話題|一次判定に影響する調査項目ランキング

一次判定に影響する調査項目ランキング

要介護認定の一次判定は、認定ロジックといわれるコンピュータソフトを使って「要介護認定等基準時間」を算出して出されるものです。

この算出には「樹形モデル」が使われ、樹形モデルは8種類あります。そしてその樹形の分岐点には認定調査項目の選択肢と中間評価項目得点の2種類が使用されます。

樹形モデルの例

分岐点に使われる中間評価項目得点は、調査項目の各群ごとに最高100点、最低0点になるように群内の調査項目の選択肢に点数が付けられており、能力項目では「できる」側が、有無の項目では「ない」側が、介助の方法の項目では「介助されていない」側がより高得点になるように設定されています。

下の表示例では、第5群の介助量が比較的多い事が分かります。

介護認定審査会資料の中間評価項目得点

もう一つ、認定調査項目が分岐点に使われている訳ですが、分岐点に多く使われると言うことはその調査項目は1次判定への影響が大きいということが出来ます。

ちなみに、認知症加算と特別な医療は、一次判定の樹形モデルを通さずに単独で要介護認定等基準時間に積み足しされます。

特別な医療の要介護認定等基準時間

一次判定に影響する調査項目ランキング

8つの樹形モデルの分岐点を調べた結果次のようになりました。

   順位   項目使用される樹形モデル数 分岐点の合計
  1
麻痺等の有無  7
  15
  2意思の伝達  5  9
  3移乗  5  8
  4視力  6  7
  5日常の意思決定  4  6
  6食事摂取  5  5
  7移動  4  5
  8えん下  3  5
  9口腔清潔  4  4
  10拘縮の有無  3  4
  10短期記憶  3  4

まとめ

7番目の移動までは順当と思いますが、歩行と徘徊がトップ10に入っていないのは意外でした。ちなみに歩行の分岐点は3,徘徊は1でした。

歩行は移動で評価されているものと思われますし、徘徊は該当すると認知症加算で2段階区分が上がる5つの特定項目(大声を出す・介護に抵抗・徘徊・外出して戻れない・一人で出たがる)の中に入っています。

また、比較的介護の手間が多い排泄はトップ10に入っておらず、分岐点数は排尿は1,排便は3でした。しかし、それぞれで「介助されていない」と「全介助」を選択した場合の要介護認定等基準時間の開きは以下のようになっており、

排尿 4.8分
排便 最小14.9分 最大26.9分 (排便の下に更に分岐がある)

特に排便は一次判定への影響が大きいことが分かります。

なお、ランキング1位の麻痺については、認定調査項目を読み解く:「麻痺」でも紹介したとおり、左右上肢と左右下肢での組み合わせに限っており、「6.その他」を選択しても樹形モデルには反映されず、特記記載のための選択肢となっています。