認定調査項目を読み解くPart2|感情不安定・昼夜逆転

感情が不安定 

1.項目の定義

 「泣いたり、笑ったりして感情が不安定になる」行動の頻度を評価する項目です。
ここでいう「泣いたり、笑ったりして感情が不安定になる」行動とは、悲しみや不安等により涙ぐむ、感情的にうめく等の状況が不自然なほど持続したり、あるいはそぐわない場面や状況で突然 笑い出す、怒り出す等、場面や目的から見て不適当な行動のことです。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

 元々感情の起伏が大きい、感情的になりやすい性格の場合は含まれませんが、認知症によってそれがより顕著になり、場面や目的にそぐわない場合はその限りではありません。あくまでも、その行為が不適切であるかで判断します。
落ち込み、うつ状態になる場合や逆に攻撃的になる、また感情のコントロールができず、ちょっとしたことで怒ったり泣いたりする場合などが該当します。

4.ポイント

 認知症に伴う周辺症状(BPSD)か否かの判断がつかない場合であっても、当該行動があったかどうかで判断します。
代表的なものとして

その言動が…
・場面・状況にそぐわない
・度を越している
・必要以上に長く続く
・唐突に行動する
などがあります。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース選択した選択肢選択理由およびポイント
麻痺した足が痛いと大きな声を出したり興奮したりすることが週に1 ~2 回あるない症状に対しての反応や訴えはさまざまであり、この場合は場面にそぐわない不適切な行動とは言えない
難聴のために他の人が話しているのを自分の悪口と思い込みトラブルになることが毎日のようにある。ある難聴が原因である場合は、この状況が不適切な行動とまでは言えないため「ない」を選択するべきです
腰が痛いので受診して調べて貰ったが異常はなかった。家族がそのことを伝えると「誰が異常がないと言ったんだ」と怒っている。時々ある場・状況にそぐわない行為とまでは言えないため「ない」を選択して特記のみとするべきです。
排泄、入浴、更衣などでの拒否が強く、怒り出す時が週に1~2回ある。あるこの項目で感情不安定と判断するのは、「場や状況にそぐわない行為」であり、この場合は拒否が強い状態であり、介護抵抗として評価するべきです。
施設入所中で、自宅は処分しており家はないのだが、「早くここから出たい、家に帰りたい」と涙ながらに訴える。あるこの場合は帰宅願望であり、また訴えが度を越しているとは言えない。「落ち着きなし」の項目で評価するべきです。
グループホーム入居中。日常的に気分の浮き沈みがあり、午前中は表情が暗く口数も少ないが、他の利用者との会話中に突然怒り出す時があるある落ち込みや突然攻撃的になったりすることは感情不安定の典型例です
うつ状態の診断あり。現在の自分の身体状況が受容できず、ひどく落ち込み、泣いていることが毎日あるあるうつ症状か認知症の症状かを問わず、気分の落ち込みが度を越している場合は感情不安定と判断します。

 

昼夜逆転

1.項目の定義

 「昼夜の逆転がある」行動の頻度を評価する項目です。
ここでいう「昼夜の逆転がある」行動とは、夜間に何度も目覚めることがあり、そのために疲労や眠気があり日中に活動できない、もしくは昼と夜の生活が逆転し、通常、日中行われる行為を夜間行っている等の状況をいいます。

2.選択肢の選択基準

認定調査員テキスト参照

3.選択の際の留意点

 環境や生活習慣から夜眠れない、単に眠らない場合は該当しません。
夜間の不眠が対象者の日中の行動に影響しているか否かで評価しますが、対象者の日中の行動に明らかな影響がないと思われる場合でも、生活状況が昼と夜が逆転していると判断できる場合は該当します。
認知症の周辺症状として評価する項目であり、トイレに頻繁に起きる、痛みがある等で熟睡できない場合は日中の行動に影響があっても該当しません。

4.ポイント

 睡眠障害、不眠の有無を評価します。
その程度には幅があるために、該当する行為は「日中行われるべき行為を夜間行っており、そのために日中の活動に支障がある」との判断基準を設けています。また、夜間行っている行為が周囲に対し迷惑行為であるか否かは問いません。

5.判断に迷うケースの選択肢と選択理由

ケース選択した選択肢選択理由およびポイント
施設入所中。夕食後すぐに寝てしまい、22時ごろに起きだして朝までフロアで過ごしたりするが、特に日中傾眠になったりしないない生活リズムが狂っている状態で、夜間不眠だが日中の生活に支障をきたしていないケース。日中起きていても夜間ずっと起きて過ごしている状態は昼夜逆転と言えます。「ある」を選択するべきです。
日中午眠の時間が長いと夜間眠れなくなり、次の日の行動に支障が出ることが月に数回ある時々ある認知所の周辺症状として評価する項目であり、単に眠れない場合は例え日中の行動に影響があっても昼夜逆転には該当しません。この場合は「ない」を選択するべきです。
夜間眠りが浅く、日中は居眠りしている時が多い。ある単に眠れない場合や日中居眠りしているだけでは昼夜逆転には該当しません。必ずしも夜間に活動する必要はありませんが、日中活動できない状態が該当します。この場合は「ない」を選択するべきです。
夜何回もトイレに起きるので家族が眠れない。「さっき行ったよ」と家族が言っても「行ってない」と言い、このやりとりが毎晩ある。ディサービスに行っても寝ており活動に参加できないとのこと。あるトイレに行くために眠れないと判断される場合は該当しません。
夜中に起きて部屋でウロウロしている物音がするとの家族談。ある物音があり”起きている”ことは判りますが、昼夜逆転と判断する、日中の過ごし方を記載すべきです
夜11時過ぎてもTVがついおり、また、TVをつけたまま寝ているときがある。そして日中も寝ているときが週に1∼2回ある。ある認知症の周辺症状として評価するもので、単に夜更かしをしている状態の場合は該当しません。