また場面や目的から見て不適切な行為と判断できる
施設入所中で、尿失禁した紙パンツを箪笥に隠している。そのため週2 回の入浴の際に職員が箪笥の中を確認しているある不潔行為で、場面や目的から不適切と判断する
徘徊や一人で出かけて自宅に戻れない行動が週に1 ~ 2 回ある。家族は一人で出かけないように注意しているが言うことを聞かないあるこの場合は「ない」を選択し、「3-8徘徊」「3-9外出して戻れない」で評価します

2024.9.12
最後のケースはこれまで「徘徊など指示や注意を守らない行動は自分勝手に行動するに該当する」として「ある」を選択していましたが、この項目での評価は適切でないと考え、「ない」に変更しました。

 

 

次回は「4-15 話がまとまらない」です。

 

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